インフォデミックに政府はどう対処するべきか

コロナウィルスがどのようなウィルスなのか、どのような対処を政府が行うべきかは専門家によって意見が分かれる部分ではあるが、確実に言えることが不確かな情報、誤認識によってウィルスの脅威が過大に恐れられていることである。

21世紀の感染症”インフォデミック”

BBCの記事によるとWHO(世界保健機構)がシリンコンバレーに向かいSNSのプラットフォームを提供する企業に対し、誤情報に対して何らかの措置を取るように促した。SNS上ではコロナに関する根も葉もない噂が拡散され、がまるで事実かのように扱われている。それによってWHOは恐怖の拡散がなされていると指摘し、その現象をインフォメーション(情報)とパンデミック(感染症)を掛け合わせたインフォデミックだと称している。

人々はなぜインフルを問題視しないのか?

どの国でもコロナウィルスによる死者や感染者数がメディアにおいて強調されているが、同じく猛威を振るっているインフルエンザに対して人々の関心が低すぎるように思われる。

アメリカでは既に昨年度の10月から今年の2月にかけて一万以上の人々が無くなっている。また2017年から2018年シーズンにかけて6万人以上の人々が無くなっていたという情報がある。またWHOの予測によるとインフルによる死者は毎年29万人から64万人に上ると報告させる。

感染者数に至っては厚生労働省によると例年の日本では推定1000万人の感染者が発生しており、アメリカ疾病管理予防センターによるとアメリカ国内では人口の3%から11%がインフルに感染するとしている。

これらの数字から分かることは二点ある。

ひとつがインフルエンザは軽い病気ではなく、今でも多数の死者を出している危険性がある病気だということである。

ふたつめがインフルエンザが社会的に許容されていることである。コロナウィルスの状況は2009年に新型インフルエンザが大流行した時と類似点が多々ある。例を挙げると株価の下落、各国政府への感染症対策に対する批判、急速な感染者の増加などである。また、この時もコロナウィルスと同様にパンデミック宣言が出された。(しかし、新型インフルの脅威が製薬会社によって誇張されていたという指摘もあり、それが理由で今回のWHOのパンデミック宣言が遅れたという可能性がある)

しかし、それから11年経った今ではインフルは「ただの風邪」と同じ扱いを受けており、インフルの危険性を声高に叫ぶ人はあまり見受けられない。要するに社会が悪い意味でインフルに慣れてしまったとすることもできる。

その事例を考慮すると何年後にはコロナウィルスも同じような扱いをされていくことが予想されるが、2009年と違い、2020年は全世界でSNSの使用が普遍的なものになっており、SNSが第一の情報源だという人も増えてきているため、恐怖の膨張は今後もしばらく続くだろうと筆者は考える。

政府は経済活動の再開を早急に目指すべき

しかし、例えコロナウィルスの正しい情報を政府機関から手に入れ、正しく恐れることができていたとしても、経済活動の停止による先行きが見えないことによって生じる不安が人々をフェイクニュースを信じ込ませる一番の誘因だと筆者は考える。

世界各国の政府の対応を見ていると渡航制限や外出の自粛を勧告したりして様々な対策を施しているが、それによって経済が大きな打撃を受けている。アメリカの株価はトランプ大統領就任時の数字に戻ってしまい、日経平均株価も大きな下落を見せている。企業によっては内定が決まっていた採用者の内定取り消しや、採用の中止を発表してる。これらの事例は政府の措置によって経済活動が完全にストップしていることを示しており、リーマンショック以上の悪影響が世界経済に与えられるのではないかという恐怖感がある。

この状況に対して各国は国民にお金をバラまいて、経済活動の停止を乗り切ってもらうように努力しているがこれには限界がある。たとえ国民に一律に10万円配ったとしても経済的に困窮している人にとっては足りない可能性がある。また、いくらお金を配って需要を刺激しても、そのお金を使える場所、市場が機能不全に陥っている以上、長期的に見ればバラマキ政策は焼け石に水である。

そのためさらなる経済の悪化の防止するために筆者は以下のふたつの措置を提案する。

1、感染拡大のリスクが低い業種、施設に対しては業務を再開するように要請する。

2、いつまで活動自粛が続くのか具体的な日程を国民に知らせ、その通りに行かなかった場合の代替案も同時に提示する。

上記で提示した手段のように経済活動の再開を促すような措置を政府が講じることができなければ、さらなる恐怖感が国民を襲い、コロナによるインフォデミックが長引いてしまい、国民の貯蓄が無くなり、医療費が払えなくなることが予測される。そのため政府は引き続き感染拡大の防止に努めるともに、先を見据えて経済活動が上向くような措置を早急に考えだす必要性がある。


参考文献

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