デザイナー、辞書で「かわいい」を引く。
ここ2ヶ月ほど、『ゆる言語学ラジオ』にハマっている。
名前の通りゆるく楽しくをモットーに、日本語や世界のあらゆる言語についての話を配信している番組。「日本語の助数詞が多すぎるのはなぜ?」「ひよことう○この語源は同じ」など、私たちが普段当たり前に使っている言葉を、時には思いもよらない側面から解き明かしてくれるのが本当に面白くて面白くて。
流石に情報量が多すぎて仕事中には流せないので、今はspotifyでこのpodcastを聞くためにウォーキングが習慣になってしまったほど。上司にその話をすると「え、そんなに好きなの…?😅」という若干引き気味の反応が返ってきましたが、知的好奇心が満たされる満足感と健康がダブルで手に入る事ですし、ま〜〜人生が楽しい!!!!!!!
デザイナーたるもの、形容詞には敏感であるべし
先日、三省堂辞書回を聞いたことをきっかけに興味を持ち、ついに「新明解国語辞典」を購入しました。
改めて色々な言葉を調べていると、自分ではうまく意味やニュアンスを言語化しきれない単語の多いこと。普段webデザイナーとして、自分が作るデザインに対してなるべく言語化をするように意識はしていますが、例えば「かわいい」デザインとは何をもってして「かわいい」のか。何をどうすれば「かわいい」になるのか。その辺りをきちんと知っていれば、さらにスキルアップが出来そうだと思いませんか?
「〇〇なデザイン」を改めてより深く理解するために、実際にいくつか単語を調べてみました。
■ かわいい
かなり昔ですが、③の「可愛いとは自分よりも弱いものに対して抱く感情なんだよ」という話を聞いたとき、可愛いと思う感情にあるヒエラルキー(を自分が無自覚的に作っていること)に少しショックを受けたのを覚えています。
今の世界で使われている「かわいい」は、どちらかというとチャーミング・魅力的という意味合いが強いかもしれませんね。
意味を改めて読むと、ちいかわ……どストレートに「かわいい」を体現していて強い…………
もちろん伝えたい情報や全体のバランス次第ではありますが、「かわいい」デザインを作りたいときの文字や装飾はなるべく小ぶりにしてみるのはどうでしょうか。ちいかわの事を考えながらデザインをすると、「かわいい」印象が伝わりやすいデザインになるかもしれません。
■さわやか
「さわやか」を説明してくださいと言われて的確に言語化できる人が、世界にどれだけいるんだろうか。「きれいで程よく冷たい大気が…」という出だしで、その感覚を知っている…!わかる!と思いました。
気持ちの良い外気の感覚と、心や体の中のひっかかりが何もない状態。
デザインに落とし込むなら、ストレートではありますが
・広く澄んだ青空の画像などを効果的に配置する
・あまり濁りのある配色を使わない
・視線誘導を意識し、流れのあるレイアウトにする
あたりを検討してみると、いい感じかもしれないですね。
■ポップ/POP
広告の種類などで言われる「POP」はpoint of purchaseの略称ですが、テイストの意味合いとしてよく使われるこちらの「Pop」は、ポップミュージック同様にPoplarの略ですね。
ポップと聞けばなんとなく①の意味と近いニュアンスの、丸っぽく跳ねるような印象を持つ方もいると思いますが、「ポンと、パチンと」はじけるときの擬音語としてもpopは使われます。ポップコーンはこの擬音語用法から名前が生まれていそうですね。
というわけで、私たちデザイナーは「ポップな感じのデザインにしてよ!」と言われた時、一体どのニュアンスでポップが使われているのかを汲み取りつつ制作する必要があるということが分かります。
一般的に多くの人に親しみやすさを感じさせるデザインにすべきなのか?
pop!と弾けるような軽さとエネルギーをもったデザイン?
ポップ広告のようにメリハリをドカンと付けるようなデザイン?
ポップなデザインのハードル、あがりますね。ヒアリングと擦り合わせ大事。
■リッチ
含蓄のある語釈に笑いました。
さいごに
国語辞典を開いたのは、もしかしたら小学生以来かもしれません。
インターネットが普及したことで、「あれ?この単語ってこの使い方であってるっけ?」をとても気軽に調べられるようになりました。
その恩恵が大きすぎて、今まで割と本気で紙の辞書を持つメリットが分からなかったのですが、今回調べた単語を同じようにインターネットで調べてみると
「かわいい=小さくて愛らしい」
「さわやか=気持が晴れやかでさっぱりしている」
…と。これはもちろん一部抜粋ですが、受け取る意味合いの解像度が少し違ってくるんだなと感じました。言葉のことをずっと考えている人たちが作った意味、すごい、、、!
せっかく購入したので、家にいるときは辞書も積極的に使っていきたいな。
それでは、今回はここまで。
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