組織戦略の考え方

連載されていたものをまとめたという話で、ややとっ散らかっているところはあるものの、なるほどとても面白い、よくわかる組織論の本。

組織戦略の基本は官僚制にあるという。
官僚制の良さはその効率性にある。
ルーティン的な内容なら都度対応より官僚制の下、効率的に意思決定を行い、施政者はのそれ以外の事象に注力できた方が効率的だ。
組織の基本はこれであり、事業部制やら何やらもこれを発展させたものである。
次に出てくるのがゴールドラット氏の名著、ザ・ゴールに書かれるボトルネック。
効率性の延長といえるかも知れないが、つまるところボトルネック組織の最大出力がすなわち組織全体の最大出力になるわけだからそこに手を入れるのが一番効果的って話。
続いて組織デザイン、ここでは組織変革は処方箋ではなく、マズローの欲求階層説では忘れられがちな承認・尊厳欲求の大切さを示すことで、最も大事なのは人であることが示される。

その次の部では有名なフリーライダー問題、トップの決断力の重要性、厄介者とスキャンダルという点から組織の疲労について説かれる。

最後の部は組織腐敗で内向きの論理や利にならない仕事作りが組織を腐らせることが説かれる。

特にワクワクするのはフリーライダー問題くらいまでのところ。
それ以降は正しいのかも知れないが嫌な気分になる話が多かった。

感想になるが、大事なのは上司が部下にいかに勝ち戦を経験させられるかというのはハッとさせられる内容であり、フリーライダー問題の根幹はある意味個々の責任感(正義感と言い換えても良いか)というのも難しくもそうだよな、と思える話である。

沼上教授は別のところで部下を労わる上司が尊敬されるのではなく、上司の上司をコントロールできる上司へのリスペクトが高まると述べておられる。
これも真なり、と思った。

改めて認識したのは、常々よく観察し、目的に戻り、そして思考停止せずよく考えることが重要ということである。
これほど目から鱗の内容もそこから生まれているし、機会もごまんとあるのだ。

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