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多様性を、今一歩踏み込んで考える

障害者福祉は多様性の集まりだ。
ここでは世間一般の常識は必ずしも通用せず、当事者一人ひとりのマイルールが重要であり、支援者はそのルールを理解する事が命題となる。障害者福祉に関わった事のある人ならば、痛いほどよく分かっている事だろう。

今年度より「身体拘束廃止未実施減算」が創設された。
確かに拘束は本人の自由を奪うものであり、本当にやむを得ない場合を除き、行われるべきものではない。また、こういった事はまず先に取り組みを始めて、取り組みを進めながら出てきた問題を解決していく手法をとらないと、いつまでたっても進まない。私も今回の制度変更には賛成である。

しかし重ねて言うが、障害者福祉は多様性の集まりだ。
もし、拘束を自ら望んでいる事が明らかな人がいたら、どうしたらいいのだろう?

元々、介護施設等において、身体拘束がやむを得ず認められる要件として、「切迫性」「非代替性」「一時性」の3つを全て満たしていることとなっている。また今回の制度の適用要件(障害福祉サービス等)には「身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録すること」とあり、これを満たしていないと減算が適用される。
利用者自らが拘束される事を望んでいるという理由だけでは、「緊急やむを得ない場合」には該当しない。だから、もしそういったケースがあっても、施設職員は拘束を行なってはいけない事はわかる。

しかしそれは、本人の意思決定に反する可能性が、ほんの少しでもないだろうか?私達は常識に引っ張られ、拘束が一概に駄目なものと、思い込んではいないだろうか?

私達は、障害者福祉は多様性の集まりだと頭ではわかっていても、それでもどうしても、施設での生活を障害がない人達の様式に近づけようとするきらいがある。
私達は、障害を持っている人達の事を、本当に理解できているだろうか?

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