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質問が間違っている

自分が「正しい」「伝わっている」と思っていても、相手には正確に伝わっていないことがあります。そう言う場合、伝える側の質問の仕方が適切ではない場合があります。その可能性についてお話します。

子供への間違った質問❶それを聞いてどうするのか

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子供に対してこんなこと言う親、いませんか?
「こんな時間までどこに行ってたん?」
「何で連絡しなかったん?」
「どうして言うこと聞かないの?」

正直、その答えを聞いたところでどうするのでしょう?仮に子供が「⚪︎⚪︎君のところに行ってた」とか「夢中になってて忘れちゃった」などと返事をしたら、さらにツッコむのでしょうか。

ましてや「聞いてるけど、返事すると怒るし…」など返事されたら、激高することも考えられます。

このようなやり取り、日常会話に多々存在します。
親による本心の「削除」です。

本当は「子供の帰りが遅くて、事故にでも遭っていないか心配」なのに、その想いを削除して、しかも子供を攻撃するまったく別の感情で表現しているんですよね。

なぜ削除するのか

私たちは、とてつもない情報を瞬時に処理します。これらの情報を処理するには多大な時間とエネルギーが必要です。そのために一部を削除する能力が不可欠・効率的なのです。

しかし、役立つ入力が削除される場合には、不完全な状態になり得ます。

子供への間違った質問❷“やってはいけないこと"から、言っている

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子供に対してこんな指摘をしていませんか?
「(自転車で)スピード出したらいけないって言ったでしょ!」
「何で、やっちゃいけないことを、いつもするの?」

これまた、その答えを聞いたところでどうするのか?さきほどと同様、本心を「削除」しています。


そして、伝え方にも問題があります。

子供は大人にくらべて、情報処理量が少ないので、限られた必要な情報を取捨選択します。その結果、「大切だ!」と思った情報をから順番にインプットします。

そのため「スピード出したら危ない」ではなく、「スピード出す」という情報を選択し、さらに「いけない」という情報を削除します。また「やっちゃいけないことを、いつもする」と聞いても、「やってしまうこと」を選択し、「いけない」という情報を削除します。

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このような場合には、伝えたいことを冒頭から「肯定的に」言うことが大切です。また、どこまで理解できるのか確認することも大切です。

「夕方5時までに連絡すること」「いま言ったこと、理解してる?」「連絡できなかったら家に帰ること」など端的に、肯定的に伝えることが大切です。


さらに問題があります。それは最後に「いつも」と言っています。

子供にとっては今回だけ、あるいは時々あるかな?くらいのことだとしても、親は「いつも」と認識しています。つまり、きちんと出来ているとき記憶を削除し、出来ていないことだけを列挙して「いつも」と言っています。

これを過去の経験からの「一般化」と言います。それが今に役に立つ情報なのか、疑問です。

このほかにも、「みんなが・・・なのに」「全部・・・でしょ」など、いま判断する材料が、どのような過去の経験に基づいているのか、確認しましょう!

「いつも」「ぜったい」「みんな」「全部」・・・このような言葉を発した場合、それがいま役立っているのか、思いとどまる必要があります

なぜ一般化するのか

私たちは新しい行動を学ぶとき多大な時間とエネルギーを使います。
ゼロから学ぶのではなく、過去の経験に類似しているということから予測できるようにしてくれます。しかし古い経験から予測したがゆえに制限していることがあります。

上司から部下への間違った質問・指摘

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職場でこんな声、響いてませんか?
「お前、今まで何聞いてたん?何してたん?」
「何でできないんや?」
「会議中に携帯ずっと触って、話聞いてないだろ」

これまた、さきほどの親子でのやり取りと同じ状況です。本心の「削除」です。同時に気になることは、過去に正確に業務内容を伝えていたかどうか、です。

部下の反応は、上司が行ってきたことを反映したに過ぎません。
しかも、プロセスを問うことを「削除」していることが問題です。
ここまで理解できているか、疑問は無いか・・・つど確認しているかが大切です。

また、「携帯を触っている」=「話を聞いていない」という論理。
ビジネスマナーとして相応しくない行為である、という考えは理解できます。しかし「話を聞いていない」というのは飛躍しています。情報の「歪曲」です。もし、会議の内容を検索していて、回答を早急に出そうとしているのなら、それは大切な活動です。ただ、「その件について調べてみますね」と一言いえば、何のトラブルも起きませんね。

なぜ歪曲するのか

私たちの認識に変更を起こさせるプロセス。経験や過去、現在、未来も変形できます。歪曲して入力した情報があったとき、現実がどういうものなのかを感じたり思い出したりしながら現実を回復させることは、今後の変化には最も大きな機会となります。

部下から上司への間違った質問

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上司への相談ごと、こんな風に問いかけていませんか?
・●●が分かりません、教えて下さい。 
・●●するにはどうすれば良いですか。

いずれも、背景を「削除」しています。プロセスの削除に近いのですが、なぜ困っているのか、これまでに何を行い、どのような問題に直面しているのかを説明していません。だとすると、上司が返答に困ってしまいます。

部下は「答え」だけを求めているので、もし上司が「答え」だけを返答した場合、何の解決にもなりません。きっと似たような質問を受けることになるでしょう。一方で、上司が理由を説明し始めたら、部下は「そこまでは聞いてないのに」と思うかも知れません。部下は、結論だけ知ることができれば十分ですからね。

このように、根本的な解決策を講じていないこのような職場環境では、継続して似たことが起こります。
・上司が、判断材料が分からないまま結論だけを言う。
・部下は、下調べすることなく、結論だけを求める。
これが不幸な職場です。どちらもその場しのぎで、本気ではないからです。

●現状
本気ではない → プロセスの削除 → 問題を表面的に解決

このような場合、まず5W1H(質問・思考の基本中のキホン)を確認しながら会話をしましょう。

上司は、部下がどこまで理解できているのかステップを踏むことが大切です。
部下は、質問に至った経緯を説明し、どのような状態を求めているのか、伝えることが大切です。

●意識
本気 → 削除していないか・一般化していないか・歪曲していないか → 具体的な目標への行動

ちょっとしたことを意識・表現することで、コミュニケーションの質が大きく変わります。

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