HOUSE OF GUCCI

ルドルフォ・グッチの一人息子マウリッツィオ・グッチは、親の反対を押し切り名家の出でもなく教養もないパトリッツィアと結婚。パトリッツィアは、グッチ家の財産が目当て。その為に手段を選ばずあらゆる手を尽くし、財産を手にしようとするが、、、という実録もの映画。

パトリッツィア役のレディ・ガガの表情の演技が、とにかくすごい。”アリー”とは対照的に財産目当ての悪女パトリッツィア。事が進むに連れてどんどんと悪い顔になっていく。特にあるルドルフォとマウリッツィオが話している横で見せた”悪い顔”は、この映画の中で最も恐ろしい場面と言っていい。ちゃんと学校で演技を学んだレディ・ガガではあるけれど、その多才っぷりを見ることが出来る映画。

事前に話題にはなっていたけど、マウリッツィオの従兄弟パオロ役のジャレット・レトとパオロの父アルド役のアル・パチーノの特殊メイクは、言われないと分からないくらい高度な技術。ついでにパオロの話をしておくと、パオロは何一つ取り柄のないボンクラなんだけど、そのパオロがあるシーンで激怒し乗ってきた車の傍で捲し立てているシーンがある。その間中、ずっと車のワイパーのスイッチが入っちゃっているのは、まさに間抜けなパオロを象徴するシーンで最高なので、これから観る人はお見逃しなく。

他にもこの映画がいかによく出来ているかを証明するところはもっと沢山あるんだけど、ざっと音楽は、イタリアが主な舞台ということもありジョルジオ・モロダーがプロデュースした曲が多々使われていたり、時代設定に合わせ80年代のシーンにはニューウェーブだったり、対位法的に暗いシーンに明るい曲を使ったりと音楽の使い方に気が配られている。

パトリッツィアという人は、恐らく頭が良くて人を見抜く力も人を動かす力もあったんだろうけど、最終的には出自の悪さや教養のなさによって形成された自己が原因で上流階級で上手く立ち振る舞えず悲劇を生み出してしまったのではないかな?そういう映画。

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