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仕事って?

マーフィーの法則をご存じですか。

洗車をすると雨が降る、行きつけのカフェに久しぶりに行ったら臨時休業だった、おろしたての白い服を着て出かけると必ずシミをつけて帰ってくる、等々、よかれと思って行動すると必ず失敗する、なんてことをうまく言い当てた言葉ですね。成功するか失敗するか、確率は状況によって異なるものの、成功してもいいはずなのにどういうわけかたいていは失敗するという人生の経験則をうまく言い表した法則です。

これってビジネスの現場でもよく当てはまります。いえ、必ず失敗するってことを言いたいんじゃなく、法則ですから、科学的な観点から物事を観察すると社会の事象をうまく理解できる、と言うことです。このサイトの運営者は化学系の大学・大学院の出身者ですが、受講した講義の種類は純然たる化学だけでなく、科学、例えば、物理化学とか熱力学とか量子力学とか、その神髄を会得したかどうかは別としても、いわゆる科学全般を広く浅く見る機会がありました。そんな薄っぺらな知識しかないわけですが、社会科学や文学の視点で見るよりも科学の法則や概念で世の中を見てみると、社会には、あるいはビジネスの世界には、物理や化学でうまく理解できる事象にあふれている、と思うようになりました。

2013年12月30日に惜しまれつつ亡くなった大滝詠一(たった2年半のはっぴいえんどとしての活動において異彩を放った彼ですが、そのはっぴいえんどのファーストアルバム「はっぴいえんど」は通称ゆでめんとよばれ、林静一が描いたそのアルバムジャケットのゆでめん屋・風間商店は運営者の住まいのすぐ近くにあり、子供の頃よくゆでめんを買いに行かされました)。その彼は2011年に久米宏のラジオ番組にゲスト出演しました。

当時大滝は仕事であるべきの音楽活動をほとんどせず、音楽を自宅のスタジオで聴いたり趣味の活動で毎日を過ごしていることが多かったのですが、大滝にとって仕事とはいわゆる我々の漠然と考える仕事とは異なるのだろうと久米は考え、広辞苑で「仕事」を調べ披露し、大滝はまさに仕事をする毎日だととらえました。

そうです、仕事とは、生活の糧を得るためになすことだけではなく、科学的に記述すれば、あるものをある方向にある距離だけ移動すること、です。つまりそれってイノベーションをうまく言い表していますよね。従来とは少し異なった角度で、従来とは少し異なった進め方をすると、従来とは少し異なった新たな価値が生まれる。

営業で何社のユーザーを回りましたとか、報告書を書くために何時間残業しましたとか、データを何件端末から打ち込みましたとか、それらは大切な業務です。そしてその業務そのものやプロセスに対して新たな価値を生み出すためになすこと、それが仕事です。

事程左様に、世の中は科学の法則で動いているように見ることができます。

たとえばハイゼンベルグの不確定性原理。

誤解を恐れずに説明すると、物事の状態と運動の方向は同時には観測できない。どんなに詳しく調査をしても、競合他社の動向や消費者の嗜好を正しく予測することはできない。

マルコニコフの法則

貧乏人はより貧乏に、金持ちはより金持ちに。

バタフライ効果。

世の中の動きは予測不可能。

シュレディンガーの猫。

これもまた、世の中の動きは予測不可能。


と、いろいろ事例を挙げましたが、社会科学のどのような論文よりも、日常生活やビジネスの世界の不条理をうまく説明する言葉が物理や化学の世界には多くあります。社会人に成り立ての皆さんは、先輩や上司の指示を聞いてそれに従ったつもりでも、いつも結果はうまくいかないことが多い、と嘆いているかもしれません。そんなことは物理学者や化学者は先刻ご承知。

大事なことはやりきること、です。

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