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友野一希と待望の帰国〜メダリストオンアイス2021に寄せて〜

ロステレコム杯で目撃して以来、全日本フィギュアスケート選手権2021では友野一希にとって史上最高の演技が果たされることを願った。エキシビジョンの舞台で「帰国」を観たかったからである。社内に配るお土産を空港の免税店であわてて買っている姿までイメージはできていた。

そこに四大陸選手権代表に選ばれたという報が舞い込んできた。落ち込みのさなか一時的であっても私を笑顔にさせてくれた。

そして、若手商社マンは各渡航先で経験値を積み上げ、久方ぶりに祖国日本の地に帰って来た。

冒頭、リンクに寝転がりフライヤーらしきものを掲げて下から眺めている。半身起き上がった報道写真からは使われている写真が本人で金色マーカーのサイン入りと判る。そしてきょろきょろしながら立ち上がり、目の前の先着4名様にいそいそと手渡した。もういきなり面白い。完璧な出オチである。

のみならず、もはやアリーナという枠を超え配信をも含めた観客全員にノリノリで「お土産」を配りまくっていた。何周も何周も曲が終わるまで振りまき続け、合計すると私たちの両手には抱えきれないほどの「喜び」というお菓子が集まった。

しかも若手が買ってきたとは思えないくらいセンスがいい。ひとくち味わってみると、途端に頬がほころびいくらでも食べられてしまう。さらに彼は勧めてくる。こちらは感情の腹腔を満たしながら至福のコメディに夢中になっていた。

2回のトリプルアクセルも更なる弾みがついていた。横に寝そべりながらリンクに滑り込む時も飛び散る氷の量が増したようであった。

いまや友野一希は世界に誇れる日本発の「一流スケート芸人」である。