見出し画像

助けを求められる

運河沿いの気持ちのいい遊歩道を夫と散歩していた時のこと。向こうから犬を連れたマダムがやって来くるのは見えていたのですが、気が付いたら、マダムが立ち止まって、私たちに向かって何か叫んでいるのでした。

まだマスクが義務だった時のことで、一生懸命叫んではいても、何を言っているのかさっぱり分かりません。
夫と速足で近づいて行くと、マダムは自分の犬が進まないよう抑えながら、「リードなしでやってくる犬がいるから、その飼い主に犬をリードに繋ぐように言ってくれ」と頼んできたのでした。

振り返ってみると、タッタタッタと近づいてくる大きな犬には確かにリードがついておらず、その後ろの方で飼い主と思われる男性が、のんびり歩いているのが見えました。
マダム曰く、自分の犬がやんちゃで、他の犬に危害を加えるといけないから、リードをつけて犬同士が近づかないようにしてほしい、ということでした。マダムの犬も大きめで、やってくる犬に興味を惹かれており、大きな犬同士がケンカになったら大変です。

事情は分かって、私と夫が声を張って「ムッシュー!」と言って手を振ったら、男性も手を挙げ、のんきそうに、「大丈夫~!犬同士は知り合ってるよ!」と言い返してきました。今思えば、男性は何が起きているかちゃんと把握していて、何も心配ないので、余裕でぶらぶらと歩いていたのでしょう。
マダムは、「あら?そうだった?」という顔になって、二匹は近づいても挨拶しあう程度で何も起きませんでした。

男性も私たちのところに到着した時には、マダムもすっかり気持ちが落ち着いて、飼い主同士の会話が始まり、私たちは「よかったですね」と言ってお暇したのでした。
フランスって時々、コメディー劇場みたいな事があって、そういう所は大好きです。

今日も読んでくださり有難うございました。

konomiasahiさん、イラストを使わせて頂きありがとうございます!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?