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優雅なる無視でドル安を放置?

「競争上の優位を得るために弱いドルを目指すことはない」
「為替レートは市場原理に従って動く」

これは前FRB議長であり、女性初の米財務長官ジャネット・イエレン氏の発言です。いわゆる「強いドル政策」への回帰を示唆しているとも読み取れる発言ですが、鵜呑みにしてはいけません。

強いドルを目指すというポーズをとりつつ、ドル安が進行しても放置するというのは、米国の通貨政策の十八番です。これを「優雅なる無視(ビナイン・ネグレクト)」といいます。

はたして、バイデン政権はどのような舵取りをするのでしょう。新政権の政策の柱は、新型コロナによって深刻なダメージを負った経済の立て直しです。バイデン新大統領は1兆9000ドル(約200兆円)という大規模な景気対策を実施することを表明しています。

これを受けてイエレン財務長官は、この対策により米国の債務が拡大することは大統領とともに認識しているとしたうえで、恩恵が代償を大きく上回るとコメント。ただ恩恵は、代償の痛みを負ったその先にあると考えれば、直ちに強い米国というイメージは湧きにくい?

先日開催された21年最初のFOMCでパウエル議長は、景気回復の判断について「ここ数カ月鈍化した」と指摘。実施している大規模な金融緩和策についても出口戦略を論ずるには時期尚早として、改めて現状の政策を維持する姿勢を示しました。

大規模景気対策実施による国債の大量増発、長期間継続されるゼロ金利政策、そうした状況下での「優雅なる無視」・・・。バイデン政権下では、円高が進行しやすいと考えるのが自然かもしれません。

PS.
金融プロフェッショナルの河内氏も以下のインタビューの中でじわじわ円高となる可能性が高いと指摘しています。


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