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平均余命について考える(2023年8月1日)

 「人生100年時代」と言われて久しいですが、ふと自分はいくつまで生きるのかと疑問がわき(ファイナンシャルプランナーなんだから、そのくらい把握しておけと突っ込まれそうですが・・・)、厚生労働省の資料を調べてみました。厚生労働省のホームページに「第23回生命表(完全生命表)の概況」というページがあり、そこに男女別の生命表があります(男性版はこちら、女性版はこちらです)。

 その中の現在年齢に平均余命を足したのが、「平均的にその年齢で死ぬよ」の年齢だと思います。細かい計算は理科系の方にお任せするとして、私は今61歳ですから、表から平均余命が23.27歳とありますので、「死ぬかもしれない平均年齢」は84.27歳になります。今回の生命表は令和4年度版です。ちなみに平均寿命(同じ生命表の0歳の平均余命)が81.56歳ですから、私はちょっと平均より長生きすると解釈してよいのでしょうか。参考までに私の父と母の平均余命も拾っておきました(父現在89歳+平均余命4.85歳=93.85歳、母現在82歳+平均余命10.07歳=92.07歳)。よく平均寿命は女性の方が圧倒的に高いと言われていますが、わが父母の場合は母より父の方が長生きする可能性があることがデータとしてわかりました。あっ、いかん、もう一人忘れていました。配偶者である私の妻も拾っておかないと。妻の現在の年齢60歳ですので+平均余命29.42歳=89.42歳になりました。ナニ!?私より5歳以上も長生きするのか。

 さて、これからのリタイアメントライフを考えるにあたり、この私の命が尽きるであろう84.27歳と妻の命が尽きるであろう89.42歳はとても重要な数値だと考えます。

 まず、最低でも妻の計算上の平均死亡年齢の89.42歳までは、マネープランをしっかりと立てておかなければならないこと、そして私の計算上の平均死亡年齢の84.27歳までは年金をはじめとする収入をしっかりと考えておかなければならないということです。ウエルビーイングなリタイアメントライフをおくるために、しっかりとしたライフプランを考えておかなければいけません。

 年金については、「繰り下げ」をどう考えるかが重要です。つまり、繰り下げした時の年金受取額累計の損益分岐点(これ以上の年齢で年金をもらい続けたら、65歳時点で貰い始めた年金の累計額を超える、つまり得する)を確認したほうが良いということです。額面ベースの年金額なりますが、仮に私の平均死亡年齢の84.23歳を85歳とし、65歳の年金支給開始時点の年金額が月額20万円(仮定です)とした場合の、繰り下げ年齢による年金受取累計額は、下の表のようになります。

 65歳で年金をもらい始めると、年額240万円(20万円x12か月)となります。年金は受取年齢を1か月遅くするごとに0.7%づつ増加することはご存じかと思います。表の横軸は繰り下げで受給開始する年齢(1歳刻み)、縦軸は受給年齢(年齢0か月~12か月の1年分)を表し、数値は年金受取累計額(千円単位)になります。黄色で塗りつぶした数値は、65歳で年金を受給した場合(繰り下げなし)の累計年金受取額を超える「損益分岐点」です。繰り返しになりますが、私の平均死亡年齢は84.27歳をわかりやすいように85歳とします。この時点(84歳と12カ月)での年金受取累計額を赤枠で囲っています。これを見るとわかりますが、この例の場合74歳まで年金の受給開始を繰り下げても、損益分岐点を超えません。逆に目減りします。つまり74歳以降に年金受給開始をしても損というわけです。また、赤枠の「%表示の数値」をご覧いただきたいのですが、65歳時点の年金支給原資(あくまで85歳までの)が最終的に何%増えたかを表しています。ここから導き出されるのは、69歳0か月で年金受取を開始するのが(原資の増加率6.44% 黄色で塗りつぶしのところ)一番お得だと言えます。これは、あくまでも私が85歳で亡くなった時点での比較になります。

 当然、この条件以外にも手取りベース(社会保険料や所得税や住民税を引いた金額)や、私が亡くなったあと89.42歳まで計算上生きるであろうの妻への遺族厚生年金額(ここで注意ですが、遺族厚生年金の元になる年金額は繰り下げした金額ではなく、65歳時点の年金額になりますので間違えないようにしてください)なども検討したトータルでの判断が必要です。ご自分とご家族の平均余命を知り、皆様もお調べになってみてはいかがでしょうか。上の表は、私がエクセルで作成し年金受取額を変えてシミュレーションができるようにしています。もしご興味がありシミュレーションしてみたい場合はお問い合わせください。無料で回答いたします。あくまで簡易版ですので、正確な数値でないことはご了承ください。

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