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A子の結婚【最強の刺客】

A子の式はまず、ホテル内の神殿での神前式。
A子は角隠しで、白無垢のスタイル。
A子旦那は顔も髪型も普段と変わらないぬぼ~っとした感じで(髪型のセットをしたのかしてないのか分からないくらい普段と同じ)メガネに羽織袴姿。

ちなみに、A子は洋装を決めるときに、自分が良いと思うものとは違うものを良いと言った周りの意見が【邪魔】と感じたらしく、もともと和装は後日選ぶ予定になっていたので、今度はイエスマンのA子母、B子だけを引き連れて行ったそう。
A子の性格からすると、それこそ懸命な判断だと思った

神前式は特に問題なく終了。

次に親族のみの全体写真の撮影へ。
スタッフの誘導に従い撮影部屋へ。
このとき、ひとつだけ気になったことが。
全然知らないおばあさんが、花嫁の後ろというスペシャルな位置をキープしている・・・

うちの親族ではないから、もしかしたら相手方のご親族かな?それにしても、花嫁側キープ?と少し不思議に思いながらも、撮影は無事終了。

そののち、披露宴が始まるまでの間、ロビーで待機。一般招待客たちも少しずつ現れ始めたときに、受付あたりが少しザワつく。
その理由はすぐに判明。
新婦側の受付をするはずの人間がきていない。
新婦友人2人が来るということになっていた。
急きょ親族で対応。
それが結局、ほとんどの招待客が受付を済ませた頃に、ふたりでしれっと現れて悪びれる様子もなく、すでに終わりかけの受付にはいった・・・

更に披露宴であるあるの新婦友人からの手紙は、友人に頼んだが「恥ずかしい」という理由で受けてもらえなかったらしい

余興もやってくれる人がいないということで、A子が親族一同で余興してほしいと言っていると、まずはA子母から、うちの母を通じて伝えられた
うちの父が北島三郎の「まつり」を歌いたいと言いだしたので、父メインで構成することに決まった

もちろんこれらは、披露宴でよくあるということだけで、必ずやるべきとはまるで思わない
むしろないならないで、シンプルで良いと思う

ただ、A子の披露宴から感じ取れたのは、見栄とプライド。
全部で10卓くらいある招待客の席。
新婦友人席は8人くらいの席が2卓。
更にはいりきらなかった友人が親族席に数人。
A子旦那の方は潔く友人ひとり、のため、親族席にくみこまれていた。

A子は友人として招待している人間が20人近くいるにも関わらず、受付に遅刻、手紙もなし、余興などしてくれる人間もないことに違和感と、寂しさを感じた

まず、
新郎友人からの簡単な祝辞があった
そして新婦側からも祝辞があると、司会の方からの案内があり、立ち上がり、マイクへ向かう人物が!

それがなんと!
親族写真撮影時に花嫁の後ろをキープしていたおばあさんじゃないか!
なるほど、新婦のよっぽどお世話になった恩師かなにかだったのかなと思っていると、

そのおばあさんは
A子の母の小学校時代の恩師である、ナカタ先生(仮名)であることが判明!

・・・ん??
A子の、母の、小学校時代の、恩師???

おそらく、その会場にいたA子一家以外のほとんどの人間の頭の中に『?』マークが浮かんでいたんじゃないかと思う。
ただ、我が母は、A子一族とツーツーな為、すでに、ナカタ先生の登板情報を手にいれていたらしく、さも当たり前として、その状況を受け入れていた

ナカタ先生、齢70後半くらいだろうか、ゆっくり、ゆっくりと、マイクへ向かう

そして、新婦A子の結婚を祝う言葉をさらりと述べたあと、自分とA子母との関係について語り始めた
A子母をはじめて見たときの第一印象から、A子母が小学生の時に、どんな生徒だったか、更に自分の教育理念の話などなど。
そろそろ終わりかな?と思ったら、まだまだ続くナカタ節。
私の隣に座っていた普段から毒舌の父が
「まだ終わらんのんかいや(笑)」と言い出した
私も同じ思いだったが、一応、大人のたしなみとして「しっ、そんなこと言ったらだめよ!」と真面目に諭してみたが、つい我慢しきれず吹き出してしまった
段々と、このナカタ節がいつまで続くのか、ワクワクし始めた
内容はまったくはいってこなかったけども。

そうこうしているうちに、締めにはいりそうな話にはいった、お、ついにそろそろ終わりか!?と思いきや、騙された
まだまだ続く、ナカタ先生の教育論。
すでに10分くらいは経過したか・・・
じーっと座っているだけがまだ辛い2歳児の息子、かなりおりこうにして待っていたが、ついに限界。グズリだしたので、持参していたシールブックを与え、時間稼ぎ。
15分を越えるか!?という辺りで、ついに司会が動く。やんわーりと、次にうつるような合図をスタッフと交わしたのか、スタッフがナカタ先生に足元あたりから終了を促したのであろう、
「他にも色々話したいことがあるけど、私が出しゃばってもいけないわよね」などと、すでに散々喋り倒した人間には相応しくない言葉を述べ、名残惜しそうに自分の席へと戻っていった・・・

ナカタ先生の印象が強すぎてこのあとのことはあまり覚えていないが、
我らがナカタ先生の登板はこれで終わりではなかった!