鉄道復権

鉄道先進国であった日本。
大量の人と物を効率的に輸送するという鉄道の機能は、日本が経済大国になるための重要なインフラであった。

コロナが流行らずとも遅かれ早かれ日本の経済成長が鈍化している以上、鉄道は従来の定義のままの存在では意義を緩やかに失っていただろう。

本著で筆者は一度は没落した鉄道を復権させた存在として欧州の例を挙げる。
LRTやP&R、そして地球環境問題など、新たな鉄道の形を示す。
鉄道は都市と都市を結ぶ結節点であり「つなぐ」ことで意味を生み出す。
街を生み出すのもその一つである。

鉄道は今大きな岐路に立っている。
コロナで自由な移動が減り、通勤・通学といった日常利用が減り、コロナ禍が終わっても100%まで需要が回復する保証はない。

大都市圏はある程度今の定義で生き延びられるだろうが、地方にもう時間はない。
鉄道にどんな意味付けができるか。
恐らくその解を持つのは鉄道会社ではない。
地域であり新たな物語を創り出したい人々である。

車はモビリティ、点を増やし分散させる。
鉄道は集積、人や居住区を集約する。
地方のテーマは「集約する」こと。

過去の成功体験はいつも未来の敵である。
新たな価値から新たなストーリーを紡ぎ出したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?