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文豪失格

 アニメでやたら太宰治がでてきて、『死にたがる』
玉川上水で死んだのか覚えてないし、太宰治の本は読んだことがない 瀬戸内寂聴が、自分のムック本で坂口安吾の回想を載せていたところしか印象がない 入水したという知らせを受けて、安吾はすぐに身を隠す とうとう死んだのではないか、インタビューの記者に囲まれたくない、ただそれだけで安吾は逃げ続ける、周りの作家も同じだ これは安吾が薄情なのではなく、ずっとそんなことを繰り返して迷惑をこおむっていたので避難経路ができあがっていたらしい そこは安吾を責めれない
 小学校のとき、国語の先生がなぜこの人たちは後世に名が残っているか私たちに問いかけた 答えは『カッコいい写真を残したから』 もちろんこれは冗談なのだが、真実でもある 坂口安吾の有名なキセルを持った写真はそれ用に撮影してある、他の作家の写真のポーズは言わずもがな
 そして、下らないことを調べるためにネットを開くとそこにはモッサリとした男が写っていた 太宰治だ こんな顔だったっけ 子どもの頃に見た、憂いを含んだ麗人は、ただのオッサンになっていた そう、彼の年齢を超えてまわりの男性も劣化していき、ただのオッサンに囲まれると太宰治は珍しいオッサンでは無くなっていた 子どものころに見た太宰治の写真は、もう心のなかにしか無い