私が、終身雇用だの、年功序列だのといったような今日本でめちゃくちゃ嫌われている文化など余裕で圧倒するレベルで日本で最も嫌いな文化が、「エスカレーターでは歩く人のために片側空けましょう」という文化だ。そもそも歩くなら階段を使え。なんのためにエスカレーターが階段そのものを動かしていると思っているのか。それは「歩かなくても移動出来るようにするため」だろう。それにも関わらずわざわざ片側を歩く、しかもそんな奴のために片側をわざわざ空けてやるというのが、私は感情的にどうしても受け入れることが出来なかったし、当然今でも受け入れられていない。更に、エスカレーターを製作している会社は、「エスカレーターで歩くな」と呼びかけている。
前述のように、エスカレーターは本来「歩かなくても移動出来る」ように作られている。だからそもそもエスカレーターを作る際には、その利用者が歩くことを想定していない。
つまり歩くことを想定して作られていないことによる利用者の転倒リスク、もう片側の人との衝突リスク、片側に負担が偏るために起こる修理リスクも考えられるので、エスカレーターを作ってる会社は「エスカレーターでは歩くな」と呼びかけている訳である。
これまではリスクの話をしたが、ここからは「そもそも片側空けることにメリットなんかねえよ」「うるせえよ」という話をしていく。
まず、片側空けを支持する人はこれまで述べてきた意見に対し「急ぐ人も居る」「その分早く着く」などと反論するだろう、現にとある会社のアンケート(あくまで一会社のアンケートなので、鵜呑みにしてはいけないだろうが)に、「急いでいるとき、歩ける側があるのは助かる」と答えている人も居る。だが、それらははっきり言って間違いなのだ。
1枚目は、イギリスで行われた実験の結果を示すもので、「両側に立て」と呼びかけを行った所、何と運べる人間の数が1.4倍に増えたという結果が出たのである。
また2、3枚目は日本で行われたシミュレーション実験の仮定とその実験の結果を示すもので、エスカレーターにおいて、両側に立つ方法と、片側を空ける方法で、どちらの方がより早く全員が通り抜けられるのかという実験である。その結果はご覧の通り、両側に立つ方法の方が、片側を空ける方法より46秒も早く全員がエスカレーターを通り抜けられる(つまり片側を空けるより、両側に立つ方が全員にとって効率的)というものだった。