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商いは難しい

子供の頃、「どてらい男(やつ)」という西郷輝彦主演のドラマに熱中した。途中から偶然見始めたが、面白くて最終回まで見続けた。
このドラマは幻の名作と言われ、制作した関西テレビにもビデオテープが数本残っているだけだった。それが最近になって視聴者が録画していたビデオテープが発掘され動画投稿サイトにアップロードされている。
今も大阪に本社がある山善という会社を起した山本猛夫がモデルになっている。

私はこのドラマのことをよく覚えている。今、1日1本のペースで視聴しているが、セリフや設定なども45年以上経っても忘れていない。
私も商人(あきんど)になりたくて大阪は船場の会社に就職した。だが、高卒者の入社3年間の離職者の割合はかなり多く、私もたった2ヶ月で辞めてしまった。
その会社は写真用品の卸問屋だったが、今では写真用品から撤退してセキュリティシステムやOA機器を扱う会社になり、規模も小さくなった。

商人に憧れていた私だが、商売の才覚はどうやら無いようだ。最近、以前使っていたPCを分解して中古買取りの店に持っていったが、値段がつかない物ばかり。値段がついても交通費で赤字になる有様だ。
売りでもダメだが、買いでも才能がない。不要な物を衝動買したり、必要な物も相場が上がっている時に買ってしまう。

こんな私だが、以前は相場を張っていたことがある。先物取引や外国為替証拠金取引だ。こちらの方はまずまず上手く行った。
私はロングと呼ばれる安く買って高く売る方法よりも、高く売って安く買い戻すショートが得意だった。相場は上がる時はゆっくりだが、いったん崩れると一気に値が下がる。そこを狙ってずいぶん儲けた。

今は安定した生活を手に入れたので、リスクを取って相場を張ることはなくなったが、投機家としての精神は持ち続けている。

そういえば、日本では投資は善で投機は悪だという意識がある。しかし、世の中の価格の変動によって利益が得られる事柄はすべて投機である。株式の売買や普通の商売だって投機である。投資とは付加価値を生み出すものだけだ。だが、投機家が存在しないと投資家は利益を確定することが出来ない。投機家が流動性を生み出すことで投資家は利益が得られるのだ。だから、投機は悪だという考えは間違っている。

話を戻そう。商売というのは大変なものだ。私の家の近所に去年の秋、2件のタピオカ屋が開店した。そのうち1店は閑古鳥が鳴いているし、もう1店は越冬出来ずに店を閉めた。継続的に顧客に買ってもらえる店や会社はとにかく偉いと思う。そこには経営者の努力もあるだろうが、才能も大きなウエイトを占める気がする。

ということで、今日は私が商い下手というお噂で失礼した。

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