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(飛行機のあれなに?これなに?) その7

外国籍の旅客機の機内で起こった出来事のお話です。


まずは写真をご覧下さい。

CABIN(客室)の天井が取れて、落ちてしまいました。
非常にレアなケースです。

運行中にいきなり落ちてくると、驚きますよね。
ベテランCAも流石に動揺すると思います。


ここで問題です。


なぜ飛行機の天井は落ちるように設計されているのでしょうか?

A、航空会社で天井の部品のグレード(軽さやデザイン)を選択でき、交換できるようにするため

B、胴体の天井に人が入れるようにするため

C、そもそも外れないように設計されていたけど、部品が壊れて外れてしまった






さくっと答え合わせ

正解は

B、胴体の天井に人が入れるようにするため

です。

ではいつ天井に入るのか?
それは天井裏の部品や構造を点検したり、修理したり、改造したりする場合です。

飛行機の天井には
・配線
・水の配管
・コンピュータ
などがあります。
(機種により異なります)

そのような部品に何か発生しても、整備士や設計者はアクセスして、点検、交換ができるようになっています。



どのように登るの?


客室にハシゴを設置して登ります。
使用するのはホームセンターに売っているようなハシゴです。

プラスチック製の方が軽くて整備士に好まれます。

時間のない場合はハシゴを使用せずにアクロバティックに登ることもあります。
(もし怪我などすると上司に怒られます)


そのとき整備士は何に気を払う?

怪我をしないことの他にも、整備士が気を払う必要があることがあります。

それは客室床面の強度です。

客室の床はどのエアラインもカーペットが引いてありますが、その下の部品は特別、強度部材という訳ではありません。

また客室の床に掛かっても問題のない荷重(面積あたりの重さ)は数値で決まっており、
・床との設置面が小さい脚立ほど
・体重が重いほど
客室の床は悲鳴を上げることになります。

客室内で使用できるサイズの脚立は種類が限られており、設置面は小さいものがほとんどです。

例えると
手のひらで押さえてマッサージされるか
タイ式マッサージのように指で押されるかの違いのイメージです。
タイ式の方が痛いですよね、あれと同じ原理です。
(指の面積が脚立の設置面、押す力が体重です)


ちなみに

整備の世界では今まで誰も遭遇したことのない不具合に遭遇することも多々あります。

出発時間直前や、勤務時間終了直前のタイミングにも発生します。

安全第一を掲げているエアラインでも整備会社でも、急いでいると整備士は脚立の使用などを省いてしまいます。
(出世願望のある若い年齢層ほどその傾向があります。)

1人の整備士としては、いかに動揺せずに、適切に次のアクションの判断を下せるかが重要なのです。

経営者や管理者目線では、現場の整備士がどのような状況でも、安全面に配慮できる余裕を持てる環境やルールの作成が重要になります。

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