東京芸大を出てプロになれる人数


東京芸大に入ってプロになれる人はどのくらいいるのか。
僕がいた尺八科だとプロになれるのは10人に1人ぐらいでした。

尺八科は1学年に3人~5人くらいいるので、おおよそ2学年に1人ぐらいって感じです。(ここでのプロの基準は食えてるかどうか)

さらにプロの中でも頭一つ抜けた天才は10年に1人ぐらいって感じです。(この記事の最後に天才奏者の演奏動画URLを貼っときます)

ところで、プロになれる人、なれない人って傍から見てると結構わかります。

在学中からとにかく上手いとか、練習を死ぬほどしてるとか、考え方や生き方が違うとか、プロになる人にはそういう特徴はあるんですけど、それよりも主観的で感覚的に「ああ、この人はプロになるだろうな」っていうオーラみたいなものがあります。

うまく言えないんですけど、とにかく圧倒的なんですよ。

奏でる音が生き物みたいに生き生きしていて、一つの音だけで世界観があって、一緒に吹いていると自分が至らなさがひしひし伝わってくる、圧倒されるという感じです。

ああ、こりゃ勝てねえっていう。


逆に、この人は多分プロになれないだろうなって感じも結構すぐにわかります。これも同じようにうまく言えないんですが、音楽を奏でた瞬間の説得力とか、提示できる表現の幅のなさとか、音楽への姿勢とか、そういうものが足りないような感じです。(なんか偉そうですいません…)

よく言われる「才能」の壁ってやつです。これは死ぬほど高い。残酷っちゃ残酷ですけど。

芸大を出て、プロの演奏家やアーティストになれなかった人のその後はいろいろですが、大手企業に就職とかは殆ど聞きません。

僕の周囲だと、楽器制作、音響スタッフ、演奏家派遣会社などの音楽関連の仕事に行く人、学校教員、会社員みたいな音楽とは関係ない職業に就いた人もいます。女性だと主婦をしながら演奏活動という人も多いと思います。

芸大生は在学中に就活を熱心にやる感じではなく、卒業後数年は演奏活動した後に、年齢的なことや世間的なことを気にして、演奏家を諦めるパターンが多いような感じがします。(ちなみに俺は自分の才能と将来性の無さを感じてプロを諦めました。)

そんな感じの芸大卒業生達なんで、おそらく卒業生の年収はそんな高くないだろうなぁと思います。

まあ、お金を稼ぎたいなら演奏家よりも絶対に普通に働いたほうがいいと思います。

ただ、そのうえで言いたいことがあります。

もし、このブログを読んで、どうせ食えないからとか、演奏の技量や才能ががないからといった理由で、音楽家をやめよう、目指すのをやめようとか思わないで下さい。

音楽はプロになれるかどうかとか、上手か下手かとか、稼げるかどうかとか、そういう誰かの決めた基準でするものではないと思っています。

音楽や芸術は他人の心を勇気づけたり豊かな気持ちにするだけではなく、音を出した瞬間(もっと言えば音楽をイメージした瞬間)に真っ先に自分の心をうちます。

音楽や芸術は自分自身を強く励まして勇気づけてくれます。

なので、たとえ目指していた形で演奏活動ができなくても、何かのきっかけで音楽を嫌いになっても、離れてしまっても、やめないでいて欲しいと思います。

あなたの音楽や芸術は必ず誰かを支え、幸せにします。

そして、もし仮に、あなたが、たった一人になっても、音楽や芸術はあなた自身を支え続けてくれます。

https://www.youtube.com/watch?v=z1ECDlxU6fE

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?