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「テイルズ オブ アライズ」良い点と悪い点について語らせてくれ。

かなり書き殴ったからぐちゃぐちゃだけど許して欲しい。

テイルズはヴェスペリアの箱版をクリアまで
アビスとベルセリアをほんの序盤まで
やったことだけある。

ネタバレは極力避けたいがどうしても触れてしまうと思う。遊んでいる人ならなんとなく分かるレベル。


よかったところ

・領将(都市国家の領主)征伐編、いわゆる第一部はとても良かった
支配する側とされる側、差別する側とされる側の構造が複雑に絡んでいて、雁字搦めになっている現実
非合理的な行いも、そうせざるを得なくなっていくうちにそれが自然になっていく恐ろしさ
それら不条理に対する主人公の考え方(「壁を壊す」とか、「奴隷でないということは自分が自分を従えている」といった旨のフレーズが頻繁に用いられる)はブレずに芯がある。
主人公が解放者として各地を渡り歩き、色々な境遇の人々と出会い、その思いを自分なりに精錬していく第一部のストーリーは非常に面白かった。


・第一部の戦闘バランスは非常に良い
二人目のボスは序盤にしてはやや難しすぎる部分もあるが…
手札が揃ってくると好きなコンボルートを組めるようになってくるので、雑魚敵戦は非常に楽しめる。
硬い雑魚敵もコンボでダウン値を蓄積していくと一撃必殺級の攻撃で倒すことができるので、爽快感がある。
弱点属性で突くなどもあるが、相手と同属性の技でも問題なくダウン値とダメージは与えられる。
属性相性での吸収や無効というのはこのゲームには存在しないので、シーンに合わせてわざわざ技術を組み替える必要はほとんどない。


・コスチュームを変えると会話イベント中でもしっかり反映される
真面目な衣装を着せたり、ツッコミどころしかない衣装を着せたりして遊ぶことが可能。
一度見た会話イベントは何度でも見返すことができる(やったことはないけど)


ダメだったとこ、微妙だったとこ

・敵のHPのインフレと味方HPの無価値化、そこから導かれてしまう最適解
相当丹念にレベリングしない限り、強い雑魚もしくはボスには数発殴られたりハメられたりして瀕死になってしまう。ボスは限定行動や対応するキャラ固有のアクション以外では基本よろめかない。
第一部ではそこまで気にはならないものの、終盤に差し掛かるにつれて段々と味方のHP上昇スピードと敵の攻撃力が噛み合わなくなってくる。

「場合によっては数発で死ぬボスに対して、攻撃を貰わないようにしつつ強い技をチマチマ差し込むボス戦」と、「コンボにはめて必殺技でサクッと倒す雑魚戦」が本質的に違うゲームになってしまっている。
ここの差があまり面白さに繋がっているとは思わなかった。

ボス戦においては、地上に這いつくばる戦法は攻撃を貰いやすいため基本的に弱く(例外な技もある)、空中であっても長いモーションは隙を晒すことになるので安易に振れない。
そのため、空中で使えて、かつ威力とモーションの長さのバランスの取れた技が非常に強い。弱点部位の概念があるため、狙ったところにも当てられる技だとなお強い。これを満たす技が中盤から使える崩襲撃など。

以降のボス戦はこれを振っているだけ。敵の攻撃を食らったら瀕死、地上が弱い、前衛にヘイトが向かいやすいというシステム上、自然とそうなってしまう。
(遠距離攻撃のできるキャラは変わってくるが。)

いよいよラストダンジョンともなると、
ボス級の敵のコンパチがメインの敵となる。
コンパチといってもボスと同じくよろめかないので、通常の雑魚のようにコンボにはめてダウンやよろけを…といったことはできない。ボス戦と同じセオリーで戦う必要がある。
レベリング必須級のゲームの雑魚敵に、異常に時間がかかる様になる。リアル体力が削られる体験だった。

