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未来の地図帳

人口動態から都道府県の未来を予想するとても「野心的」な書。

人口はある程度未来予測しやすく、海外からの転入・転出以外の要素では、いきなり人口増になったりする可能性も低く、大規模な災害、戦乱でもない限り減少の観点でも大きく外れるものでもないだろう。
また人ひとりが一人前に成長するのに最低18年はかかることからこれも未来予測を容易にする要素となる。

個人的にはそれほど日本の将来には悲観的な思いは抱いていないが、今回の本題ではないので傍に置く。

さて、本書を自分なりにではあるが読み解くと、東京の特殊世界を除けば、地域差が大きく異なってくることで、衰退する自治体は目も当てられないほどに減少し、そうでない自治体との二極化が進む、と読み取った。
それに対する処方箋として筆者は①拠点という「王国」を作る、②基礎自治体の単位を都道府県とする、③働くことに対する価値観を見直す、④「在宅医療・介護」から転換する、⑤東京圏そのものを「特区」とする、の5つを挙げている。

賛否は置いておくが考えの根底は個人的には共感するものが多かった。
その上で自身の思考の整理のために備忘的に感想を残す。

おそらく、将来的に人口は都心回帰する。
大都市の中心部は栄え、ベッドタウンは衰退し、都心部に居宅を構える人が増えるだろう。
そうするとある程度の職住近接がなる。
一方で別荘のように都心部とその他エリアと、複数拠点を持つ人も増えるかもしれないが、こちらについては個人より不動産政策に依るところが大きい。

一方、地方の都市はどうするかといえば、個性とコア産業の育成が重要になる。
便利かつ職住近接で食糧を得られることはマストであろう。
筆者のいうように、空港が近いとか港湾があると言ったものや主要駅の周りに中心が固まっている等も強みになるだろう。

いずれにせよ、自身の想定する処方箋としては、筆者の「王国」の思想に近く、いかに都市ブランド力をつけるかが重要だ。

個人的には産学連携(大学と共にビジネスを産む仕組みづくり)や遣東使(東京や海外への、地方への帰還を前提とした一時留学)を使いながら「帰ってきたい街づくり」を行うことが重要だと考える。
「帰ってきたい街」の例としては、決して軽井沢が大成功例だとも思っていないが、同町が行っているような徹底した都市計画とポリシーづくりが生み出す「●●といえば」ですぐ思いつくような街を作る必要があるだろう。

自由主義で資本主義の日本では政府に強制されるのはそぐわないだろう。
愚直に信念を持っていかに魅力で力強い街を作れるかが重要だろう。

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