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繊維はなぜ強い? その1

繊維は一般的に剛性も強度も高いです.それはなぜでしょう.

繊維は何らかの方法により直径より長さが著しく大きい線状の形状に加工して作られます.

繊維形状へと加工されることにより,繊維軸方向の剛性と強度が大幅に向上して,バルク形状での同種材料の剛性と強度に比較して大きな値が得られます.

その理由は主に二つあります.

まず,内在欠陥による強度への影響があります.

繊維直径が細くなると内在欠陥が取り得る最大寸法も小さくなりますね.これにより繊維の強度は大きくなることが破壊力学により説明されます.

破壊力学の嚆矢であるGriffithはガラス繊維の直径と強度の関係を実験的に調べており,直径が小さくなるにつれて強度が大きくなることを示しました(下図 文献1)より作成) .

非結晶性で脆性的なガラスにおいては,目に見えない微小な亀裂が存在しており,直径が小さくなるにつれてその最大寸法が小さくなると考えられています.

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参考文献

1) Griffith, A. A., “The Phenomena of Rupture and Flow in Solids”, Philosophical Transactions of the Royal Society of London, A 221, pp.163-198, 1921.

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