見出し画像

【授乳室探訪②】育児中の中国人に疑問をぶつけてみた

外出先では必ず授乳室へ行ってみる。すると…

「半個室」タイプで視線を遮るものはないが、哺乳瓶を温めるらしい機械のある「母嬰室」=授乳室を見つけて以来、私は、商業施設や観光地など出かけるたびに授乳室を利用するようにしている。

別の商業施設の「母嬰室」。
中に入ると左右にスペースはあるが、オムツ交換台は一か所だけだった。

個室じゃないが共用はしない?他の利用客とバッティング

とある商業施設で、施錠タイプではない授乳室で次男のオムツを替え終わって時、赤ちゃんを抱いた女性が入ってきた。個室ではないのだが、オムツ交換台そのものが1台しかないので、女性は「ごめん」と言って授乳室から出て、外で待っている。
私はオムツを替えた後に授乳しようと考えていたが、外で利用客が待っている。中国語で「私は(右側のスペースの)こっちで授乳するからあなたは(左側のスペースにある)そっちのオムツ交換台を使っていいよ」なんて言えるはずもないし、もしかしたら、彼女はそもそも共用を好まないかもしれない。

ああ、いろいろと難しい…。私は足早に授乳室を後にした。

育児中の中国人に、思い切って聞くことに

商業施設など5か所程度に出かけてみた5月末の時点では、「完全個室タイプ」の授乳室も、「施錠タイプ」の授乳室も見つけられていなかった。探せばあるはずだが、多くはないのだろうか…。
子育て中の中国人に聞いてみたい、と思っていた矢先、夫の同僚で30代の中国人女性と話す機会があった。彼女は未就学児2人の親でもある。

初対面でいきなり事細かに尋ねるのも忍びなく、「視線を遮ぎるものがない授乳室を見つけた」という話を足掛かりに会話を始めた。
彼女は「うんうん」とうなずいて、「私の考えだけれど」と前置きし、次のようなことを教えてくれた。


  • 視線を遮るものがない授乳室では、覆い隠せるケープを使う。

  • 外出先でもすぐミルクをあげられるように哺乳瓶を温める機械が設置されている授乳室もある。

  • とはいえ、そもそも中国人は、授乳が必要な小さな赤ちゃんを連れて外出することは多くない。なぜなら、自宅で見てくれている人(赤ちゃんの祖父母やアイさん=家事手伝いや子守を担う人=)がいるから。

  • 上記の理由から、授乳室を使う人は多くない。体感では、授乳室が広く整備されてきたのは比較的最近。


背景に、育児をめぐる環境や習慣、考え方の違いがある??

一つ目と二つ目はよいとして、彼女の三つ目の見解に、私は「確かにそうかもしれない」と感じた。
あくまでも私の体感だが、実際に、次男と同じかそれより月齢の小さい中国人の赤ちゃんを、街中であまり見かけない。そして、母親や父親が抱っこ紐で赤ちゃんを抱いて、赤ちゃんと2人きりで出かけている中国人もほとんど見かけたことがない。(もし、赤ちゃんを連れている人がいても、赤ちゃんの母親と父親がおり、高頻度で祖父母もそろっている。)

中国では、

自宅で赤ちゃんを世話してくれる人がいる=赤ちゃんを連れて外出する機会は少ない=母嬰室を使う人が少ない=母嬰室は発展途上、変化の途中・・・

なのだろうか。中国全土の授乳室を見まわったわけでもなく、強引かもしれない。それにそもそも、授乳室のような設備は、日本であっても中国であっても、環境や習慣の変化によってどんどん変わっていくはずだ、とも思う。

とはいえこうして、今の私にとって不可欠な母嬰室=授乳室から、その国や地域の特徴や人々の習慣、考え方が見えてくるのだと思うと、とても面白い。

引き続き、中国の授乳室を見て回ることにしよう、と改めて思った。
そして、もしできることなら、もっと、育児中の中国人のみなさんに、話を聞いてみたい。
そのためにはまず、少しでも中国語で会話ができるようにならなくては…。