下げて、上げる表現 ←コレ
今夜は別の話をしたかったんですが、ついさっき胸糞悪いニュースを見かけて。鮮度を落としちゃうのもなんなので、仕事休憩の気分転換に書いてます。誤字脱字、論旨や各論に整合性が取れていないところはご容赦を。
静岡県知事のナントカさんが、6月に辞任する意向を発表したようです。
あんまり政治ネタは触りたくないんですが、あの方は散々っぱらゴネて、一体何がしたかったんでしょうか。いろいろと問題はあったものの、リニア開発は国益に通じるもの。水だ残土だとのらりくらりと時間稼ぎをして、工期の流れや段取りを誤認して、「2027年はなくなった。2037年までに解決すればいい」などと吹聴して、公共性の高い交通事業を妨害してきました。
それに、職業差別とも取れるあの発言。「一次産業に就いている人たちと違って、あなたたち(入庁する職員)は頭脳、知性が高い人たち。それを磨く必要がある」……でしたっけ。
あれを聞いて、新入職員たちはなんとも思わなかったんですかね?
「知事……それ……絶対アカンやつです。恥ずかしいからやめてください」
ちゃんといって差し上げればよかったのに。
せめて「ご自分を卑下して職員たちを立てる」とか、「一生懸命頑張っている市民の皆さんを支えていくために君たちの知性を活かしましょう。磨いていきましょう」のほうがまだマシ。もし、知事本人が文案を作ったのならアホの極みですし、もしスピーチライターが書いた原稿だとしても、読み上げてる段階で気付かなければ等しくアホ。どっちしろダメです。
こういう誰かを持ち上げるために別の誰かを貶すのって、聞いてて不快感しか残りません。よく雑誌やネットの記事でもこうした表現を見かけますけれど、本当にやめたほうがいいですよ。
クソダサいし流行らない。お里が知れます。
いみじくもどなたかが仰っていましたが、これは「ゲイン・ロス効果」というやり口の一種だそうで。最初にネガティブなことを挙げて、次にポジティブな印象を与えると、後者が強調されるという心理現象を活用したものです。ゲイン−ロスだから逆も然り。いわゆる麻生さんが上川外相でやらかして叩かれちゃってたやつですね。褒めればいいのに余計なサゲを入れるから非難を浴びるんです。
またこれは「良い警官」と「悪い警官」の話にも似ています。こちらは犯人への侮蔑・恫喝と、理解・共感をセットにして自供を促すような卑怯な手段。時と場合によっては許されても、正しいやり方じゃありません。
そういえば、つい先日「●●に行ってみたら……メチャクチャ後悔した」っていうタイトルのネット記事を読みました。
最初は、いくらクリック数を稼ぐためのインパクト重視策とはいえ、「後悔した」なんて酷い中傷だなぁ、営業妨害も甚しいゾと思ったんですが、これが中身を読んでみたらまったくの逆展開。「なんでもっと早くこなかったんだろう。メチャクチャ後悔した」というオチでした。行ってみたら後悔した、じゃなくて、早く行かなかったことが後悔という。Webライターさんも大変ね。
しかし、これとて、一瞬とはいえ読み手のミスリードを誘う悪手。ご存じの通り、悪手っていうのは、囲碁や将棋の世界で自分自身を不利にしてしまう失着から派生した言葉。度が過ぎれば指し手の品位が地に落ちます。
どうしても何かを引き合いに出して、別の何かを語らなければならないのなら、サゲたりアゲたりはほどほどに。ちょっと古いフレーズですが「おせちもいいけどカレーもね」の精神で。
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