クリア後のボスでさえ同じ。ほとんど同じ。プレイヤー側に工夫する余地があまり無い。せいぜいパナす技が変わるくらい。
なので、最終的に
反撃時ダメージUP+30%を4枚積み、一心不乱に崩襲撃で敵の頭をかち割るゲームになった。
反撃とは言うものの、敵の攻撃モーション
(準備中から振った後であり、攻撃判定が出ている間だけではないのでかなり長い)
中に攻撃を被せることを言うので、大抵のボス戦はこのほぼ常時120%バフのかかった状態で挑むことになる。

主人公に関しては覇道滅封という技も発生が優秀(=集団戦でも潰されづらい)でモーションも短く強い。
が、HPが使用時のチャージ分だけ減る仕様が、
ただでさえ紙耐久なうえに、金欠で体力回復量を減らさないと財布がしんどい
事故を防ぐため発動直前に回復術を指示して詠唱してもらう必要があり連発できない
とつくづくゲームシステムに嫌われているので、自分は集団戦以外では用いなかった。


・ほぼイベントみたいなボス戦
終盤のイベントの後、各地に現れるそれぞれの属性のボス。
どれもが超巨大で、どうやって倒すか見当もつかないようなものばかりだが、
その戦闘はまさかの雑魚狩りからのQTE(といっても時間制限らしいものはない)そしてちょこまか弱点を叩いて勝利。
これは完全版の布石なのか、あるいは本気で面白いと思ってこういう仕様にしたのか分からなかった。


・ジルファ擦りすぎ問題
事あるごとに話題に出てくる。
師として仰ぐのは構わないが、
あまりにも擦りすぎるので、回想でセピア色の彼の顔が出てくるたび(特徴的なお顔立ちをしている)に笑みがこぼれるようになってしまった。
そもそもジルファだって奴隷上がりなのに何者だよ。
反抗勢力ってどうやって立ち上げて大きくしたんだよ。なんでご自慢の秘密基地が一瞬でバレたんだよ(説明があったかもしれないが…)

・第二部のシナリオが非常に変
詳しく話してしまうとえげつないネタバレになるので避けたいが
1個人の問題がいつの間にか世界の存続するしないの問題に絡まっていて、個人の問題解決がそのまま世界の問題解決に繋がっている。手垢のついたセカイ系と言ってしまえば乱暴で失礼だがそんな感じ。

また、結局何がしたかったの?と感じてしまうほど魅力の無いラスボス(なぜそこまで強者だか王だかに拘るのかがまっっっったく説明が無いので分からない)や、
ナノマシンかなんか知らん技術で知覚できないというあまりにも便利すぎる設定の黒幕など、
ライターが交代したのではと勘繰るレベルで、第一部に比べて物語の質が落ちている。
あれだけ「奴隷でないということは…」、というメッセージを軸にしてきたのに、主人公一行はポッと出の黒幕(とはぐれて、世界の観測者というこれまた手垢のついた存在)の鉄砲玉にされてしまう。首を傾げる展開。
わざわざこれは俺たち自身の意思だと釈明するのもわざとらしい。意思だろうと、選択の余地なく行なったら服従・隷従と変わらないってさんざんやったのに…
ラスボスの前座(=実際のラスボス。ラスボスは食玩を買ったら付いてくるおまけのガムのようなもの。)と敵対する理由も
「俺はお前が悪い奴だと思ったから、お前は悪い。だから倒す。」
という循環論法に陥っており…まぁ、第一部から既にその誤謬には嵌っているのだけれど、奴隷解放という大義名分で正当化されている。
お互いのっぴきならない状況なので殺し合いになってるんだぞ、というだけのことを変に言い訳がましく喋るんで、浅ましく感じた。
同じような言葉の繰り返しになってしまったが、アライズ終盤の違和感はこういったよく分からん言い訳がましさが大部分を占めている。

「俺たちは正しい(こういう直接な台詞を言うわけでは無いけども)」「お前を倒さなければならない」…後者はともかく、前者は何を根拠に??そんな違和感が拭えなかった。
そこに上位存在の意思がどうとか、世界はもともと一つだったとか抽象的な事を後出しに色々言われても話がややこしくなるばかりで、この物語のメッセージ性は濃霧に包まれてしまった。



