[12世紀]古フランス語の音声(覚え書き)

母音(5種28音) 

口音母音:[ a ] [ ɛ ] [ e ] [ i ] [ ɔ ] [ u ] [ y ] [ ə ]
鼻母音:[ ã ] [ ẽ ] [ ĩ ] [ õ ] [ ỹ ]
* 純粋な鼻母音ではなく後続の鼻子音も発音された。
口音二重母音:[ áu ] [ ié ] [ ói ] [ u ] [ ǿu ] [ yí ] [ uǿ ]
* [
i ] は 11世紀末までに [ ɛ ] [ e ] に縮減した。
* [ i ] は 12世紀の間に [ ói ] になった。
鼻音二重母音:[ ẽi ] [ iẽ ] [ õi ] [ uẽ ] [ yĩ ]
* 煩雑になるためアクセント記号は省く。いずれも鼻音にアクセント。
三重母音:[ eáu ] [ iéu ] [ uéu ]

子音(21音)

[ b ] [ p ] [ v ] [ f ] [ z ] [ s ] [ d ] [ t ] [ ɡ ] [ k ] [ dʒ ] [ tʃ ] [ dz ] [ ts ]
[ h ] [ l ] [ ʎ ] [ m ] [ n ] [ ɲ ] [ r ]
* [ h ] はゲルマン語系の単語に現れる。ラテン語由来の h は発音されない。
* [ dʒ ] [ tʃ ] [ dz ] [ ts ] は次第に歯音的要素を失い [ ʒ ] [ ʃ ] [ z ] [ s ] になる。

綴字法

i は [ i ] も [ dʒ ] もあらわす( i と j の区別がない)
u は [ u ] も [ v ] もあらわす( u と v の区別がない)
e は四種類の音をあらわし得る。長い [ e ] および [ ɛ ] [ e ] [ ə ]
* 長い [ e ] はラテン語のアクセントがある [ a ] に由来する。
c について
[ ts ]( e や i の前)
[ k ](a や o や u の前)
[ tʃ ](a の前)* 通常は ch と書かれる。

g について
[ dʒ ](a や e や i の前)* 通常は i ( j ) と書かれる。
[ g ](a や o や u の前)
母音に挟まれた -s- は [ z ] をあらわす(現代と同じ)
[ ʎ ] は ll やその前後に i を加えてあらわす。ill など。
[ ɲ ] は gn やその前後に i や n を加えてあらわす。ign など。

読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは、より正確でより専門的な記事を書くため、関連書籍の購入に充てさせていただきます。