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CFP®なら知っておきたい「土地・住宅関連の税金はどうなるの?」2022年度税制改正大綱❷

 税制改正は、日本経済・社会情勢を反映して、より良い暮らし・事業活動ができるように毎年行われています。つまり、税制改正でいまの日本を知ることができます。
 今回は、土地・住宅関連の税制がどのように改正されるのかをまとめておきます。これもまた、CFP®試験対策として必要な内容です。

土地・住宅の税金に関連するCFP®受験課目
不動産運用設計

さかいわげん.fp.SOHO

固定資産税、商業地の税額上昇幅を半分に

 固定資産税の負担軽減措置は商業地に限って2022年度も続きます。

 新型コロナウイルス禍の対策として2021年度に限り、地価が上昇しても2020年度と同じ税額に据え置く特例措置をとっていました。住宅地向けは2021年度で終了し、商業地は税額の据え置きはやめ、前年度の土地の評価額の5%分となっている加算の上限を2.5%に引き下げる仕組みに改めます(1年限りの措置です)。つまり、今後地価が上昇すれば、固定資産税の負担が増えることになります。

 コロナ禍で大きな打撃を受けた商業地については、負担軽減措置を継続することになりました。政府・与党はコロナ禍からの経済回復はまだ途上と判断しているためです。

少しずつ、特例が縮小されます。

【背景】

  • 固定資産税は地方自治体にとっての主要財源であることから、財政事情に配慮し特例を終わらせるべきだとの主張

  • コロナの影響から立ち直っていない事業者も多く、予定通りに特例を終了すべきでないとの主張

 固定資産税は市区町村が課す地方税です。税額は時価にあたる実勢価格に個別要因を加味した土地評価額をベースに算出します。土地評価額に、負担者の能力に応じた額に修正した「課税標準額」に原則1.4%の税率をかけて求まります。評価額は3年に1度見直すことになっていて、2021年度は更新の年でしたが、コロナの影響で支払い能力が低下していることを考慮して2020年度と同額としました。コロナの感染拡大前は全国的に地価が上昇したことも考慮しています。

 固定資産税の税収は2019年度の決算ベースで約9兆2000億円と市町村税の約4割です。都市部より町村の方が依存度が高く、政令市など大都市は税収の36%、町村は50%に達します(2019年度)。

商業地の地価動向は、増税方向

新築住宅に係る税額の減額措置の延長(固定資産税)

【内容】

新築住宅に係る固定資産税の税額の減額措置
[戸建て]3年間 税額1/2減額
[マンション]5年間 税額1/2減額

★現行の措置を2年間(令和4年4月1日~令和6年3月31日)延長する。

※ 土砂災害特別警戒区域等の区域内において一定の住宅建設を行う者に対し、都市再生特別措置法に基づき、適正な立地を促すために市町村長が行った勧告に従わないで建設された一定の住宅については、適用対象から除外

【背景】

  • 住宅取得に係る負担軽減の必要
    ・ 住宅価格は年々上昇傾向。
    ・ 住宅取得環境は引き続き厳しい状況にあり、住宅取得者の初期負担軽減が必要。

住宅取得は厳しい環境になっています
  • 基礎的なストックの質の向上の必要
    ・ 住宅の基礎的な「質」である耐震性は未だ不十分。
    ・ 耐震化を進める上での主要な手段「新築・建替え」への支援が必要。

基礎的な「質」を考慮します!

【効果】

2,000万円の住宅を新築した場合の固定資産税額

1年目  (特例なし) 18.2万円 → (特例あり) 9.1万円
2年目  (特例なし) 17.1万円 → (特例あり) 8.5万円
3年目  (特例なし) 15.9万円 → (特例あり) 8.0万円
★3年間で約26万円の負担軽減効果

住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置の延長(登録免許税)

【内容】

・所有権の保存登記の税率軽減(本則 4/1000 → 特例1.5/1000)
・所有権の移転登記の税率軽減(本則20/1000 → 特例 3/1000)
・抵当権の設定登記の税率軽減(本則 4/1000 → 特例 1/1000)

★現行の措置を2年間(令和4年4月1日~令和6年3月31日)延長する。
※既存住宅の築年数要件(耐火住宅25年以内、非耐火住宅20年以内)については「昭和57年以降に建築された住宅」(新耐震基準適合住宅)に緩和。

【背景】

・ 住宅価格は年々上昇傾向。
・ 住宅取得環境は引き続き厳しい状況で、初期負担軽減が必要。

長年、特例が続いています

【効果】

[保存登記]2.5万円軽減(4万円→1.5万円)
[移転登記]22.1万円軽減(26万円→3.9万円)
[抵当権設定登記]4.5万円軽減(6万円→1.5万円)
※2,000万円(固定資産税評価額1,300万円、新築建物価格認定基準表額1,000万円)の住宅を取得(借入額1,500万円)した場合を想定

居住用財産の買換え等に係る特例措置の延長(所得税・個人住民税)

【特例措置の内容】

●譲渡益が生じた場合
① 住宅の住替え(買換え)で、譲渡による収入金額が買換資産の取得額以下の場合は、譲渡がなかったものとして、譲渡による収入金額が買換資産の取得額以上の場合は、その差額分について譲渡があったものとして課税

●譲渡損が生じた場合
② 住宅の住替え(買換え)で譲渡損失が生じた場合であって、買換資産に係る住宅ローン残高がある場合は、譲渡損失額を所得金額の計算上控除(以降3年間繰越控除)
③ 住宅を譲渡した際に譲渡損失が生じた場合であって、譲渡資産に係る住宅ローン残高が残る場合は、住宅ローン残高から譲渡額を控除した額を限度に、所得金額の計算上控除 (以降3年間繰越控除)

★現行の措置を2年間(令和4年1月1日~令和5年12月31日)延長する。

【背景】

  • 居住のミスマッチ
    世帯人数の多い世帯と高齢者単身・夫婦世帯が住む住宅の広さにミスマッチがあります。

年齢・家族の人数と、広さ
  • 住宅売却損益の発生状況
    居住用財産の譲渡のうち、約5割において売却損が発生しており、住替えの支障となっています。また、譲渡益が発生する場合にも、多額の税負担が発生しています。

住宅を売却して損する人が多い現状

まとめ

豊かな暮らしの実現と地域の活性化のために
●商業地において、固定資産税の税額上昇幅を半分に
●新築住宅に係る固定資産税の減額措置を2年間延長する
●住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置を2年間延長する
●居住用財産の買換え等に係る特例措置を2年間延長する

これまでの特例が、2年間延長したことは必ず覚えておきましょう。

土地・住宅の税金に関連するCFP®受験課目
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