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「フォークミュージック」

 昔からフォーク・ソング、特にブリティッシュ・フォークが好きで、ずっと聴いてきた。フォーク・ソングというものに思いを巡らせるときに想起するのが、ディランが『ボブ・ディラン自伝』のなかで書いていた、セロニアス・モンクとのエピソードだ。

 グリニッジ・ヴィレッジ界隈で歌っていたころ、ブルーノートにセロニアス・モンクを聴きに行ったというディラン。モンクに「近くの店でフォークミュージックを歌っている」と話すと、彼は「わたしたちはみんな、フォークミュージックをやっているのさ」と答えたという。

 フルトヴェングラーは、「すべて『新しいもの』についていえることですが、真に偉大なものが新しかったためしはありません」と手紙に書いている。過去に向かった先に未来がある。根源的なものにこそ、時代を超える強さがある。「フォークミュージック」とは、そういうものなのではないかと僕は思う。

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