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能動経済#81 タワマンお受験貧困とは

 ダイエットと節約というのはとても似ている。必要カロリーより食べ過ぎると肥満になり、収入より使いすぎると貧乏になる。何度かお話ししてきたが、この「能動経済」が生まれたきっかけも、そもそもダイエットだった。

一昔前、肥満や糖尿病はお金持ちの贅沢病だった。だが今はお金持ちに太ってる人は滅多にいない。皆モデルさんのようにスラッとしている。そこから分かっていない人の為に説明すると、現代は「炭水化物と糖分と油分」が安価で「タンパク質とビタミン」が高価な時代だ。要するに、ポテチやジュースは安く、お肉や魚や野菜や果物は高い。しかし人間は、狩をして暮らしていた時も農耕をして暮らしていた時も「糖分(炭水化物も糖分)」は貴重で他の物の方が手に入りやすかった。こんなにも「糖分」が容易に入手できるようになったのは、せいぜいここ100年足らずのことだ。しかし人間の体が進化するには最低でも10万年ぐらいはかかる。私たちはこの「糖分」の時代に体の進化が追いついていない。だから生活習慣病になってしまうのだ。その他にも体をこんなに動かさなくなったのもここ100年足らずの変化だ。そこにも人間の進化は追いつけない。

富裕層は情報強者なので現代の生活が糖分過多であるのと運動不足なのを知っている。だからあまり過剰に太っている人がいない。

痩せている人が貧乏人からお金持ちへと変わった時代、他にもさまざまなものが変わった。持ち家もそうだ。一億総中流で庶民も持ち家が持てる時代を経て、超低金利時代の現在、とうとう持ち家は貧乏人が掴まされる負の資産へと転落した。

日本のいわゆる「建売住宅」は脆弱で質も悪く、ただでさえ災害の多い日本にはほとんど資産価値などない。似たような事はタワマンにも言えて、そもそも高層階に住む事をこんなにありがたがるのも日本人ぐらいで、海外はファミリーは小さい子どもの転落事故防止の為に住む事を法律で禁止してる国もあるくらいだ。それなのに担保価値はあるから借金は容易に組める。そんな危険な資産を庶民が持てばロクな事にならない。一生借金に首が回らない人生になりかねないどころか小孫の代まで借金を受け継がせる事になるだろう。このシステムで笑いが止まらないのは銀行と建設不動産関係だ。

単民族社会の日本は一つの価値観に縛られがちだ。素敵な家、カッコいい車、優しい奥さん(旦那さん)に、優秀な我が子、可愛いペット。
ナントカハウスのCMみたいな家族こそ理想で、「いつかあんな生活を」と本気で夢見ている。

しかしその自分で夢見ていると思っているそのイメージは社会によって改ざんされたものであると、この能動経済の読者なら知っているだろう。
「素敵なお宅ね」
「優秀なお子さんね」
もしこういう言葉を言われたならむしろ警戒しなければならないのだ。「能動性を奪われてないか?」と。

つまりタワマンお受験貧困とは、価値観を受動的にしか構築できない、資産はあるが搾取され続ける能動性の貧困のことなのである。