「お宝保険」って、なんだ?

前回の投稿で、子供の独立とともに生命保険をすべて解約したといいましたが、正確には「がん保険」だけは残しています。がん保険は、支払保険料に対するレバレッジ(倍率)が高いので、保険としての機能を発揮できるからです。

ちなみに、20代から契約していた予定利率が3%前後の終身保険も解約しました。FP的に言えば「お宝保険」ということなんでしょうけど「お宝保険」って何のことを言っているんでしょうね?私もFPですから、FP雑誌はよく読みますが、インチキ臭いFPが「お宝保険」とかよく言っていて、何をもって「お宝」と言っているのか・・・。

私の場合、2人の子供に300万円ずつ受け取らせるために終身保険を2本契約していました。そのために、私は数千円の保険料を、給料が少ない20代から、定年の60歳まで支払う契約になっていたわけです。しかし、自分の葬儀費用や子供の結婚資金の援助などは他の金融資産でもなんとかなります。

終身保険は、自分が死んで、誰かが受け取る保険です。私は受け取れません。私が受け取れないものに対して、今の稼ぎの中から支出するのです。

もう、子供の独立とともに、そういうことをする必要性を全く感じなくなりました。FPの中には「予定利率が高い時代の保険はお宝保険ですから営業マンから言われても解約しちゃダメ!」とか言っている人がいますが、予定利率が高かったあの時期の保険であっても、いざ、解約すれば、これまでの掛け金の合計を少し下回るくらいの返戻金でした。

こういうFPが言う「お宝保険」というのは、保険料を計算する「予定利率」が高い保険を指しているようです。生命保険のことをちゃんと理解していない人は「予定利率が高い保険=お得な保険=お宝保険」という幻想を抱きがちです。

生命保険の保険料は、1,000万円の終身保障をするためには、保険会社的には60歳の時には●万円くらいのお金をその人の死亡の為に積立とかなければいけない、ということで決まります。専門用語でいえば、その積立金のことを「責任準備金」といいます。

さらに、生命保険会社は契約者から預かった保険料を長期間に渡って運用することができるので、その運用利率を仮に●%としましょう、と約束するのが予定利率と言われるものです。仮に3%と約束して、その運用ができないかった場合は、生命保険会社は自腹を切って穴埋めをします。なので、生命保険会社も損をしたくありませんので、主な運用先であるJGB(日本の長期国債)を少し上回る程度で設定します。

仮に、予定利率が5%の保険と、0.5%の保険を比べた場合、1000万円の終身保障を得るための保険料は、圧倒的に5%の保険の方が安くなります。

では、払った保険料に対して戻ってくる率(解約返戻率)はどちらが良いか?ここを、世のインチキ臭いFPは上記と一緒に考えているのです。

予定利率が高い保険は保険料が安い。これは事実です。しかし、予定利率が高い保険は保険料が安いので責任準備金も安い。結果として、掛金に対してどれだけ戻るのか?という解約返戻率は、予定利率が高い保険も低い保険も大差ない(若干、予定利率が高い方がいいですが)。

私が、「お宝保険」がどうのとかいう人がインチキ臭いというのは、そういう保険数理を理解せずに感覚的に物を言っているからなのです。

なので、私は必要性がなくなった高い予定利率時代の終身保険を惜しげもなくバッサリ解約したのです。そして、戻ってきたお金は、私が人生100年を生き抜くための投資に回しました。そういうことこそが、生きたお金の使い方だと思うのです。

そこら辺のお金の使い方については次回にでもじっくり語ることとしましょう。

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