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衝撃! 美容師の手荒れの原因はトリートメントだった。

職業によって体の一部に負荷がかかるのはよくあることです。
私たち美容師の仕事では、一番多いのが手荒れの悩みです。

インターネットで #美容師 #手荒れ #原因  と検索すると、以下の回答がほとんどです。

水仕事、シャンプー、ドライヤー、パーマ剤、カラー剤、アトピー性皮膚炎(個人差あり)

会社の責任としてさまざまな対策をしましたが、あまり改善されませんでした。しかしあることを知り、それを実行することで手荒れが劇的に改善されたのです。

2017年4月4日。
神田神保町で私は「肌・毛髪化学」のセミナーを受講し、驚きの事実を知りました。

なんと美容師の手荒れはトリートメントが原因だというのです。

トリートメントの目的は毛髪を美しく見せることで、髪をコーティングする成分が含まれています。中でも電気的な仕組みでコーティングするのがカチオン界面活性剤です。
本来、毛髪や肌はマイナス電位を持っています。現在ほぼ100%市場に出回っているトリートメントは、そこにプラス電位を持ったカチオン界面活性剤を磁石のように吸着させることで、髪の質感を美しく(見えるように)変える仕組みです。

そんなに一般的なトリートメントが、なぜ手荒れの原因の一つになるのか。これからお伝えするのは、みなさんにもぜひ知ってほしい事実です。

泡

1. 肌へのカチオン界面活性剤の影響について

肌はマイナス電位の状態で活性化します。マイナスイオン効果をうたう家電商品が多いのもそのためです。
カチオン界面活性剤は反対のプラス電位持っています。そのプラス電位は、肌のタンパク質変性を助長することが近年分かってきました。

問題なのは、毛髪だけがヘアトリートメントのプラス電位でコーティングされるのではなく、お客さまの頭皮や美容師の手をもコーティングしてしまうことなのです。

電気的な吸着力はとても強く、洗い流しただけでは落ちません。すぐに取れるようではヘアトリートメントの役割が果たせないからです。
毛髪は死滅細胞で影響を受けませんが、肌は違います。
お客さまはだいたい1日に1回のシャンプー・ヘアトリートメントをすると思いますが、サロンで施術する美容師はそうはいきません。美容師の手はカチオン界面活性剤の接触頻度がとても多く、このことが肌のバリア機能を壊し、手荒れの原因となっているのです。

肌の免疫力について書いた記事もありますので、ご参照ください。

参照)界面活性剤の組合せによる物理化学的性質とタンパ ク質変性作用/宮澤 清・小川 正孝・光井 武夫

2. カチオン界面活性剤の殺菌効果

皮膚には約1000種類以上の常在細菌がいて、私たちを外的刺激などから守ってくれています。代表的なものはブドウ球菌、アクネ桿菌、黄色ブドウ球菌の3つです。これらの常在菌のバランスが崩れたとき、肌のバリア機能も低下してしまいます(消毒剤で手が荒れるのはこのためです)。

カチオン界面活性剤にも実は殺菌効果があります。
殺菌作用があるということは、悪い菌だけでなく良い菌まで死んでしまう可能性があるということです。良い菌も悪い菌も両方ともバランスよく存在していることが、美肌を維持するためには大切です。

昨年の6月に経済産業省、厚生労働省から以下のプレスリリースがありました。

参照「新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価

殺菌剤ではなく用途も違いますが、トリートメントやヘアケア商品に使われているカチオン界面活性剤もこの中に入っています。

3. トリートメント成分の変化と手荒れの関係

2010年頃からシリコンフリーシャンプーが話題になりました。

コーティング剤のシリコンに対するイメージが悪くなり、シリコンに変わる成分としてカチオン界面活性剤が配合された商品が発売されます。サロン専売商品も同じく、手触りや質感を上げるためにコーティング剤がシリコンからカチオン界面活性剤に変わっていきました。
サロンの現場でも手荒れは昔からありました。しかし現在のような深刻な症状ではありませんでした。

商品の成分変化が手荒れの原因と関係があると考えられます。
フォルムでも以前はカチオン界面活性剤が入った商品をメインに使っていました。しかし現在はほぼ使っていません。そうすることで、長年悩まされたスタッフの手荒れもやっと、劇的に改善されました。

まとめ

人を美しくするのが“美容師”の仕事です。
だったら美容師の手も美しくあるべきです。美容師だって、人を美しくするために自分の手を犠牲にして、幸せになれるはずはありません。
今の美容師の深刻な手荒れの現状を、個人の体質と私的要因で済ませることはできません。美容業界は、サロン環境や薬剤など外的な要因として考える責任があります。

私はこのことを起点に「肌・毛髪化学」を学び始めました。学んで分かったことは“ヘアケアとスキンケアは同じこと”ということです。

一般の美容室で使う商材は毛髪をきれいにすることを重視して作られており、肌に対する悪影響を軽視していることは否めません。しかし、頭皮環境を整えなければお客さまのエイジングの悩みだって解決できないのです。

フォルムでは従来のトリートメント(カチオン界面活性剤)をできる限り使わないことで、美容師の深刻な手荒れはほぼなくなりました。この経験から生まれたのが、スガミズムです。

みなさんのご質問やご意見をお待ちしています。

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この記事は 永森博明 が書きました。


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