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ゴシップが好きなのは悪いことじゃない 〜イギリス人はゴシップ好き〜
私は英会話講師をしていて、なるべくトピックには興味深いものをといつも思っている。その中にたまたまゴシップについての話題があった。
まずシンプルに「あなたはゴシップが好きですか?」という質問。「Yes」という答えが多いと見越して、その後の問題や質問は続いていくのだが、なぜか一定数「好きではない」と答える人がいることに気がついた。どうやら『ゴシップは悪いこと』だと思っている人がいるみたいだ。
ゴシップという単語を今更ながら辞書でひいてみよう。
gossip
別表記:ゴシップ
「gossip」とは、「うわさ話」「おしゃべり」「世間話」「雑談」「うわさ話が好きな人」「うわさ話をする」という意味を持つ英語表現である。
上記の説明を見ると、ゴシップは別に悪いことでもなんでもない、むしろみんなが意識せずに、息をするようにやっていることではないだろうか。
私が「ゴシップは好きか?」と聞かれたら、もちろんイエスだ。広い意味で。
イギリス人の夫は自分よりもっとゴシップ好きだと思う。聞けば「Oh Yes」と当たり前だと多少うんざりした顔で答える。
ゴシップは必ずしも悪口ではない。
うわさ話は面白いものであればあるほど、自然に広まっていくもの。それは今も昔も同じだ。
ハリウッドゴシップが好き
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私は一般的なうわさ話だけではなく、ハリウッドゴシップが10代の頃からずっと好きだ。
今はアプリで変わらず、好きな俳優の近況をチェック。イギリスのロイヤルファミリーもチェック。分からないことがあったら執念で過去にも遡って調べて、ゴシップを正確に理解できるよう努力。
日本人もたいがいゴシップが好きだと思うが、イギリス人はさらに上を行くほどのゴシップ好き民族。東スポみたいな感じの、ゴシップがたくさん載ったイギリスのちゃらいタブロイド紙や雑誌。それらがコーナーショップやキオスクで盛んに売られているのだ。
イギリス人の夫ももれなくゴシップ好きなので話が合う。
「レオナルドディカプリオって、彼女が25歳になると別れて、もっと若い彼女と付き合うんだよ。面白いね」と夫に言うと、「ディカプリオって一貫性あるよな。イメージ通りっていうか。知ってる?この前イギリス人の俳優がトークショーで話してたんだけど」
夫によると、
イギリス人の俳優(イギリスでは有名だが、ハリウッドではそんなに)が、映画の撮影の合間に車を運転してディカプリオをどこかに連れて行ってた時、飛ばしたい衝動に駆られてちょっと無茶な運転をしたらしい。そこでディカプリオがもう少しで車内にぶつかってけがをしそうになったと。
そうしたら、
「もしここで僕がけがをしたらどうなる?撮影が止まったら、いったい何万ドルが消えると思ってるんだよ?」とイギリス俳優にまくし立てた。
「ごめん!本当にごめん!」と謝る彼にディカプリオは、
「I loved it! 」(楽しかったよ!)と笑顔で言ったという。
「やっぱりディカプリオってすげーよな。」とイギリス俳優もどこか誇らしげだったとか。
そんなうわさ話をされちゃうディカプリオ、好きですねえ。
イギリス人がうわさ好きな理由
イギリスに住んでいた頃、イギリス人に囲まれるとみんながうわさ話をよくしていることに気がついた。誰がどうしたとか、あの人はこういうところがあるとか。
在英の日本人(もう長い人)と話をすると、「イギリス人って京都の人と似てるよねえ」と何度か聞いた。その場にいる人達もうなずき納得していた。
それはどういうことなのか。
京都の人を表すのにありがちなエピソードが、
「あら久しぶり。ちょっとうちでお茶でも飲んでいかない?」と誘って、その人が本当に家に入ったら、「あの人信じられない。誘われたからってのこのこ家に上がるなんて」というものがある。
表面では笑顔で上品にしていても、腹の中では何を考えているのか分からない。またイメージでしかないが、京都人は陰で色々とうわさ話をしている気がする。それも上品に。
確かにイギリス人のイメージと被る。
イギリス人の夫に「イギリス人ってゴシップ好きだよね?」と聞くと、
「そりゃみんな好きだよ。楽しいし。それにゴシップって役に立つよ。会社にいた時は、ゴシップを誰に流すか、誰に伝わるかってことまで計算してゴシップをしてたよ。普通でしょ」
という答えが返ってきた。イギリスでは何かのトピックに関して議論(ディベート)するのは普通。またゴシップによって自分がうまく立ち回ろうとか、何かを操ろうとするのも普通、ということなのだろうか。
イギリスの有名なスパイ組織、秘密情報部(SIS)。(MI6の通称が広く知られている)
もしかしたらスパイ活動ってゴシップの最たるものかもしれない。
相手を油断させて、秘密や重要な情報を引き出す。その情報はガセではないか、また別のツテを辿って確かめる...
あの有名な映画007の原作者イアン・フレミングは、元MI6の諜報員だという。
イギリス人のゴシップ好き、水面下で糸を引く人間関係や外交、有名なあの三枚舌外交、確かに存在する階級社会、欠かせないスパイの存在。
こういう薄暗い世界観、まるでイギリスのグレーの空のよう。
同じ島国に住む日本人として、ゴシップによって自分の身を守ろうとするのは本能なのではないか、と理解できるところもある。
とにかく、ゴシップは悪いことだなんていう思いは捨てて、もっと楽しく役に立つゴシップ活動に、多くの人にどんどん目を向けてもらいたい。
もちろんすべてのゴシップが良いかと言われればそんなことはないし、つまらない話を無理して聞くこともない。
だから「ゴシップが好きか?」と聞かれたら
「It depends.」場合によります。
と答えるのが良いかもしれない。世の中には役に立つうわさ話や、心底興味深い話というのがある。
ゴシップを楽しみ、イギリス人のように「ゴシップが好きだ」と堂々と言ったって良いのだ。
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