広告業界は2024年どうなるんだろうか(予想というよりも妄想)
FOR YOUで執行役員CMOをしている筧(@kakehi_)です。
入社して2年経ちました。早いものですね。私が入ったときには20人だったメンバーも、現在では50名ほどになりました。
広告業界にいて16年ほどの経験ですが、この業界はもともと変化の激しい業態です。
流行りすたりが好きな人(良い意味でも悪い意味でもありません)が多く、新しい手法が次々と生み出され、それを売る人がたちが増える。そしてそれがいったん落ち着くと、次の新しいものが生み出されていくという、同じサイクルを繰り返します。
15年前はmixiやFacebookなどのプラットフォーム・ネット広告が大きくなっていった時代に電通に入社した私は、マス広告の影響力も感じながら、そのインターネットが登場して、急激に変化をし続けたことを感じた世代になります。
新しいものが生まれているのですが、表面的には新しいと思うものの、「それはこのマーケティングの概念の一部だな」とか「あの手法の言い換えだな」など業界的に長くなってくると感じるものです。
とはいえ、業界外からの人からは新しいものに見えますし、マーケティングに関わる方は成果をあげるために新しい(と思える)マーケティング施策を実施しなければいけないため、それをトライするしかない部分もあります。
私は、マーケティングに関わるものとして「飽き」が非常に重要であり、邪魔でもあると思っていて、人は飽きることを前提として、マーケティングも組織も考えないといけないと思っています。
その意味でずっと同じことをやっている(少なくともそのように見える)ことを継続している企業を尊敬しています。継続しなければ効果がわかりにくいものもある中で、信じること、まわりを説得することは大変だからです。
話がずれました。
年末に差し掛かってきて、少し仕事も落ち着いてきたところだったので、広告業界がどのように変化するのかを妄想してみようと思います。
急激に新しいものが今後も増えていく中で残さなければいけないことと、
変えなければいけないことを判断することが必要ですが、その参考になれば幸いです。
広告業界の変化
①生成AIにより企画する人がより多くの人が可能なものに=課題発見力がやはり求められるがそれは誰の仕事なのか
ある程度ChatGTPを触っている人には実感があると思いますが、簡単なコピー、簡単な企画ができることを超えており、人間を超えた速度で企画が出せる、人間が思いもつかない企画を出せるようになっています。また急速にアップデートされているため、現時点でその状態であるため、1年後どのような活用方法が表れているのか想像ができていません。過小評価しないために想像しないほうがいいのではないかとも思っています。
Chat-GPTを使って企画を出すことが増えると、企画を数多く見ることができるため、企画の審美眼を磨くことがしやすくなったともいえるかもしれません。自分自身でPDCAをまわすことによって、目が肥えるためです。より、一層企画の質を問われる時代になりますが、その質はどこで評価するかというと「そもそもなにを解決すべきか」という課題発見力となっていきます。
②アイデアを出す力は軽視されるが、判断・ディレクションする力の重要度が上がる。
たくさんのアイデアを出せるからといって、そこから選ぶことができなければ意味がありません。その意味でこれまでの経験が大いに求められるようになります。若者よりも年配の方の力が求められる時代が来るかもしれません。
では判断・ディレクションする力はどうやって磨くのかというと、世の中に自分のアウトプットを出すから磨かれるものだと思っています。その意味で経験値のあるシニア以上の方が重宝される時代ともいえる可能性が高くなっていると感じます。
③大量生産が必要な広告素材の単価は低下へ。静止画はすでに導入されているが、動画広告素材も急速に進む。
PDCAを早く回せる部分についてこれまで以上に進むと考えられます。静止画のバナーなどを外部のデザイナー依頼することはなくなっていくでしょう。動画も一定のフォーマットに則ったもの、あるいは厳密さが求められないものなどから進んでいきますが、用途としてはかなり広いため急速に進むはずです。
④ソーシャルメディアには大量の静止画・動画が出回る。そのことによってプラットフォーマーは対応をせまられる。
個人の生成AIの活用は進んでいくことで、まず、あらゆるアカウントが自動化されることになり、そこから成功事例も多く生まれることになります。そしてファンもそこについていきます。ファンにとってはその人が生み出したコンテンツ、選んだ投稿であればAIが作ったとしても、ある程度最初はハレーションは起きるかもしれませんが問題はありません。
結果としてプラットフォーム側としてこれを良しとするのか、そうでないのかが重要になってきますが、おそらくこの流れは止まらず、過渡期として議論を起こすのみで当然のようになります。その結果、おそらくですがプラットフォーム側は投稿数に応じて課金されるビジネスモデルに移っていくでしょう。
⑤DXは大戦国時代へ。生成AIによって進めていたプロジェクトを立て直す必要が出てくる。
生成AIが出てきたことを想定していた企業がほぼない中で、ここ5年間で登場し、進んでいた多くのDXのプロジェクトはそれを前提としていません。プロジェクトオーナー的にもとても頭を悩ませていることが多いでしょう。
その結果、DXプロジェクトをどう立て直すかという議論が今も様々な企業で起こっているだろうと想像します。
もちろん生成AIは活用することを前提としなければいけない中で、自社の事業をどう形作っていくのかを描く必要があるのですが、急速にできることが増えるため、現時点でできることで考えていいのか、ある程度成功事例が出てからにするのか、判断が求められる部分です。
⑥広告の内製化は特にデジタル領域からさらに進む。事業会社のデジタル広告経験者の採用が加速へ。
内製化の流れはこれまでも強かったのですが、これまで以上に進むでしょう。デジタル広告経験者の採用はさらに加速しますが、生成AIの活用に対する期待値は高く、それに答えられる人材が市場のどの程度いるのかというとそれほど多くはありません。社内でAI人材を育成する企業も2024年は増えてくるでしょう。
⑦フリーランス・外注への流れは一巡し、内製化と給与への反映が進む。
上記と合わせてフリーランスや外注の流れは一巡し、内製のために給与に反映していく流れが起きていきます。物価上昇の影響や人不足の流れも含めて給与をあげていく企業が増えていきと思います。
基本的には人が足りないので、人が足りるようにするのか、人が足りない前提で考えるのかの違いによって、対応方法は大きく分かれていくでしょう。
個人的には人が増えない中でどうビジネスを組み立てるかが日本企業の基本戦略になると思っています。逆に言えば人が集められる企業がそれだけで強みといえるでしょう。
⑧広告効果の可視化はよりいっそう可能に。
動画広告のPDCAが回しやすくなった結果、動画領域の効果検証も進むでしょう。動画のクリエイティブの検証も進みますが、動画素材も大量に作ることができるようになった結果、媒体価値の最適化がより進むと考えています。
⑨企画よりも人にしかできないオペレーションの価値が上がる。
生成AIによって自動化できることが増えた結果、人にしかできないことに対する価値は大きくなります。例えば、プロジェクトマネジメントやリーダーシップを持って物事を動かしていける人の価値は上がっていきます。
自動化されやすい仕事をしている人や、チームで仕事ができない人の価値は低下し、機械化される対象になっていくでしょう。
⑩インフルエンサーのインプレッション価値は低下する。
コンテンツを簡単に作り出すことができるため、インプレッションを生み出すことはしやすくなりますが、相対的にインプレッションの価値は低下します。さらにエンゲージメントが求められるようになります。エンゲージメント率がさらに求められる流れはこれまで通りかなと思います。
以上、妄想でした。年末年始で生成AIについて学ぶ予定ですので、もっと精度を上げて何をするべきかを考えていきたいと思います。
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