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翻訳するには教養が要る(だから不断の読書と映画鑑賞が必要)

翻訳していて次のような台詞が出てきた。妻の妊娠を夫が一緒に喜んでいる場面。

夫: Darling, I hope it's twins.
(双子だといいね)
妻: Well, you know, Dr. Carter isn't sure yet.
(待ってよ。カーター先生は「まだ確かじゃない」って言ってるのに)
夫: You tell Dr. Carter I already bought the cigars.
(「もう葉巻を買ったよ」とカーター先生に伝えといてくれ)

さて、「葉巻を買ったよ」とはどういう意味でしょう?

実はアメリカでは自分の子供が生まれると友達に葉巻をプレゼントする習慣があるのだ。

この習慣を知らないとbuy the cigarsの意味が分からないかもしれない。何かのイディオムだと思うかも。

私がこの習慣を知っていたのは、何年か前に読んだレイモンド・カーヴァーの短編に出てきたから。

つまり、自分の好きな本を読み、映画を見ることも翻訳においては重要であり、すべては翻訳とつながっているのだ。

逆に言えば翻訳は常在戦場。仕事だけしていれば大丈夫、という甘い世界ではないということでもある。

だから仕事と関係のない本や映画を見ていても止めないでね。
(ただの道楽ではないから)

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