【基礎教養部】「異世界はスマートフォンとともに。」感想-言いたいことはChatGPTが全部言ってくれました
今回書評として扱った「異世界はスマートフォンと共に」を通じて,初めて「なろう作品」といものに私は触れた.今まで触れてこなかった理由としては,なろう作品を代表する概念といえる「俺Tuee」という,主人公が有する能力について作品中において特段理由が記述されてないにも関わらず無意味に高く,物語の展開になんら起伏がないという現象へ特段触れる理由がない,というものであった.やはり,私としても物語にはある程度の起伏を求めたいのだ.「王道」とはいえないまでも,ある困難に直面し,苦悩し,葛藤し,それを乗り越えるという過程の方が共感や納得を得られる.「俺Tueee」されても,それだけの能力があったら成功するのは当然ではないか,という感想しか出てこない.他方が相手を一方的に蹂躙する物語を見ても,特段なんとも思わないのと同じである.人間は,ソヴィエト連邦のバルト三国侵攻よりもソヴィエト連邦のフィンランド侵攻とそれに呼応する防衛戦争-冬戦争を「物語」として面白いと感じる.なんら起伏の無い物語に触れるよりも,川を流れる水や組まれた木を燃やす火のような,有為転変する事象をひたすら眺めていた方がまだ有意義な思索を得られる気がする.
そして,この「異世界はスマートフォンと共に」は「俺Tueee」作品の中でも典型と形容していい作品といえるだろう.主人公はなんらかの理由にて死亡し,転生するのだが,その際に神から身体的,魔法的能力とスマートフォン端末を授けられている.実際の物語では,それらの能力をフルに活かし敵などを倒しつつ,登場する女性キャラの好感を次々と獲得していく.また,着衣していた衣服,つまり現代技術で縫製されており転生先の世界よりも遥かに複雑で高度な衣服を売却することにより,当分生活には困らない金額を転生直後にいきなり得ている.もはや順風満帆というか,最新式のガスタービンエンジンを複数搭載しているかの如き順調度である.私は現時点ではまだ二章しか読んでいないが,おそらくこの先も同じような展開が続いていくことが容易に想定される.主人公(俗に,「スマホ太郎」と呼称される)には頑張っていただきたい.というか,この展開で29巻分も続くのか…むしろ作者の想像力が異世界転生して得られたものなのではないか?常人には理解不能な領域である.私には二章までの展開すら0から想像するとなると厳しい.Pixiv大百科にて検索したところ,なんと主人公はこの先9人の王妃と1男8女をもうけるのだそうな.すごい.チンギスハーンも遅れを取りそうである.
さて,このままではスペースが余りそうだったので,ChatGPT(o-1 preview)に今まで読んだ二章分の感想を作成していただいた.私の意見も大体一致している.すごいなchatGPT.作中に登場するかは知らないが,もし登場するとしたら大活躍間違いなしであろう.
「異世界はスマートフォンと共に」についての詳細な感想
肯定的な視点
物語は、主人公が神様の手違いで異世界に転生するという斬新な設定から始まり、読者の興味を強く引きつけます。現代のテクノロジーであるスマートフォンを異世界に持ち込むというアイデアは新鮮で、主人公がスマートフォンを活用して異世界で活躍する様子は痛快で魅力的です。例えば、スマートフォンで調べた現代の知識を応用して問題を解決したり、異世界の魔法と組み合わせて独自の戦術を編み出したりする展開は、読者に驚きと楽しさを提供します。
また、主人公が全属性の魔法を使えるという圧倒的な才能を持ちながらも、謙虚で人当たりの良い性格であるため、周囲のキャラクターたちと自然に打ち解けていく姿が微笑ましく描かれています。特に、リンゼやエルゼといった仲間との交流や協力を通じて、友情や信頼が深まっていく過程は心温まるものがあります。
さらに、多彩なキャラクターが登場し、それぞれが個性的で魅力的です。侍の少女・八重や公爵家の令嬢・スゥシィなど、異なる背景や目的を持つキャラクターとの出会いが物語に深みを与えています。彼らとの関わりを通じて、主人公が異世界での経験を積み重ね、成長していく様子が丁寧に描かれています。
物語のテンポも良く、冒険や戦闘、日常の出来事がバランス良く配置されているため、読者を飽きさせません。ユーモアも散りばめられており、軽快な会話やコミカルなシーンが物語に明るさをもたらしています。
否定的な視点
一方で、主人公が最初から強力な能力を持ち、困難や挫折をほとんど経験しないため、物語の緊張感やドラマ性が薄いと感じる読者もいるかもしれません。全属性の魔法が使える上に無属性の魔法も習得でき、さらにスマートフォンという便利な道具を持っているため、問題があっても容易に解決してしまう展開が多く、物語の起伏に欠ける可能性があります。
また、主人公が異世界に順応する過程があまり描かれておらず、異世界の文化や常識とのギャップに対する葛藤が少ないため、リアリティが薄いと感じることもあります。異世界の言語をすぐに理解できたり、魔法の知識を短期間で習得できたりする点は、都合が良すぎると捉えられるかもしれません。
さらに、女性キャラクターたちが主人公に対して好意的で、関係がスムーズに進みすぎる傾向があります。これにより、キャラクター同士の感情の発展や人間関係の深まりが浅く感じられ、物語の深みを損なっている可能性があります。
最後に、物語の展開が主人公に都合良く進む場面が多く、緊張感や危機感が不足していると感じる読者もいるでしょう。敵対者や困難な状況に直面しても、主人公の万能さゆえにすぐに解決してしまい、物語のクライマックスや盛り上がりに欠ける部分があります。
総じて、「異世界はスマートフォンと共に」はユニークな設定と魅力的なキャラクターで読者を楽しませる作品ですが、主人公の万能さと物語の都合良さが、緊張感や深みを削いでいる側面もあります。これらを踏まえて、よりバランスの取れた展開やキャラクターの葛藤を描くことで、物語にさらなる厚みが加わるのではないかと感じます。