合成ポケモンについて思いを馳せる

最近家に猫が来たので、せっかくだし7~8年ぶりくらいにこたつを出した。しかし、暑がりなせいか猫はなかなかこたつに入ってくれないので、仕方なく僕だけ寂しく入る。ここでふと思い出したのだが、そういえば小学生の頃はどれだけ寒い冬場でもWindowsXPが入ったデスクトップパソコンがある部屋に引きこもってはネットサーフィンをしていた。限界を感じたら、そして直結しているリビングのこたつで温まるために戻りまたパソコンをしに戻る、ということをやっていたものだ。年頃の息子がどういうサイトを見てるか興味のある親が来る前に、いかにしてエロサイトを閉じるか、というスキルがこのリビング直結ノープライベート部屋で鍛えられたのは言うまでもない。が、途中でMacに変わったためウインドウの閉じるボタンが左右逆になってしまいフレディ少年が苦労してしまうのは、また別の話である。

このとき、おもしろフラッシュやウルトラぱんぞうなど、色々ハマっていたものがあった。そういうのから、私の趣味趣向そして生活があの頃のインターネッツに汚染してしまった。そのため、学校でもインターネッツ由来の訳のわからないことを叫んでいたため当時友達が急激に減った記憶がある。今でも昔の話になるとあのフラッシュ黄金世代のことを思い出してニッチなことをしゃべる出すほど重い後遺症を患っている。これが昔にとらわれてしまった呪いだろうか、残酷なものだ。

特に私が好きだったのは合成ポケモンだった。最後に合成ポケモンの界隈で活動してから12年以上のときが流れた。その時のとぎれとぎれの記憶をもとに、今は見なくなった合成ポケモンについて語ろうと思う。あの頃の、あの界隈のコミュニティはすごく面白かった。期待してる方に言えば厳格なキリ番報告みたいなものは存在しているし、他にも興味深いルールはそこにはあった。

合成ポケモン

皆さんは合成ポケモンと聞いて何を思い浮かべるだろうか。知能と文化の破壊エンジンGoogleで調べてみるとだいたい以下のような結果を出す。

ポケモンフュージョン
ポケモンフュージョンでポケモンを合成できちゃう!

ポケモンフュージョンの最新ってどれですか? ....

少々恣意的な抜粋であるが上記2つが上位(というか上から1、2番目)の検索結果として飾られることに驚きと落胆を感じた。決してポケモンフュージョンを咎めてはいないが、人々はここまであの反映した合成ポケモンの文明を忘れてしまったのか。私は激怒してかの邪智暴虐なGoogleを改革するためにレジュメ(履歴書)を送ったが過去全部無視された。おそらく一時的に栄えたあの文明と私の経歴なんぞ、Googleから見ればちっぽけなものだろうか。

ポケモンフュージョンについては皆さんご存知だと思うので詳しい説明は割愛するが、2つのポケモンを混ぜて1つのポケモンを生み出すというマサキがいたら飛びつきそうなサービスである。例えば、以下はカイロスとカブトを合成した例である。

画像1

このサービスであるが、だいたい一匹目のポケモンが顔になり、二匹目のポケモンが体になり、名前がそれっぽく合成される。このサービスは私も好きでよく友達と大喜利に使っていたりしている。しかし、機械的にやる分には仕方ないが、合成ポケモンに比べると手でやるよりも少々雑に見えてしまうのである。(ポケモンフュージョンさんディスってるように聞こえたら申し訳ありません、そんな意図はありません)

「それなら職人の腕をみせてみろ」という声もいただくと思うので、試しにさっき作った合成ポケモンを載せてみる。私は腐っても昔は職人だったのだ。

画像2

この合成ポケモンはゴリチュウと呼ばれている。(なぜ「呼ばれている」と言及したかというと、この合成アイデア自体は他の方によって既に存在しているからだ。)今回は自分でFirealpacaを使って素材を合成して作ってみた。普通のゴリチュウと違い色はゴーリキーに寄せた。(一応他の昔作っていたデータは古いHDDにワンチャンあるので後日掲載できたらする)

このように、合成ポケモンというのは歴代のポケットモンスターのゲーム中のポケモンやトレーナーのドット絵(素材)を2つ以上合成して作られた1つのオリジナルポケモンを指す。(例外として私の観測上ダンバルの素材だけで1つのポケモンを作り上げたのを見たことがある)。他の呼び方としては、合ポケ(ゴウポケ)という略称がある。

合成ポケモンはなぜ始まったのか

さて、この合成ポケモンがなぜどのように始まったのかについて語りたいのだが、ここからは考察がメインである。こういうニッチなインターネット文化のルーツは結構探るのがめんd難しい。というのも以下の理由がある。

・ 合成ポケモンというコンテンツを現在も本格的に扱っている場所がほぼない
・インフォシークやジオシティーズといった当時無料で使えたホスティングサービスが壊滅して文献となるものがほぼ残っていない
・Wayback machine といったアーカイブサイトも合成ポケモンに興味がないのかそこまでデータを保管していない

