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vol.20「株価と賃金の関係性」

 「株価」とは、簡単に言えば企業が発行する株式における1株あたりの価格を指します。なお、企業によって株価の規模は大きく異なります。

 株価は、基本的にその株式に対する需給バランスから日々変動しています。そのため、買い手が多い株式は株価が上がり、売り手が多いと逆に下がってしまいます。この株価に、発行している株式の総数をかけたものを「時価総額」といいます。時価総額は株の単価よりもその企業の価値を計る指標として活用されているため、就職活動・転職活動をする人にとっては参考にするべき数値の1つだといわれています。

 株価が上昇しているということは、投資家を中心としてその企業に対する評価が高まっているという1つの証拠になります。しかし、その企業で働く従業員の賃金にも影響するのかというと、必ずしも株価の上昇基調に対して賃金が同調するわけではありません。

 厚生労働省科学研究成果データベースによると、株価の上昇と賃金の上昇が発生するメカニズムおよび時期的な問題として、短期的には相関が弱いとされています。株価は、将来的な収益や企業価値の上昇を見込んで長期的な目線で評価されます。しかし、賃金は現時点での経営状態や景気などをベースに変動することが多いためです。

 短期的な相関が弱い一方で、数年単位での長期的な目線で見てみると、逆に株価と賃金には強い相関が認められています。

 株価の変動が短期的には賃金に影響しないとしても、物価高などの要因があるため、できるだけ短い期間で賃上げを実現する必要があります。政府は、物価高を上回る所得増のために、以下の政策を発表しています。

1・「「労務費」などの価格転嫁を政府として強力にバックアップ」

2・「賃上げを実現した企業への税制優遇を抜本拡充」

3・「中小企業の「稼ぐ力」を高めるための投資を支援し、賃上げを後押し」

4・「所得税・住民税の定額減税で、可処分所得を下支え」

5・「 同一労働・同一賃金の徹底」

6・「 非正規雇用労働者の正規化を後押し」

7・「発注者・受注者の共存共栄 ~パートナーシップ構築宣言の実効性向上~」

8・「医療・介護・障害福祉分野などの公的価格の引き上げによる賃上げ」

9・「なぜ、賃上げが必要なのか?」

 また、賃上げに関しては2024年度の春闘では2023年度を上回る賃上げを実施する企業が多くなったそうです。

 株価の上昇と賃金の上昇は短期的には相関関係が弱いですが、決して無関係ではなく、長期的には強い影響を及ぼすと考えられています。しかし、賃上げは株価だけが影響するわけではありません。政府などの支援や春闘などの影響にも注意しつつ、賃上げによって生活が豊かになることを期待しましょう。

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