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ペースメーカーは進化する ~ゴールデンゲームズinのべおか 観戦記vol.3~

2023大会で大きく変わったのが「ペーシングライト」の導入。

目標となるペースを示すために、走力のある外国人選手が担っていたペースメイク。
東京五輪10000m7位入賞 ロジャース・ケモイ選手が10000mのペースメーカーを担当するなど(トップ画像)、GGNではワールドクラスのランナーを起用しましたが、加えてダイヤモンドリーグなどで実績を上げている「ペーシングライト」が導入されました。

ペーシングライトとは?

コニカミノルタ陸上競技部チャンネルのyoutubeに1分弱の動画が上がっています。
とってもわかりやすい。
「電子制御でコンマ単位まで制御できる!」「オーディエンスを巻き込むことが出来る」と熱弁をふるっているのは宇賀地強さん。

3色のライトがレースを支配する

青・緑・白の3色がペースを刻みます。
レース序盤は青・緑を目標に。

5000mF組
13’30~13’40あたりがターゲット

後半になり、選手がばらけてくると白の存在意義が大きくなってくる。

望遠レンズで撮影するとライトの設置間隔が解りにくいのですが・・・

10000m 4500m付近
左端に青ランプ、真ん中あたりは緑ランプ(500mmレンズ)

真横から見ると、100㎝間隔なのがよく解りました。
(田澤さんの身長が180cmくらい)

10000m 6100m付近 レンズ100mm

10000mラスト1周の様子。
青は27’40ペース、緑は27’50ペースを刻んでいた。

2人とも青ライト。後半でペースが上がった?

一番遅い白ライト。
5000mBラスト1周の様子。
ランナーはライトより先行しているからか、電光掲示板をチラ見↓↓。

5000mB ラスト1周
自己ベスト更新なるかならないかの瀬戸際
5000mA 1位のタイムは13’27”33
右腕の下に白ランプが見える。ここからゴールまで約100mちょい。ということは白ランプは13'40設定だったかと。

導入効果と課題が見えた

メリット1:安定したペース配分

「生身」の選手によるペースメイクは、そのペースメーカーの身体的精神的状態に左右され、ついていく選手のパフォーマンスに影響を与えることがありますが、ペーシングライトは設定どおりにラップを刻んでくれます。

メリット2:ペースメーカーの人選が不要

人選をする必要が無くなること、ギャランティが発生しないのは、主催者の負担軽減につながります。

メリット3:観客のムーブメントを起こせる

「ガンバレ~」が主流を占めていた声援を変えていける。
ライトの導入でペースの上がり下がりが可視化できますね。


結果が出そうな走りをしている選手には『押せ押せ』の声掛け、こぼれそうな選手には『ガンバレ』と背中を押す声掛け。「個々の状態」に合わせた声援が出来そうです。

課題1:レース中のモチベーションを保つのが難しいかも

「白ライトにおいていかれてしまったら、やる気が落ちてしまう。」こんな声を耳にしました。
落第宣告みたいに感じてしまうかも。

今後ページングライト導入試合が増えてくると思うので、慣れるまでの辛抱かな。

課題2:外国人選手はどう考えているのか?

ペースメーカーに選ばれるとギャラが出ますが、ペーシングライト導入でペースメーカーは不要。外国人選手にとって、PMに選ばれるのはボーナスだったはず。老婆心ながら気になっています。


世界との差を埋める起爆剤に!

九電工のコエチ選手。これまで多くの試合で好アシスト。最高峰のペースメーカー。

今回のGGN では、5000mの世界選手権参加標準記録(13’07)突破者が5名でました。

 リチャード・エティーリ(東京国際大)13’00”17
 コエチ・べナード(九電工)13’00”38
 キプラガット・エマニエル(三菱重工)13’00”90
 テモイ・マイケル(GMOインターネット)13’01”48
 キプラガット・ベンソン(スバル)13’02”74

ですが、本稿執筆時点で彼らは世界選手権の代表要件を満たしていません。
1か国あたりの参加人数の上限は3人。5人とも国籍はケニア。その中でGGNトップのエティーリさんが4番手なのです。

ケニアの層の厚さをまざまざと実感しました。
日本選手の前で、延岡の子どもたちの前で世界トップレベルの走力と駆け引きを繰り広げてくれたことは素晴らしいと思います。
きっと起爆剤になってくれたはず。

一地方都市が世界に通用するレースを開催していることを評価し、一人でも多くの人に知ってもらうことが、日本長距離界の底上げになると思います。


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