FPSS17th入門#2母の影響が強過ぎる件 Caoli
こんにちは、17期生のCaoliです。
第3回に引き続き、9月21日の感想レポートも参ります。
今回のテーマは「フィッティング&素材」。
どちらも「製品としてのクオリティ」を担保するのに非常に大切な知識。そのクオリティを突き詰めるのか、妥協するのか、どういう方向にどのラインで妥協するのか。消費者としては判断が必要になるけれど、それをサポートするのもまたスタイリストへのニーズである、ということ。
また「脳内にデータベースを持つことでテキスト情報での検索が容易になり、オンラインでの下準備やサービス提供に非常に有効である」という切り口は目から鱗でした。手触りとか質感までAIに喰わせるにはまだちょっとかかりそうですもんね。
また、和服業界の絹の加工技術とかで感じるのですが、イージーケアとか着心地の面での技術の発達がめちゃめちゃ進んでいます。
20年弱前は「長襦袢はお家で洗う方もいますけど、あくまでも自己責任で」とか言われていたのに、今は平織の正絹でマシンウォッシャブルがあるんです。あと擬似絹繊維も、触らないと判別つかないくらいのものがあります。
洋装でもリネンライク、ウールライク、レザータッチ、エコファー、どれも精巧なものが出て来ていますよね。
アパレルも技術革新を追いかけ続ける定めなのかと、ほんのり頭を抱えています。
それは、もう未来永劫頑張りますのお話なのですが。
動画講義のあいだ中、母の姿が過ぎる過ぎる、と言う話をしますw
母は、育休制度も調わない彼女の世代には珍しく正規雇用で定年まで働き切った職業夫人です。出産するまでは、編物講師の副業もしていたという時代先取りの人。
その人が50を過ぎて習い始めたのが「洋裁」でした。「編物じゃないの?」とは訊いたら「老眼で編目が見えない」との答え。洋裁も縫目が見えないのでは?と思ったら案の定でしたがそれは別の話ですw
母が「自分の纏うものを自分で作る」という選択肢を持ったのは着道楽な母親、私から見て祖母の影響でした。
祖母の時代の洋服はオーダーメイドが普通で、遺品からは持込用の原型(デザインを載せていない、身体の形通りに構成する型紙)が出て来たり、片道2時間掛かる新宿の百貨店の伝票が出て来たりもしました。
田舎町で身体にピタリと合う洋服を着る母親に、既製服を買い与えられて「身体に合ってないわ」とため息をつかれて育ったという母。
働き出してからも、祖母の眼鏡に叶う服を買えた試しは碌に無いようです。
自由に編物ができるレベルになってからようやく、祖母のため息の呪いから解かれたのでしょうね。
という家庭環境なので、洋服のタグを見る習慣は持ち合わせています。
母は「私はこちらのこの点がいいと思うけれど、好きだと思う方を買ってあげるから選びなさい」というスタンスで私の買い物をしました。その際にタグを見せながら、生地を触らせながら「ウールだから、汚したらすぐに言うのよ。いつも洗う生地じゃないし、そのまましまったら虫が喰うわ」とか「レーヨンが多いから滑らかね」とか「腰の位置が合ってないから脚が短く見える」とか、見た目の好みだけでは選ばせてくれなかったのを覚えています。
母が洋裁を始めてからは制作モデルとして採寸されたり、生地を選びに日暮里の繊維街まで一緒に出掛けたり。ジャケットを縫って貰って「ウェストの絞り位置が合うというのはこういうことか」と実感したり。
高校制服のブレザーもそう。極端にウェストを絞ったデザイナーズで、いちばん狭くなる腰骨の高さのボタンが閉まるサイズを選んだら肩は大きいし身幅も大きいしウエストの高さは合わないし丈は長い。肩が関係ないウエストコートはブレザーより2、3サイズ小さいけれど身体と合うものを選べたので、中間服のシルエットが断然キレイなのは自覚がありました。ただとても個性的な色で好きではなかったなぁ。
今回のライブ授業中にロングスパンの課題として「既製品の生地表示を確認して、なんなら生地屋さんで素材名と素材感と、取り扱い方法を紐付けて」それから「採寸されてお直しするとかオーダーする経験もしておいた方が」と言われたのですが・・・全部、してる、な。それも20代までに。
そもそも私が骨格診断に興味を持ったのも、母が「頼まれて作るんだから言う通り作ればいいんだけど、絶対似合わないと思いながら作るの辛い」と言い出したから。「似合うってなんだよ?着る前に分かれって無理ゲーでは?」と思っていたタイミングで、雑誌の特集や書籍がが出て来始めたのです。
パンツ丈を直すにも、少しでも長く残したいJDと少しも引き摺らせたくない主婦の攻防は茶飯事。裾模様が入ったフレアパンツが流行ってたんですもん。
シャツ一枚縫ってもらっても、やれ書き物をするとカフスボタン当たるだの、やれ裾が真っ直ぐはパジャマっぽいからラウンドさせろだの無茶なオーダーにもずいぶん付き合わせました。
おへそが見えるTシャツも、超ローライズデニムも、校則違反のニットベストもその裾下数cmのミニスカートも取り上げないでいてくれたのは、母。
自分自身を材料にした実体験をしっかり与えてくれたのが、ここに来て有効な糧になるとは。
「ちょっと母の影響強過ぎ」と苦笑いですが「せっかくだから、これのために体型管理せざるを得ない」くらいの「私の手が届く最高の1枚」を母の手が動くうちに仕立てて貰えたらいいなぁと思ったりもしたのでした。
◆講座と講座の間の話を書いたものと一緒にマガジンにまとめているので、そちらもよろしくお願いします。
https://note.com/yoso01an/m/m188744f71e82
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