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「ストレスコーピング」で心を守ろう

4月から新生活を迎える方も多いであろうこの時期。
新社会人になる方は今までとは全く違う分野に挑む方も多いのでは?

かつて私もその一人。現在のweb制作会社に入社する前、大学では臨床心理学を学んでいました。そんな自分の卒業論文は「自己志向的完全主義と自己への攻撃性の関連〜コーピング方略の際の検討〜」というフランス料理みたいな副題つきのもので、webとは全然関係ない研究していました。

一旦内容は割愛しますが、ここでは生活に少し役立つ知識かもしれない「コーピング」について掘り下げていこうと思います。



コーピングとは?

コーピング(ストレスコーピング)とは、「ストレスの基にうまく対処すること」です。

ストレスは必ずしもネガティブなものではなく、多少のストレスは集中力やパフォーマンスを高めるいい影響もあります。ただし過度なストレスは精神的に身体的にもよろしくないことは想像つくかと思います。

我々はどうやってストレスを感じてしまうのか?
まずはストレスのメカニズムについて簡単にご説明します。


ストレスのメカニズム

ストレッサー

まずストレスを引き起こす原因となるストレスイベント(=ストレッサー)が発生します。
怒られた時にすごく落ち込む人や平気な人がいるように、同じストレッサーでもダメージの度合いは人それぞれです。なので、まずここでその人にとってどれくらいのダメージがあったかの「一時的認知評価」が行われます

(ダメージの感じ方は人それぞれとはいえ「どのイベントがどれくらいのストレス度か」を数値化した研究もあります。配偶者の死は83点、病気や怪我は62点…など、これを眺めるのも面白いです)

認知

次にそのストレスに対処できるかどうかの「二次的認知評価」が行われます。これは自分の価値観や経験にも左右されるもので「ストレスに対処する方法を知っているか」「対処方法は実現可能か」などを判断しています。
「過去に似た状況を乗り切ったから大丈夫!」のような自信があるとストレスは和らぎますし、逆に受け止め方によってはストレスが高まる場合もあります。

ストレス反応

ストレスに対応しきれなくなると心や体にさまざまな症状が起きます。
この症状をなるべく起こさないようにするために「ストレスコーピング」が有効です。


ストレスコーピングとは

ストレスコーピングとはストレスへの対処のことです。
適切にストレスコーピングを行うことでストレス反応を抑えることができます。

ストレスコーピングは大きく「問題焦点型コーピング」「情動焦点型コーピング」の2つに分かれます。
(ここの分け方は3つや5つなど諸説ありますが、自分が大学で教わった時の資料を参考に2つとします)

問題焦点型コーピング
ストレッサー(ストレスの原因)そのものに働きかけて解決を図ろうとする方法

情動焦点型コーピング
ストレッサー(ストレスの原因)はそのままに、自分の感情をコントロールする方法

例えば解決方法を人に相談するのは「問題焦点型コーピング」、気分転換に甘いものを食べるなどは「情動焦点型コーピング」となります。
細かい分類については下記の通りです。


どのコーピングが良いのか?


問題焦点型も情動焦点型もストレスへの対処としては有効です。
ではどちらのストレス対処法を選ぶべきでしょうか?

実はどちらにもデメリットはあります。
一見ポジティブに見える問題焦点型は原因解決のため動くことで疲れてしまうリスクがあります。例えば、転職すれば問題は解決するけれど転職のために動くことで更なるストレスに…のような状況ですね。

情動焦点型も、感情をコントロールできても根本的な解決にはならないので、ストレスの原因を抱え続けることになります。


結論:ストレスコーピングの種類をたくさん持っておこう!

このストレス対処法は絶対!というものはありません。偏ったコーピングをとり続ける人ほどうつ病などの精神疾患にかかりやすくなると、最近の研究では明らかになっているそうです。

なので一番良いのはストレス場面で適切な対応を取れるよう、たくさんの対処法を知っていることです。「問題焦点」「情動焦点」両方のコーピングを組み合わせ、環境改善と精神的苦痛の緩和を併せて取り組むことが大事になります。

一見ネガティブに見える「回避」なども自分の心を守るために一時的に用いるのは効果的だったりします。いろいろな方法を意識的に試してみるのも良いですね。


最後に

ストレスコーピングのお話、いかがでしたでしょうか。
自分は問題の解決が先送りになることがストレスなので「問題焦点コーピング」ばかり選択してしまうのですが、そういう自分の歪みを理解していることで「情動焦点も取り入れよう!」と意識してセルフコントロールすることもできるので、コーピングの知識は覚えておいて損はないと思います。

どう生活しても少なからずストレスがあるのは自然なこと。
自分を守る術をたくさん身につけて、上手にストレスと付き合っていけるといいですね。




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