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新入社員との懇親会後に送ったメール

新入社員の皆さん、

昨日は皆さん全員とはお話ができませんでしたが、元気のある若々しい笑顔を拝見できてとても楽しいひと時でした。皆さんが学生時代や、あるいはそれ以前から続けている趣味や特技をお話しになり、それぞれの個性を感じることができました。

皆さんは縁あって○○○という△△△会社に入社しました。現実の事業に関することは、インターンという制度を経験したことがあったとしても、大学時代には十分理解が深まるように見たり聴いたり勉強できるような分野ではありませんから、ようやく皆さんが全員同じスタートラインについたわけです。これからどのような世界が皆さんの前に広がっているか、それは皆さん方一人一人の生き方によって異なってくるのだと思います。同じ会社に入社し、同じ□□□部門に所属し、同じ時代を生きていく皆さんの世界がなぜ一人一人異なるのか、有名な「シュレディンガーの猫」の逸話を念頭において考えて見てください。

ここでシュレディンガーの話を持ち出すことはいささか唐突でしょうが、理工系出身の皆さんであればなじみがあると思います。技術系以外の方々も、この話を忘れてしまった人も、それぞれ調べていただくとして、これは量子物理学と古典物理学のパラドックスを表す好例としてよく取り上げられる話題ですよね。

たとえば、消費者向けのビジネスであれ産業界向け事業であれ、企業においては顧客に喜んでもらう商品・サービスを開発することが使命です。しかし、良い商品・サービスを作ろうとして顧客の意見をそれぞれ聞いても、往々にして顧客それぞれの意見が異なっていて、それらを収束させることはなかなか難しいものです。また、顧客(特に消費者)は意見を求められるから意見を言うのであって、その意見は本当に顧客が本来的に持っていた考えなのか、その意見に合致した商品・サービスが世に出たら本当に購買行動に結びつくのか、過去の事例からビジネスはそれほど単純で簡単でないことが分かっています。

つまり、顧客を調査するミクロな観察結果が、事業の結果としての業績というマクロな事象と必ずしも一致しない、ということが起こります。皆さんの努力が事業に結びつかないことがあります(いい商品・サービスだからといって売れるわけではない)。別な言い方を使うならば、不確定性原理的に、位置と運動の情報を同時には求められない、ということが現実社会にはよくあります。

スティーブ・ジョブスはこう言っています。「他人の意見で自分の本当の心の声を消してはならない。自分の直感を信じる勇気を持ちなさい」

https://selpro.info/word/stevejobs/#i-11

矛盾を解決するのは皆さん一人一人しかありません。矛盾を解決する方法は一つではないでしょうし、必ずしも皆さんの身近にあるとも限りません。昨日もどなたかがおっしゃっていましたが、夢は持つものではなく実現するもので、皆さんの強い意志と行動が矛盾の解決を後押ししてくれます。

長々と書き連ねてしまいましたが、言いたかったことは、○○○という会社に入社した縁や偶然を活かして、どうか実りある充実した会社生活を送ってください。そして、これから何かの機会にまた皆さんとお目にかかることもあろうと思いますので、そのときには一緒に楽しく仕事をいたしましょう。

いつまでも元気で若々しい笑顔で仕事に向かってください。

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