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ここ1〜2年で買って読んだ本

雑誌編集や書き仕事に携わる人間のくせに、いかに本を読んでいないか。
先月、「入力と出力」というnoteで告白いたしました。

いや、お恥ずかしい話だとは思ってるんですけどね。ホントに本は買わなくなりました。noteではあれこれ屁理屈をこねましたが、やっぱり本を読むことで心を揺さぶるのは、書き仕事によい風を吹かせます。

んで、ここ1〜2年で、どんな本を買って読んだっけ? と気になりだして。


『春はそこまで 風待ち小路の人々』 志川節子(文藝春秋)
こちらは、仕事の資料として読みました。ちょいと芝大神宮さんと、その門前の芝神明商店街のことをテーマにしたコラムの執筆を仰せつかったので。
初読みの作家さんだったのですが、志川さんの書くお話はすごく心地よい。なかなか味わい深い人物たちが織り成す江戸の人情ストーリーでした。

『「感情」から書く脚本術』 カール・イグレシアス(フィルムアート社)
「ねぇねぇ、シナリオっぽいのできる? そんなに長いもんじゃないからお願い!」の声で、それならばと手を伸ばしたのが本著でした。
スクリプト初心者のわたしには、全然参考にはならんでしたけどね。まぁ教則本のようなものではないので当たり前ですが、それでも得るものはありました。なるほど、脚本家さんってこういう感じで創作に挑むのか。
なお、脚本家を目指す方々にとって必読といえるほどの名著だそうです。

『観客を惹き込むインビジブルインクの法則』
            ブライアン・マクドナルド(ボーンデジタル)

これもシナリオづくりの仕事に接して読んでみた本。わりとシンプルでわかりやすかったですね。三幕構成とか、あらためて理路整然と言語化されると目からウロコなことが結構あります。起承転結じゃない、序破急とも異なる、盛り上がりの作り方。記事の執筆どころか編集にも応用できそう。というかこれって無意識にやってますな(笑)。でも勉強になりました。

『Lightning  特集:ブーツの色気』(ヘリテージ)
ブーツが好きなんですよ。だもんで、古本屋で見かけて即買い。
このムックをきっかけに、ふたたびブーツ愛が目覚めちゃって。昔のトリッカーズやレッドウイングを引っ張り出してきて磨いてみたり、オールソール交換したり、靴箱の肥やしになってたブーツを履くようになりました。メンテやカスタムに凝っちゃって、結構な出費になったのはカミさんには内緒です。

『思考の穴』 アン・ウーキョン(ダイヤモンド社)
こちらは、米・イェール大学で大人気を博したという講座をまとめたものだとか。なるほど、内容はどれも興味深いです。確証バイアスとか、知識を持っているがゆえの落とし穴とか、蓋然性を考慮しない誤判断とか、人の心理のアヤがよくわかる構成になっています。
というか、イェール大学といえばアメリカでも超名門難関校ですよね。あそこの学生さんってこういうのが好きなんだ、って。もっと、ずっと、ちゃんと、勉強しなきゃいけないこといっぱいあるでしょ! と思ったり思わなかったり。。

『木挽町のあだ討ち』 永井紗耶子(新潮社)
去年の直木賞受賞作ですね。買っておいて、ちょっと時間が経ってから読了しました。山本周五郎賞とのダブル受賞作品とのこと。期待を裏切らない面白さがありました。ちなみにこれは仕事になんら関係なく、単に「読みたかった」という純粋なエンタメ欲求から購入。さすがです。直木賞を取られるだけの作品です。

とまあ、たったこれだけ。どうしようもないっすね。
でも、まったくといっていいほど反省はしてません。

いい本との出合いはまさに宝物ですし、そこに書かれた言葉から何かに気付くきっかけを与えてもらえることが多々あります。ただし、エッセンシャルではなくワンオブゼム。娯楽や知的好奇心を満足させるために楽しむなら別ですが、たくさん読んだからといって巧くなるとは限らない。読書を過信しちゃいけない。
丸谷才一さんの『文章読本』を読み終えた時の衝動と勢いで、美文名文の数々を心の底に充分貯えたなら、そのあとはむしろ五感を鍛えたほうがいいんじゃないかなぁ。寺田寅彦さんじゃないけれど、大根作ってたほうがいいですよ。

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