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#95 便利 x 手間 を語る

人間の進化は

テクノロジーの進歩でもある


テクノロジーの進歩のおかげで

僕たちは遠くの人たちとコミュニケーションをとり

遠くの場所まで行けるようになった


便利を追求して

生活を豊かにする


でも豊かになったおかげで

見えなくなっていくものもある


便利になってなくしていくもの

豊かになって貧しくなるもの


そして便利を避けて

新しく手に入れたもの


今日はそれがなんなのか?

少し考えてみましょう


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東野さんが娘さんと二人三脚でやっている

「幻ラジオ」をよく聞いています


ラジオの内容は割愛しますが

東野さんが自宅のリビングで

1人でおしゃべりするラジオです


そのラジオの中で東野さんがリスナーとの

コミュニケーションツールに選んだのが


手紙です


わざわざ宛先を渋谷郵便局にして

毎週自分で回収しています


最初の頃は冗談ぽく

届いたのが2通だよ

とかそういうレベルで面白おかしくやってました


今では「クレーマークレーマー」という

熱狂的なファンが生まれたり


不幸な女性の人生を面白おかしく読み上げて

女性ファンも多くなっています



この時代にわざわざ手紙にする理由


①雑なメッセージを避けられる

②コアなファンを獲得(厳選)できる

③素直に嬉しい


こんなところじゃないでしょうか


①雑なメッセージを避けられる


単純に冷やかしやアンチコメントを見ずに

時間も心も消費しなくてすむ


②コアなファンを獲得(厳選)できる


番組が始まった当初は

視聴者のほとんどが男性だったそうです


それが手紙を始めたことで

女性ファンが増えました


手紙を書くという文化は

どちらかといえば女性向き


③素直に嬉しい


そして単純に嬉しいと思います

いつも手紙をガサガサさせながら


あれ?あの話どこいった?


手紙を全部読んでいる感じが伝わってきます



この時代に

メールではなく

わざわざ手紙を書いて読む


この行為を現代の視点で考えてみると

意味合いが少し変化します


昔は電話もメールもなかったので

手紙が唯一

遠くの相手にメッセージを送る方法でした


でも今はスマホがあれば

指先一つでいつでもメッセージは送れます


あまりにも簡単に


このあまりにも簡単に思いが届けられること自体

現代ではマイナスに働いて


メールは手軽で簡単だけど

手紙よりも想い(熱量)は減る


おんなじ文章だったとしたら

手紙の方が想いが強く感じれます


その理由は手間がかかるから


わざわざ紙と封筒を買って

ペンで文字を書く


間違っちゃいけないから

下書きもするよねきっと


時間ってものがどれだけ大切なものか

わかっている人ほど


自分のためにかけたこの手間を

想像できるはず


この手間ってやつが

これからの時代めちゃくちゃ意味を成して

価値を生む


電話でいいのにわざわざ会いに行ったり

売店でいいのにわざわざお弁当を作ってくれたり

わざわざ花を届けてくれたり

わざわざハッピーバースデーを歌ってくれたり


僕たちは思っている以上に

この手間って奴を愛している


DVDを棚からとって

ケースから出して

デッキに入れる


わざわざレコード版を買って

中身を出して

レコードに針を落として

音楽を聴く


こういう手間が

実は僕たちは本当は大好きだったんだ


ケースから歌詞カードを取り出して

ケースについた指紋を拭く


聴き終わったならデッキから取り出して

CDケースに入れて棚に戻す


棚に並んだCDアルバムを眺める



僕自身

音楽の興味がなくなったのは

聴かなくなったのは

作らなくなったのは



この手間がなくなったからかもしれない


便利がなくしたありがたみ

手間があるからこそ愛しい


こういう感覚を


人間の優しさ

ちょっとした気遣い


あぁ 想われているなぁ


そう感じさせられる人間でありたい


この感覚を


わざわざ手紙に書いて

伝えたいことはありますか?


伝えたい人は誰ですか?








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