その後のラスボス戦で主人公が吐く言葉も、今までの話の流れとはやや違う路線の話をしていて、とっ散らかっている印象。
「自分で自分を認めて向き合う」ということと、「その自立の過程に仲間がいると心強いよね」ということは別の話。
なのに、
「お前は仲間がいなかったから自分で自分を認められなかった」
「お前の限界は仲間がいなかったこと」
という説教なのか説教じゃないのかよく分からない話に持っていかれると、
ロジックとしてそこは繋がらないんじゃない?と思わざるを得なかった。
たしかに主人公一行は仲間がいてこそ自分の心の闇に飲まれず奮起できた人間達であるし、自分の体験を根拠に喋るのはごもっとも、ではあるのだが…
「仲間がいなければ自分で自分に向き合うことができない、は真なのか」について一度も考えるシーンが無いので唐突に感じる。

ラスボスにだって親兄弟主人友人色々あっただろうに、あえて今一人でいることの意味について顧みる事なく発言するのは、今までの(=第一部までの、というか普段仲間に接している時の)主人公では考えられなかった。
そして、実力でへし折っておいて勧誘するって虫が良すぎる。立場が変われば見え方も変わるって、つい数時間前に話していたのを忘れたのか。

ここは台詞回しなども悪いが脚本の見せ方も悪い。なぜラスボスは仲間無しのたった一人で力の頂点に立とうとあがいたのか?掘り下げなきゃいけなかった。掘り下げて欲しい、じゃなく、これはライターの義務。

星や人の体を流れるエネルギーが枯渇したらどうこうとか、謎に包まれた長身細身の男剣士とか、いつまでFF7擦り続けるのか…

ラストは…というか、第二部全般にわたって主人公一行は急に出たとこ勝負、なんとかなるっしょみたいな行動原理に変わっており残念だった。
なまじやってきたことが正しかった(少なくとも一行はそう自負している)だけに、行動に緊張感がなく、一行の油断で敵に先手を取られることがちょくちょくあり間抜けに感じた。
禁域あたりは予想通りというか、文章ばかり読まされると…ヨコオタロウ作品やってるんじゃないんだぞと。(念のため言っておくとニーアシリーズの外部資料ありきな作風は好き)

やはり終盤のあの流れで凄い伏線回収!ってプレイヤーが喜ぶのはちょっと違うかなと思う…あれは伏線回収って言っちゃいけない。自分はどちらかと言えば打ち切りに近いテンションを感じた。
良い例が思いつかないので申し訳ないが、あのソードマスターヤマトの剣一振りでポッと出の四天王の残り全員倒すみたいな。
あ久しぶりに「無理やり風呂敷を畳みに行ってるなー」というのをビリビリ感じた。

エンディングのアレは好きだけど…それありきのシナリオに組み替えたよね?と疑わずにはいられない…
エンディング後の世界についてもエンディング中の一枚絵以外何も描かれないのは不満。
全ての壁を壊したあと、主人公一行にはまだやるべきことがあるはず…

シナリオは第一部は間違いなく名作〜良作だった。
そこからの展開が腕の見せ所だったはず…。


掘り下げで思い出したが、メインヒロインも間違いなく掘り下げが足りていない。
なんで最初に捕まっているのか。
なぜ、どうやって火のマスターコアを盗んだのか。
主人公と出会わなければ、どうやって戦うつもりだったのか。(自分で焔の剣を使うつもりだったとか言ってたのは強がりの嘘だろうと思う)
主人公に出会うまでどうやって生きてきたのかが分からない。
どこで銃を学んだのかが分からない。
なぜ彼女の代で荊が発現したのかが分からない。
中盤にどんな洗脳をかけられて、なぜそれが解けたのか分からない。


・掛け合いのバリエーション不足
戦闘では同じ掛け合いばかり聞く。
それ自体問題はないものの、
終盤は「カップルがいちゃつきながら命のやり取りをする」という傍目に見れば狂気そのものとしか言えない光景に何度も出くわす。


と色々書いたが、良いゲームだった。
終盤は色々と目も当てられないが、それでも楽しかったことに変わりはない。
ボス戦のバランスはもう少しなんとかして欲しかった。惜しすぎる。


ここ違うぞとかここ説明あるぞとか、
ここも気になったとか、コメント等ご自由にどうぞ。

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