以上のように文献がないので、個人的に「こういう理由があるのではないか」と以下のように考察してみた。

・ポケモンルビー・サファイアが発売され、それと同時に多くのポケモンに関する情報(攻略や裏技など)を取り扱うブログやサイトが乱立していた。(なんか陸波乗りとかあったなあという独り言)
・ちょうどその頃、GBAのROMイメージが違法にダウンロードできたり、それをエミュレーターを利用してPCでも起動できたり、ROMのマップやイベントを改造する方法がネット上で流通していた。(カートリッジを持っていたらROMダウンロードが違法ではないという謎のジンクスが広まってたなあ)
・それによって、ポケモンの画像データが簡単に手に入るようになり、ある日とあるサイトの管理人がそれらを使って合成ポケモンを作り上げた。
・それがほかサイトもどんどん真似していき、文化・コミュニティとして定着。ポケモンの攻略情報を取り扱うサイトなどのコミュニティとは袂を分かち始める

といった具合だと考える。一応個人的にはこの論に関しては根拠はあると考えている。というのも、私が合成ポケモンを始めたのも当時ルビサファでジラーチ欲しさに様々な攻略・裏技サイトを回っていた。その時、合成ポケモンサイトに辿り着いたからだ。当時、攻略サイトで相互にリンクを貼るという文化があり、その中で合成ポケモン専門サイトを私が見つけて興味を持った。ちなみに午前0時にトクサネシティで白い岩に話しかけるとジラーチが出てくるというデマを流したやつは私は今でも許していない。

コミュニティについて

こうして(?)合成ポケモンは全国に伝わっていき、ニッチながらもそれなりにコミュニティを大きくしていった。先程言及したホスティングサービス当時今は見る影もないほど最も栄えており、合成ポケモンオンリーに関するウェブサイト・ブログがどんどんと出来上がった。

そういったウェブサイトには様々な設備やルールがあった。以下はとあるサイトのメニューを抜粋したものだ。

 ・合ポケ評価掲示板
 ・合ポケ展示希望掲示板
 ・大会掲示板
 ・素材配布掲示板
 ・素材一覧

あとはいくつかのサイトはキリ番報告(義務)や、雑談掲示板。さらにはHTMLのソースコードを配布して他のサイトを作るときに使ってもらう、といったこともあった。次項から詳しく説明していく。

サイトを開くとよくあったのが「移転」と「閉鎖」だ。「移転」は例えばホスティングサービスを変更したり、それにともってサイト自体のデザインを変えたりする行為を指す。割とみんなバンバン移転をやっていた気がしているし、移転しましたっていうリンクをたどると、何度もその先も移転しましたっていう感じになってたことも多々あった。

「閉鎖」はその名の通り、サイトの運用をやめることである。だいたいは、サイト自体をまっさらにして、なにか意味ありげな一言を書いて界隈を去る、というのが一般的なものだった気がしている。だいたい「合成ポケモンに飽きました」とか「学生生活が忙しすぎて」っていうのが末路であった気がしてる。

評価

合成ポケモンを作ったときに、どれだけ自分の作ったポケモンがすごい(こなみ)かを評価してもらいたい時がある。それが行えるのがいわゆる「評価掲示板である。

画像投稿機能付きの掲示板に自分の作ったポケモンの情報を載せ、アピールポイントを書き、「評価お願いします」と書いて待つ、それだけである。私の記憶だと、当時早くて1時間で返信が来たことがある。

私がいつもお願いしていたサイトは以下のような基準を持っていた気がしている。

・色の違うポケモン同士を合成させた際、アンチエイリアスはしっかり補正されているか
・合成したことによるドットの荒さはひどくないか、補正されているか
・すごい(こなみ)ポケモンを作ろうとして、生物学的(?)にありえない・無理のある構造になってないか
・素材になっているポケモンが推測しにくいか
・許可もなく(後述)勝手に素材を使ってないか

この基準を大体クリアしてるとめっちゃ褒められることがある。当時私はめっちゃ褒めてくれるお得意先のサイトに入り浸って投稿していた。

というのも酷いサイトの掲示板は、有象無象の職人のイキリが目立つ「評価」というよりは「批評掲示板」であった。自分が作るポケモンが絶対にクオリティの高いことを前提にして、他の作品全てにケチをつける自称職人キッズがたくさんいた。あるやつは管理人の怒りを買って名が渡りしれてしまった結果、様々なサイトでアクセス禁止まで堕ちたのはいい思い出である、ざまあみろ。ただ、そういうサイト・人は割と少なかった気がしているのと、いい目線で厳しくしてくれる職人さんは、かなり鋭い意見をくださっていたので気分が良かった(が、多分尊敬していたあの職人さんは普通に高校生か社会人だった気がしている)。

展示 ・ 大会

展示掲示板とは、その名の通りそのサイトで自分の作品を展示をお願いする場である。先程と同じ、画像が投稿できる掲示板でお願いする。必ずと言っていいほど管理人の評価コメントも添えられる。やはりクオリティが高いものが好まれており、あるサイトは一定の評価を評価掲示板でもらってないと展示できないというルールも設けていた。今思うと他人の作品を自分の名前で投稿する、というのをやっている人はあまり見かけなかった気がしている。割と狭いコミュニティだったのですぐバレるのは必須なのは皆目に見えてたのだろうか。ただし後述だが、素材は必要以上にマジで厳しかった。ちなみに私は7個くらい展示してもらった。

