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街を歩くと勉強になるなぁ

後輩「わたし、実は来月いっぱいでやめるんですよ〜」
先輩「え? なになにどうしたのよ!」
後輩「いろいろあったんですけど〜」
先輩「もしかして誰かと衝突しちゃった?」
後輩「ていうか私、正当に評価されてない気がして」
先輩「えー! たとえばどんなことよ?」
後輩「仕事の内容よりも〜、スラックのパフォーマンスがいい人を重用するし〜、こないだなんて自宅で作業してたら『事前にリモートワーク申請してないから認められない』って有休扱いにされちゃったんですよ〜」
先輩「まぁウチの会社ってそういうとこあるよね」
後輩「なんかもうモチベだださがりで〜」
先輩「なるほどね」
後輩「というわけで部長に『やめます』って言ったんです。で、溜まってた有給と〜、夏休みと生理休暇を併せて、来月マルっとお休みいただこうとしたら『そんなのダメだっ! 夏休みは法定外休暇だ』って叱られちゃって〜」
先輩「あらら」
後輩「セコくないですか〜?」
先輩「まぁ、フツウ、夏になる前に辞めていく人間に夏休みは出さんわな…」
後輩「とにかく、職場環境の仕組みづくりって言うんですかね〜。そういうとこが遅れている気がしちゃって。不満が溜まりまくりなんです〜」
先輩「いいと思うよ。合う合わないはどうしてもあるからね」
後輩「ま、一番ツラいのはちゃんとやってるのに評価してもらえないところなんですけどね。要領のいい子がどんどん上に引き上げられていくんで〜」
先輩「ところで、次の仕事先は決まってるの?」
後輩「小さな会社なんですけど〜。いわゆるオトナベンチャーっていうか〜。40代の方が始めた事業をアシスタントとして手伝うことになってて〜」
先輩「いいじゃない! 立ち上げスタッフってことでしょ。やり甲斐ありそう」
後輩「そうなんです〜。会社のルールとかシステムとかこれから作っていくことになると思うんで、そこで頑張ってみようかな〜って」
先輩「引き継ぎはこれから? あなたが辞めるにあたって誰にバトンを渡すの?」
後輩「それについては部長からなんにも言われてないんですよね〜。めんどくさいから具体的に指示があるまでバックれてようかなって」
先輩「そういうのはちゃんとしといたほうがいいよ…。次の会社でのびのび仕事できるようにね。あとで部長から連絡とかきたらイヤじゃない」
後輩「ですね〜」

いやね。盗み聞きするつもりはなかったんですよ。今日は今朝から外回りの用事がありましてね。珍しく出先近くのメシ屋で昼ゴハンを食べてたら、隣のテーブルから聞こえてきちゃったんです。この会話劇のようなコソコソ話が。
(あ、もちろん細部は脚色してますんで、あくまでもフィクションとしてお楽しみください)

ちゃんと評価されたいなら、お前もちゃんとな!ってツッコミ入れたかったのは我慢我慢。でも、こんなこといってるわたしだって、20代の頃は自分の都合しか考えずに、会社に対して文句ばっかいってたからなぁ。他人様には偉そうなこといえんのですけれど、令和の人たちも一緒ですな。少しホッとしました。


ちなみに、図らずもこの会話に接して、気になったポイントは3つ。
まず、スラックってなんやねん?です。

調べてみたら、LINEみたいなチャットアプリなんですね。ビジネスユースを想定して作られているんで、部署内のコミュニケーションに使われるシーンが多いみたい。そういえば、以前取材したIT系の企業さんでも業務連絡用に導入されていらしたような。

で、お話の流れから察するに、チーム内で上手にスラックを使って上長に「報告・連絡・相談」をしている人が評価されてるってことなんでしょう。そんなん「当たり前やん」と思うのは年長者の傲慢でしょうか。活発に報告や相談をしてくれる人にほど仕事は任せたくなりますもん。「大丈夫かい?」って聞いて「大丈夫っす」としかいわず、何も相談してこない人ほど仕事が遅いのはよくある話。蓋をあけたらツマンナイことで足踏みしてたりして。悩んでるんだったら、ちゃんと相談してよ〜ってなっちゃうこと、結構あります。

次に法定外休暇。これは、わたし自身あんまし意識していなかったんですけど、企業が独自で定めたリフレッシュ休暇とか慶弔休暇の類いみたいですね。法律で定められた育児休暇や介護休暇とは違って、給与の有無や取得条件は会社の胸先三寸。じゃあ文句はいえんわな。温厚なわたしでもきっと却下しちゃうかも。

最後に俄然気になったのがオトナベンチャー
これは文字通り、いろんな企業でバリバリにキャリアを積んできた大人の方々が、一念発起、起業して作ったベンチャー企業のことらしいです。働くことに対して感じてきた問題点や違和を払拭しながら、人に優しい企業運営を志向されているので、わりとゆるくて楽しげな社風の会社さんが多いようですね。気合で売上をあげてやるぜ!ではなくて、しっかり足元を見つめて実直な経営を目指すというのかな。ボリュームゾーンにいるベテラン世代の助言や手ほどきを受けられるんで、若い方々も働きやすいかと思います。


職業柄ですかね。上述のように、あっちこっちで未知の事柄に出会うと、つい興味津々、探究心を満たしたい欲求が発動しちゃいます。
で、帰ってきて、あのワードってどういうことよ?とか、彼や彼女は一体なんのことを話していたんだろう?といったことを解明したがる(笑)。

いつなんどき、こうした街で拾ったエピソードの数々が、お客さんとのトークや企画づくりで役立つとも限りません。アンテナは常に広げています。それが編集者というものです。

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