見出し画像

理系の女性を増やすには家庭や学校での働きかけだけでなく、ジジイへの教育も急務だ

こんにちは!今日は女性が歩む理系の進路と、それを阻害してくる企業側の要因についてお話したいと思います。きっかけは日経クロスウーマンの記事で理系の進路選択をする女子学生を増やすには家庭や学校での働きかけが大事、といった趣旨の記事を見たことです。


もちろんこちらの記事の趣旨には、私も元研究職として大賛成です。男女の賃金格差が取り沙汰される中、いわゆる理系領域に進学して研究者や技術者として一定の賃金を得る、そして経済的に自立した女性が増えるのは素晴らしいことだと思います。

一方で、この記事に挙げられているような、家庭や学校だけの働きかけで理系を選択する女子学生が増えてそれで万歳、で終わるのは若干違和感があるというか、もったいないと思うのです。

理系を選択した女性たちは、理系関連の職種に就くことが想定されているわけで、その職場環境のことは少なくともこの記事では一切考慮されていないからです。

このような違和感を元に、家庭や学校での働きかけだけではなくて職場のジジイへの教育も必要だというタイトルにしました。

日本における研究者の男女数の現状

今回の日経クロスウーマンのような記事が出た背景としては、理系領域での女性の数が男性と比べて圧倒的に少ないことが挙げられます。

実際に男女共同参画局のデータによると、やや古いデータではありますが、研究者に占める女性の割合は平成24年でも14%です。

女性研究者の数と研究者に占める女性の割合

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-07-07.html

もちろんこれまでの日本における理系的な組織(メーカー技術職や研究機関など)が、圧倒的・画一的な男性社会で世界と勝負できるいい製品・サービスを作れるなら話は別なのですが、これからは多様なニーズを想定した製品開発に向けて、組織側も多様な人材を抱える組織でないと勝負できない状況です。

数少ない理系の女性人材に起こりがちなこと

私は今は技術営業なので理系職種かと言われると微妙ですが、新卒で入った化学メーカーでは9年間、研究職として働いていたので、上記の日経クロスウーマンで挙げられている『理系の女性人材』でした。

しかし上記で紹介したように理系領域での女性は数少なく、私の入った研究開発部門も男女比率は9対1ほどだったと記憶しています。

そのような環境だと、数少ない女性研究職に何が起こるでしょうか?

少なくとも私の周囲では、女性に対して『無用なイジリ』であったり、『意味不明なコミュニケーション』が起こっていました。

ここで言う無用なイジりや意味不明なコミュニケーションとは、女性に対して『料理ができないとか女子力が低い』とか『25過ぎたらババアだよ』といった男性からの言動のことです(どうでもいいですが、研究職のほとんどは院卒で24、25歳で新卒入社のため、彼らの言説が正しければ研究職女性の大半はババアということになります)。

おそらくイジってる本人らは女性への親しみや、どう接していいかわからない照れくさい気持ちもあったかもしれませんが、親しさや照れくささを楯に女性を削ってくるコミュニケーションは厚かましいにもほどがあります

またこのような事例については、中野円佳氏の『上司のいじりが許せない』という成書もあり、私の身の回りに限ったことではなさそうです。

一般的にジジイというと性格や素行の悪い中高年男性を指しますが、本記事ではマイナーな理系女性人材に対して上記のような言動をする人全般を年齢性別関係なく『ジジイ』と定義し、家庭や学校での働きかけで理系女性を増やして満足するのではなく、企業による『ジジイ』への教育も必要だと考えました。

企業によるジジイへの教育と女性側で出来ること

上記のような言動をする『ジジイ』のいる職場からはさっさと転職するのが一番だと思います。もしそのようなジジイが大多数を占める職場ですとまともな方が報われることはほぼないからです。

まともな考えの方が抜けたのちにジジイだけで濃縮された職場は、そのうちコンプライアンスで何か問題を起こしたり、魅力的な製品やサービスを開発できず、自滅・淘汰されると思います。

とはいえ家庭の事情ですぐに転職は難しい方も多いと思いますので、女性社員やマイノリティにだけ対応させるのではなく、やはり企業側もジジイに対する『教育』が必要です。

世間ではハラスメント研修やマネジメント研修、またエンゲージメントテストなどさまざまな人事・教育施策があり、大きな会社だとすでに義務としてそれらへ取り組んでいる会社もありますが、個人的には役職者から本人へ『毅然とした態度で』注意することにも草の根運動的に効果があるなと感じます。

以前勤めていた小さなベンチャー企業時代の話ですが、とあるマネージャーが会議の場でジェンダー面で違和感のある発言をしたことがありました。その時同席していた社長が、金輪際そのような発言はしないでください、と毅然とした態度で彼に注意したのです。

すでにその職場から私は離れていますが、違和感のある言動をする社員へ社長が毅然とした態度で注意する姿は人間としてすごく尊敬できるなと思いました。そして注意された管理職も、少なくとも私の前でそのようなジェンダー的にNGな発言はその後しなくなったので、彼にとってもインパクトがあったようです。

もし役職者も社員に対して注意できないような組織であれば残念ですが距離を置いた方が良いと思います。

他にも女性側で対策できることとしては、
・白髪男性の目立つ職場は避ける(おそらく組織内での人材流動性が低い)
・年功序列の会社は避ける(働かないオッサンがいる可能性が高い)
といったところでしょうか。

最後に

ということで、理系の女性を増やして満足・バンザイというだけでは物足りないと思いましたので、その後の定着を考えると彼女らを無用に削ってくる要素を少なくする必要があるというお話でした。

看護やサービス業のように、男女比が研究職と逆転して女性率が高い職場ではもしかすると女性から男性に対して似たようなことが起こっているかもしれません。

今後は人的供給制約の時代でもあり、一人の言動のおかしな社員をきっかけに、せっかく採用した社員が退職してしまっては数百万、数千万円の損害になり得ます。

今回は女子学生が理系へ進学するためにという記事をもとに、理系へ進学しただけではダメで、その後の職場環境も重要だということを述べてみました。

それではまた!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?