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早くも「ワンチーム」になったアロンソとアストンマーチン

開幕戦で最大の衝撃はアロンソの3位表彰台だった。上位が潰れたタナボタではなく、メルセデス勢2台とサインツをコース上で豪快にオーバーテイクしたうえでのポディウム登壇で、第2戦以降の表彰台も十分に期待できるレース内容だった。

アロンソの的確なライン取り、相手のタイヤの状態を見据えたうえでの緩急をつけたペース配分はあちこちで言及されているので、F1公式映像や各ツイートへのリンクを掲載しておきたい。

早くもチームをまとめたアロンソ

私から追加しておきたいのは、「開幕戦の時点で早くもアロンソとアストンマーチンは“ワンチーム”になった」ということだ(※「ワンマンチーム」ではない。念のため)。

レース後、3位表彰台獲得の記念撮影をするアロンソ(中央)とチームスタッフ

ハミルトン追撃時に、「接近したときに彼らがどうするか様子を見ないか」とエンジニアに提案したり、サインツを抜いた際に「バイバイ!」と軽口を叩いたりしたチーム無線は、何年も連れ添ったの古女房との会話のようだった。

レース後にクルー総出でドライバーを出迎える姿からも、アロンソが1戦目にしてチーム全員を味方につけたたように感じられた。昨年のアブダビテストを含めても、彼らがコース上で共同作業したのは7日間しかないのに、この信頼関係は驚きだ。

かつて「チーム・クラッシャー」として鳴らしたアロンソの人心掌握術はどこから生み出されたのだろうか? 私見だが、チームの成績を何より優先するル・マンやWECを経験したことがアロンソの糧になったのでは、と思える。

ストロールも男気を見せる

アストンマーチン躍進については、ストロールも取り上げておきたい。

グランプリ初日のサプライズは、ストロールがレース出場を決めたことだった。

自転車トレーニングの際の転倒でバーレーンテスト前に両手と右足を負傷・骨折し、テストどころか開幕戦出場すら危ぶまれた。あとになって本人のTwitterで判明したことだが、手術を伴う想像以上に大きなケガだった。

彼はチームオーナーを父に持ち、「全F1ドライバーのうち、来季のシートを一番心配しなくていい人」とも揶揄される。1、2戦欠場しても彼のキャリアになんの障害にもならないはずだが、それでもF1に戻ってきた。

モチベーションの源は「新加入のアロンソにいいように主導権を握られたくない」と思ったからか、「自分のシートが安泰とはいえ代役のドルゴビッチにいい走りをされるのはしゃくにさわる」と思ったのか、それともドライバーとしての本能か。真相はわからないが、この決断にストロールの「漢(おとこ)」を見た思いがした。

バーレーンでストロールは負傷明けとは思えない力走を見せた。初日フリー走行ではまだ1コーナーでのステアリング操作が辛い様子だったが、2日目には修正し、予選8番手の好位置につける。

しかしながら、決勝では1周目の4コーナーでアロンソのリアを小突き、さっそく「やらかし」をしでかした。ラッセルがアロンソを追い抜くきっかけを作ってしまった。

ストロールは失地を自ら回復した。自身2回目のタイヤ交換の翌周にあたる32周目、ラッセルがタイヤ交換を終えて本コースに合流する姿を見るや、体を張って前に出るのを阻止。アンダーカットを成功させた。アロンソがハミルトン追撃に集中できるよう、後方から援護する形になった。

ストロールは最後までラッセルを抑え切って6位でゴール。レース後にアロンソに駆け寄った。アロンソのリーダーシップはストロールの闘志にまで火をつけたのだろうか。

ストロールは去年のブラジルのように「やらかし」をしでかすことがある。しかし、「ストロールなら仕方ないよねぇ(´・ω・)」と思わせる、妙な許されキャラを身につけた気がする(そう思うのは自分だけか?)。F1デビュー当時は傲慢な発言もあったが、最近では他のドライバーををたたえる素直さも持ち合わせるようになった。

アロンソとストロール。去年のアロンソとオコンよりはいいコンビネーションとなりそうな予感がする。このチームがどう成長するか楽しみだ。

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