大会とは、丹精込めて作ったポケモンをエントリーさせて、Web投票でクオリティを測り優勝を目指すといったものだ。大きいサイトでは、毎度すごい作品が軒を連ねていて、その当時私はかなり感嘆し憧れた覚えがある。しかし、小中学生が管理しているサイトとなると、大会期間中に管理人が失踪したりバックレたりみたいなことが多々あったのは覚えている。ちなみにとある入り浸っていたサイトはなんかしらんけど「間違えて楽天アカウントをログアウトした」ので閉鎖してしまった。パスワードは覚えてあったらしいんだけど、それならなぜログアウトしたのが閉鎖の理由だったんだろうか、人生で未だに謎として根に持っている。

素材

合成ポケモンには欠かせないのが、「素材」である。素材はそのとおり、合成する素となるポケモンのドット絵である。これはサイトが配っていたり、素材掲示板等で配ってあったり、いろいろな手段で手に入れることができた。

素材を使うにはルールがあって、ほとんどの素材に適応されてあった。それは、素材掲示板で「素材借ります」という連絡をするのがマストであったことだ。ある意味ではあるが、素材を作った方々への感謝の気持を表す一環の行為として生まれたのだと考えている。あと単純に報告数が多いと自己満足度が高くなるから、というのも一理あると考えている。

しかし、そもそもそういった素材はどうやって作られたのだろうか。今思えば、すべてのポケモンを色情報も正確に把握して、目でゲームデバイスを見ながらペイントで手打ちしたとはあまり考えられない。冒頭の考察でもあったとおり、多分どっかのROMから引っ剥がしてきてペイントで貼り付けて素材で渡してる人も少なからずいたのでは(てかほぼそれなのでは)と考えている。しかし、すべて自前のドットパーツを開発している人もいて、だいたいそういうのはクオリティの高いものばかりだった。

あと、無駄に素材掲示板は厳しかった覚えがある。掲示板に投稿されたやつのうち、ちょっと似ている素材の構成があればすぐに「〇〇さんのところと同じですよね?」みたいなコメントが付き、そこからヒートアップしているスレもよく見かけた。私の目から見たら全部同じだよ、何者だよ。あとカミングアウトですが、借ります宣言めんどくさくてやってなかったごめんなさい。あと「借ります宣言してないよね?」って、展示や評価掲示板で言われるのもあまり見かけなかった。

どのように消滅していってるのか?

先程も言及したとおり、合成ポケモンという文化は現在ほぼ消えかかっている。みなさんもポケモンに関するインターネットサーフィンをしていて、合成ポケモンの話題を目にすることは(ポケモンフュージョンさん以外)まずないだろう。こちらも文献の消滅によりなぜかははっきりしないが、以下のような考察をしている。

・ポケモンX/Y あたりから3DCGが主流になってしまい、いわゆる合成の作業と素材の収集が難しくなった
・やってることはドット絵制作に近いのとドット絵制作自体割と骨のかかるめんどい作業なので、後継者が不足した
・小学生から中学生、中学生から高校生になり学業との両立が厳しくなった
・単に飽きた(結構閉鎖理由として見たやつ)

ちなみに私はほぼほぼ最後に当たると思っている。合成ポケモンよりも他のフリーゲーム制作のコミュニティにハマってしまい、合成ポケモンはすぐに捨てた気がする。あと僕が入り浸っていたサイトの管理人が移転作業放置してどっか行ったのも大きいと考えている。私も最終的に消えた身なので、あの野郎許さん、とは微塵も思っていない、多分。

合成ポケコミュニティに対する思い

まず合成ポケモンやって良かったかっていう自問自答をしてみた。正直これに関しては良かったと思っている。まず、ちょっとドット絵が得意になったから。以下の走るモナーくんは1から打った自信作。

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以下のモノクマとかも1から。その下の狛枝くんも。

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あとどっかに公開したけど忘れた。

あと正直当時小学生3年生の自分からしたら、それなりにかなり楽しんでいたと思っている。様々な人と交流できて、謎のインターネットマナーを学び、自分の作品を見てもらう。あの頃は今よりも低クオリティーでも褒められていた時代だったのと、小学生の純粋な心が結びつけれたからこそ気軽に楽しめたのではないかと考えている。今の時代、クオリティーを追い求めて息苦しくなっているのはどことなく感じるのは確かだからだ。合成ポケモンはそういった意味では、私の中の黄金時代なのだと考えている。だから、老害っぽく「むかしはよかった」みたいなことを常日頃考えてるのかもしれない。

なんか塩っぽい締めになっちゃったごめんね。

というわけで Pokémon Past Generation Advent Calendar 2021 19日目の記事として僕の黒歴史を語るこの記事を納める。もし問題点があれば、筆者のTwitterまで報告してほしい。それではまた別の記事で

追記

合成ポケモンは犯罪なのか? - ソースは怪しいですがこんなまとめサイトもあります

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