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いつか愛してると言われた

自分の人生を年表にするなら、紀元前後のようにピングドラム前とピングドラム後があります。

そのくらい、アニメ「輪るピングドラム」は私にとって特別でした。
救われた、影響を受けた、人生が変わった……浮かぶ言葉はたくさんあるけれど、そのどれもがあてはまるような、仰々しすぎるような。
生きるために呼吸するのが楽になった……という感じかも。

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主人公は三人のきょうだい。
高校生の双子の兄たちと病気の妹は三人だけでつつましい生活をしていますが、実は妹は余命幾許もありません。
水族館にでかけた日、妹は倒れて息をひきとってしまいます。
嘆く兄と弟の前で、水族館で買った奇妙な帽子をかぶった妹が生き返ります。
まるで別人のような口調でしゃべる妹は「ピングドラムを手に入れろ、さもなくば妹は死ぬ」と宣告します。
こうして兄たちは、何かもわからないピングドラムを探すことに……。

今なら一話が無料で見られます。

好きなところはいろいろあるのですが……。

1話だけでもわかるところというと、オープニングの歌と映像のオシャレさとか。
三人のところにペンギンが送られてくるのですが、そのペンギンが現れたときに画面が弟の見ている視界のようにブレているところとか。
モブたちはみんなピクトグラムで表されているところとか。
三人の暮らすカラフルなお部屋のかわいらしさとか。
通りすがりの少年たちが話している宮澤賢治の話と、まるでアニメの「銀河鉄道の夜」の猫のようなカラーリングをしている双子の兄と弟とか。
普通、変身したらどんどん服を身につけていくはずなのに逆にだんだん脱いでいくところとか。
約30分弱の中にものすごく情報量が詰め込まれていて今でも何度も見てしまいます。

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作品中に「誰かの愛してるって言葉が必要だった」という言葉が出てくるのですが、最後までこのアニメを見ると「愛してる」って言われたような気持ちになるんですよね。

過去か未来かもわからない、具体的に誰に言われたかもわからないけれど、時間も空間も超えて「愛してる」って。確かに言われたことがあるような(これから言われるような)気持ちになるんです。

それだけでこれから先も生きていくのが大丈夫になるような、そんな気持ちに。

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写真は数年前に写したものです。今では水族館のペンギン水槽がずいぶん変わりました。東京の様子はわからないことが多いので、アニメを見てもふうんという程度だったのが実際に歩いてみると雰囲気がよくわかってとても楽しかったです。

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