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【読んだ本】易しくて優しい年金の本でした(FP向け)

年金・・・それは安易に踏み込んではならない沼・・・・
FPがライフプランニングに関わるなら、絶対に避けて通ることができないし、この点の知識と理解が薄いと、薄っぺらいアドバイスしかできないと思う分野。
が、しかし、あまりにも深い沼・・・
知れば知るほど難し――――――――(発狂)!!!!!
とはいえ、お客様の人生においてココを抜きにしては安心は届けられないので、日々精進する次第です。

そうしてさまざま調べていると、どこかでぶち当たる「そもそもの年金制度とは」という疑問。お客様に聞かれる言葉で言うなら「年金ってこの先も大丈夫なの?」です。
これは、老齢年金がいくらだの、どんなときに遺族年金が給付されるだのとは別のベクトルの話。
そう「年金はどうあるべきか」のほうです。

気になりつつもそこまで踏み込めないでいた中、SNSでとある本に出合いました。
(大きな声では言えませんが、実はワタクシ日本年金学会のメンバーでございまして、そちらの関係で知りました)

それがこちら▼

積読になる覚悟で手に取ったんですが届いてびっくり。

デ、デカッ・・・!!!
色こそポップ(?)なものの『年金制度の理念と構造』という、あまりにもハードルの高いタイトル。
この表紙と本のサイズと分厚さとタイトルから、内心「グエッ」って思ったのは内緒です(言ってる)
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結論、すごくよかった・・・!
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なんというか・・・
こういう類の本ってとにかく難しいし、知識レベルを上昇させたくても、階段の一段目は用意されず
「そんなこともわからぬようなやつに読む資格なし!出直してまいれ!」
ぐらいのものが多いけど
(※誰を相手にするのかを考えたら専門書はそういうものだと思うけどね)
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この本はそのナリとは裏腹に(失礼)とても易しく書かれていました。

白黒文字だらけでフォントも小さいかと思いきや、2色で太字で強調されていたり、図やグラフもたくさん使われています。

もちろん制度にまつわる名詞は漢字だらけだし「こ、細かい~~」と思うような数字も出てきます。生活者向けではない。

ただ、文章の表現はとても平易で読みやすく、初見でつっかかりそうな専門用語も「〇〇とは」と説明してくれて、きちんと一段目を用意してくれているように感じました。

充分に理解できているとは言い難い、私レベルの人間が読んでいて
「ん?」「何だっけ?」と思うタイミングで、
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・それは〇章で書いた通りです
・これについては〇章で説明しますね

というフォローが入る・・・!
あ、ありがて~~~優しい~~~

という感じで、くじけず最後まで完走することができました。
(読み終わっただけで充分に理解できたとは言ってない)

年金は本当に沼が深くて、社労士でもなんでもない私がどこまで学ぶべきか? とは思うところもある。勉強はFPにとっては大事だけど、行き過ぎるとお客様を置き去りにしてしまうから。

とはいえ、自分が疑問に思うことを放置せず知ることはやっぱり大事。
わからないから言わない・触れないのと、わかっているけど言うべきタイミングでないから言わない・触れないには大きな差があると思うから。

「年金制度のありかた」については、もちろん議論の余地がたくさんあるのだろうけれど、全体を通してなんだか深い納得感がありました。

年金制度の是非について議論に加われるようなレベル感でなくても、「知りたいと思うなら歓迎します」と、拒絶されずに安心して学ぶことができる、易しくて、優しい本でした。
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2024年は年金の財政検証(5年ごとの年金の健康診断)が行われる年です。
メディアでもさまざま取り上げられたり、よくわからない人が誤った発信をするかもしれません。
そんなとき、よくわからないのに一緒になってあーだのこーだのと言って、信頼を失うことを防ぐためにも、FPなら一定までは知っておきたいですね。

年金制度の歴史やありかたについて知りたいならおすすめの一冊です。

この本をもとにした勉強会に参加中。
そちらはまた適宜まとめていきたいと思います。

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