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#12保険に価値があるかどうか判断できる質問を考えてみた

保険に限らず、金融商品を理解するためには、知識だけでなく、ある程度の「慣れ」が必要となる。初めて保険を検討する人は、保険に慣れているわけでもなく、知識があるわけでもないだろう。

最初はネットなどを利用し商品の説明を丁寧に読むが、らちが明かないと判断、相談した方が早いと考える。相談してもその商品は保険募集人の説明通りにしか理解できないため、何となく騙されているのではないかと考えてします。そこでどうしても保険募集人が信頼できるかどうかで判断することになるが、この判断基準は難しい。募集人は顧客の心理を読んで説明をするためだ。

どうすれば、自分に合った商品を選べるか考えてみた。

徹底して判断材料を求めよう。

保険会社や保険募集人が主体的に提供している情報だけでは、加入するかどうかの判断材料として不足している。説明は納得できたけれど、モヤモヤしている感じは残るのではないだろうか。何か騙されているような気がして、言葉の一つひとつにほころびがないかを探すが、そもそも保険の知識がないため、見つからない。

商品の特徴を理解するために、次のような質問をしてみよう。

Q1 年齢ごとの保険を利用した割合と支払金額

基本的に年齢を重ねるごとに病気にかかる可能性はある。しかし保険パンフなどに載っている情報は統計データを利用しているものの、どこかあいまいである。「2人に1人はがんになる」と書いてあると、がん保険は絶対に入らないといけないと考えてしまうものである(しかしこのデータは参考にならない)。

そこで、たとえば30歳であれば、30歳時点でその保険を使った人が全体の何割いるか聞いてみよう。加えて、保険会社が支払った金額も尋ねる。

これが分かると、どのくらいの確率でいくら受け取れるか分かるため、ようやく保険料を払う価値があるかどうか判断できるのではないだろうか。

なお、一生懸命調べて教えてくれたとしても、その数値に納得できなければ、誠意を評価しても加入する必要はない。保険会社が自ら言っているではないか「お金は大事だよ~」と。

Q2 勧めてきた商品の最も安い商品と同等のお勧め商品を聞く。

複数の保険会社の商品を扱う保険代理店の場合、比較検討してもらうために、価格帯や保障内容の異なる3つほどの商品を提示されるだろう。その中に必ず、「売りたい」商品が入っているはずで、価格帯では中央に配置する。心理的には価格帯の中央の商品が選ばれやすいためだ。図の「商品C」には「商品B」よりやや極端に割高な商品を配置すれば、「商品B」はより魅力的に感じてしまうだろう。

それをそのまま検討すると、相手の思うつぼなので、最も保険料の安いタイプの商品を軸にしたラインナップを見せてもらおう。そうすれば、最初に紹介された商品群とは見た目がガラッと変わり、異なる視点で比較することができる。

基本的に、お勧め商品「商品A」や「商品B」の中に、意図的に保険料の高い(手数料の高い)商品は入れにくい。なぜなら、契約したあと、たまたま優れた商品を知ってしまった場合、解約される可能性があるためだ(それでも取り扱っていない商品が人気の場合は解約される可能性はある)。手数料は契約から1年間の手数料が高いため、1年は継続してほしいという思いが胸の内にはある。

心理学の研究で、選択肢が多すぎると逆に選べなくなることが分かっている。そのため相談に行ってから決める人が多いと思うが、選択肢の絞り方は相手が行っているため、別の絞り方を提案し、商品の見た目を変えたのである。「多すぎて分かりませんよね」「では、よく利用いただいている商品を紹介しますね」と言われると、無意識に他の選択肢は消えてしまう可能性があるので、これを防ぎたい。

また最初に「掛捨てで保険料のお手頃な商品」と指定すると「図②」のラインナップを提示されるかもしれない。ただその場合でも、ある程度説明が一段落付いたところで、「商品B」をお勧めしてくる可能性はある。

正直、これだけで自分や家族に合った商品を選べるほど効果があるとは思えないが、相談は最初から最後まで計画的に考えられていることがわかるだろう。なおこれは保険に限らず、様々な販売現場で行われている手法なので、ご存じの人も多いと思う。

Q3 あいまいな言葉は具体的な数値で答えてもらう。

商品の説明をしている最中に確認すべき点として、あいまいな表現を使っていないかである。たとえば保険料が高いと一般的には手数料収入は高くなるが、この商品の説明をするときに、「たいへん人気の商品です」「よく売れてます」「先ほどの人もこちらを選びました」「私もこれに加入しています」など、ちょっとその商品に魅かれそうなセンテンスを入れてくる。

「たいへん人気の商品です」「よく売れてます」であれば、全体の何割の人が選んでいるのか、「先ほどの人もこちらを選びました」であれば、さらにその前の人も選んだのか、その人の年収はいくらで自分と同じ水準なのかなど突っ込みどころが多数ある。おそらく、最も安い保険料の商品も、その安さから「人気はあり」、「よく売れている」だろう。「みんなこの商品選んでいますよ」感を出してきたら、その場で決断せず、一旦持ち帰り、他の保険募集人の話を聞くのも一つだ。

また「私もこれに加入しています」は、その商品を売りたいが、保険料が高く、説得力に欠けるので、自ら加入している可能性がある。保険募集人が加入している保険だからと言って、その商品が優れているとは限らない。

ちなみに、以前、アフラックのwaysという商品があった(今もあるが商品性が異なる)が、解約返戻率が良く、販売を続けると保険会社が不払いに陥る可能性が高まったため、販売停止になった。たしか6ヶ月間という短い期間だ。加入者にとってメリットの大きい商品は保険会社にとってはデメリットが大きく、販売されていたとしても短命で、その商品に出会わない可能性が高い。そもそも、優れた商品かどうかを判断するのは、市場に出回っている商品を理解している必要がありかなり難しい。

Q4 総額なら月額、月額なら総額を聞く。

総額で説明されたら月額を尋ね、月額で説明されたら総額を尋ねる。

たとえば貯蓄型の保険で「受取時には支払った保険料総額の120%になります」と言われたら、1年おきに何%増えるか尋ねる。

「月々の保険料はお手頃です」と言われたら、総額の保険料を尋ねる。

お得感を出すためには総額で説明し、割安感を出すために月額で説明するので、それぞれ逆の質問をするのである。感覚で保険を選ぶのを防ぐためである。


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