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能動経済 世界一お金を憎むFP∶新庄耕著「地面師たち」読了直後感想

 お金とは何だろう?
 泣ける要素の一切ないドライな本小説「地面師たち」を読みながら、不覚にも自分は何度も落涙した。「お金とは何だろう?」と、自分の人生を振り返りながら。
 普段どんなに反権力を訴えるような人でもお金の前には無力だ。現代「お金」という権力は肥大に肥大を重ね、とんでもない一大権力になってしまった。逆らえる者はほとんど居ない。私も人生の中で何度もお金で人間関係を壊された。
 大人になるという事は、小さい頃から大人たちに教わった世界が、大嘘であるという事を、一つ一つ知る過定なのだろう。
 私たちは大人の階段を一つ上がる登るたび
に 「あー嘘だった」と小さな絶望を味わっていく。
 民主主義は、誰もが平等であるとか、資本主義社会は全ての者にチャンスがあり努力すれば成功できるとか。
 子どもの頃に童話やアニメや映画や歌、先生や親から聞かされていた事と、実さいに大人になり現実の世界の住人になったとき目にするものの落差に、我々は 日々落たんし、歳をとっていく。
 小説やマンガや太古の歴史が大好きな夢見がちな少女だった私も、中年になって様々な落たんを経て48歳というところまで登ってきた。
 子どもの頃は見えていなかった様々な嘘が
今は見える。特に経済の目を通すと。
 ユヴァル・ノア・ハラリは言った。「黒人は黒人差別を否定する為に黒人差別の歴史を学び、フェミニストは女性差別を否定する為に女性差別の歴史を学ぶのだ」と。
 私はずっと大人に言われた社会を素直に信じて育ってきた。そしてそれらは全部建前なのだと知っていき、一つ一つ落たんしなから歳を重ねた。
 産後ひどい難産で生死の境をさまよった30代中半ばから、急に狂ったように経済に傾倒し、国家資格まで取得するに至ったのは、私にとってお金とは、最も否定すべき、私の大切なものを壊していった張本人であるからなのかもしれない。
 私は世界で最もお金を憎むファイナンシャルプランナーだったのだ。
 と、本小説「地面師たち」を読んで改ためて自覚させられた。