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2020.11.11 - 2021.11.11

1年間、約365日。

私が“1年間”という時間の長さを意識するのは正月と年度始めくらいだ。
11月11日、1並びの縁起の良さそうな日が“大晦日を除けば1年もあと50日”ということに気がついた昨年、50日間何かを継続する「50日チャレンジ」として私が選んだのは手話だった。

あれから今日で1年。
その結果として現在、自治体主催の手話奉仕員養成講座を受講している。

自分のことだけど他人事のように『意外だったなぁ…』と思う。
ある程度までなら独りでも学べるのに、地元でもなく、特別仲のいい友人知人もいない場所で誰かと学ぶことを選んだのだから。超意外。←

50日チャレンジを終えて、年が明けた頃に何気なく感じたことが2つ。

『私の手話、通じるのかな?』
『誰かと学んでみたい』

だった。

正直なところ、誰かと学んでみたいなんて感情が湧いてくるとは思わなかったから、自分でも驚いた。

手話を学ぶ機会を得たのは2020年の4月の自粛期間中の頃。自治体が手話奉仕員養成講座など各種講座を開いていること、その際に近くに手話サークルがあることを知ったのもこの頃。2020年度は全て中止になったけれど、2021年度は開講されるとのことで市役所や図書館には申込書が置いてあった。

「いつか…と思っているうちは“いつか”はやってこないから、機会は自分から掴みに行く」というのが個人的なスタンスではあるのだけれど、たった1枚の紙を提出することがどうにもこうにもハードル高くない?って思えて、1週間悩んだ末に申し込んだ。
(たぶん経験したことがないものに対しての耐性がほぼゼロなんだと思う。)

で、今振り返ってみて思う。
悩んだ時間、無駄だったかもしれないって。
迷ったらGo!勢いって大事なんだなぁって。

講座名以外は端的に開講日時と場所、テキスト代金しか書かれていなかった申込書のその先には、驚くことがたくさんあった。

今の状況だから定員は例年の半分だと言われたけれど、今年度の申込者は約30人。自分の地域に手話を学びたいと思って申し込んだ人がとても多かったこと。
職種としては医療・福祉関係の仕事に就いている方が多いんだなぁという印象で(それは想定内だったけれど)、下は小中学生の10代〜上は70代と年齢層が幅広かったこと。
講師は2人で、ろう者の講師がメインで手話通訳士の講師が通訳・細かなサポートをして講座が進んでいくこと。

自ら学びたいと思って受講している人たちだからか、何かを発表する際にも分からないことを質問する際にも積極的に手を挙げる人が多いし、毎週10〜15分前に到着しても誰かが来ていて、予習・復習をしたり講師に質問している。(未だに1番に到着できたことはない)

講座では、入門・基礎の他、細かい表現の違いをはじめ「ろう者同士での会話ではこれは省くよ」「これは古い表現だけどそれでも通じるよ」「これ会話ではよく使うよ」とか、テキストには載っていないことを教わることもあったりして、人と接さないと分からないこともあるんだなぁと実感している。分からないことを分からないと言える雰囲気も割と好き。

仕事で少し遅れても必ず参加する人。
講座の前に予習・復習を欠かさない人。
練習を重ねていつでも指文字が完璧にできる人。
どこが重要なのか分からないくらい辞書に付箋を貼って自主学習に励んでいる人。

いろんな人の『学びたい』という意欲や姿勢を垣間見て、『凄いなぁ…』と、毎週襟を正す気持ちになる。(“頑張る”とか“努力”といったものとも少し違う、“励みになる”ともまた少し違う感情を何と書き表したらいいのか分からないけれど)

回を重ねていくうちに、YouTubeのあの自治体のチャンネルは分かりやすいとか、このWEBサイトがオススメという手話に関する話からちょっとした雑談もするようになった。

今は、年齢も性別も職業も違う人たちと肩を並べて勉強しているのが嬉しい。

ちなみに先日、勢いで全国手話検定を受験してきた(結果は12月)
奉仕員→通訳者→通訳士の過程で、次のステップに進むのかはまだ考えている最中。

手話の復習を始めた日を覚えていたので、そこからの1年間を振り返ってみると、
・自分にも継続する力があったんだなと自信がついた
・“今までの自分なら選ばない選択”をするようになった
・自主学習力とスキマ時間の活用力がアップした
・未知なるものへの耐性がついた(気がする)

1日単位で見ると今までと何ら変わらない生活をしていると思っていたけれど、緩やかに変化していた。昨年の11月のように毎日継続ではなくなったものの、毎週の継続へと変わり、習慣化し、今ではそれが日常となっている。

話は少し逸れて、“パラレルワールド的”とでもいうのかな。
今回の私の場合、極端に言えば、手話の“ある”世界と“ない”世界。
2020年4月に手話を学ぶ機会がなければ、50日チャレンジに別のことを選んでいただろうし、仮に別ルートで学ぶ機会を得ても講座の申込書を提出するところまで辿り着かなかったら現在の日常は存在しないわけで。2021年11月はどんな生活をしていたんだろう?って思ったりもする。
大きなものから小さなものまで、日々の様々な選択の結果、2020年の自分が想像もしなかった1年後にいるんだなぁと思うとすごく面白い。でも選んでいるのは自分、という点も含めて。(普段そんなこと考えながら生きていないから、よりそう思うのかもしれない)
振り返ってみてあらためて、人とのご縁や何かに出会うタイミングって不思議なものだなと感じる。

私は、正月や年度始めに目標を立てても紙に書いていないと1年経たずに忘れるし、新しいことを始める時にも日付を記録するタイプでもないし、区切りがないと振り返りもしないので、11月11日って覚えやすくて記憶するのに丁度いいかもしれない。

今日は11月11日。
今年はまだ何をするか決めかねている。
意外にも50日間は長くて達成感はあるので、今年はスキルアップではなくて自分がワクワクすることを選んで50日続けてみようかな…と考えている。

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