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市販の本にはハッキリ書いてない「要録の書き方」と「要録で感じるモヤモヤの答え」を全て教えます

この記事では、要録について書かれた本を何冊読んでもハッキリ分からないことを全てお伝えします。どうして全てと言い切ることができるかというと、不足分や頂いた質問への回答をどんどん書き足すからです。これがnoteの利点の1つですね。

今回の目玉は、例文や単語を入れ替えて文を作ることができるテンプレート5種と、全体の構成を考えるヒントとなるメモの様式が1つ付いているところです。「こんなことを書きましょう」ではなく「こうやったら書ける」が分かる内容となっています。さらに、おまけとして、各章の内容に合わせたオンライン研修も用意しました。

では、モヤモヤの確認から始めていきますね。



こんなモヤモヤありませんか?

要録を書いていて、こんなモヤモヤを感じたことがある人、いませんか?

・ピッタリくる例文が見つからない
・10の姿とか言われても困る
・用紙のスペースを考えずに下書きを直される
・細かい表現なんてどうでもいいのに…
・本に書いてあることなのに直される意味が分からない
・そもそも要録って何?なんでこんなの書かないといけないの?

…モヤモヤを感じている人、いますよね。
少なくとも、私の周りには何人もいます。


ピッタリくる例文が見つからない

短い文や単語を入れ替えて文にすることができるテンプレートを作りました。例文を探してもピッタリくるものがなかったら、例文の1部を入れ替えてピッタリするものを作ってしまいましょう。必要なのは長い例文ではなく、要録で求められている文の構成を知ることと、その構成を崩さずに短文や単語を入れ替えることができるテンプレートです。

この記事の第1章で、要録で求められている文の基本の書き方、第2章でテンプレートの使い方をお伝えします。


10の姿とか言われても困る

「この部分に10の姿のことが書かれています」という例文を見せられても、それ以外の場合を書きたいときにどうすれば良いのか困りますよね。まず、「10の姿の本質」を知りましょう。その上で、どう書いていけば良いかを、第1章でお伝えしていきます。


用紙のスペースを考えずに下書きを直される

せっかく下書きを完成させたのに、「5領域の環境と表現が足りない」などと、赤ペンで文を直され、大量に追加されることがあります。用紙のスペースが足りなくなって、文章を削るのに苦労したりものすごく小さい字で清書したりすることになりますよね。そんな状態にならないためにも、文章の全体的な構成を考えたり文を短くしたりする方法を知っておきましょう。第4章でお伝えしていきます。


細かい表現なんてどうでもいいのに…

せっかく書いた下書きの、ものすごく細かい部分まで直されてイライラすることってありませんか?実は、細かい表現を直されるのは2パターンあります。1つは、指摘してくる人の好みです。ハッキリ言って、こちらの方はどうでもいいんですよ。上司に指導され、さらにそれをトップに直され、結局元の表現になる…というのは、小学校や中学校でもよくあることです。

大事なのはもう1つのパターンです。細かい表現1つで、子どもの姿を適切に表わしたり10の姿を表現したりすることになります。こちらの方は、直してもらえることをありがたく受け取りましょう。

ただ、直す側もなんとなくしか分かってない場合や、意図して直したとしても説明できない場合があります。「こんなに細かいところまでネチネチと直された」という誤解につながらないよう、この記事で表現を知ってください。記事全体を通して、様々な表現をお伝えしています。


本に書いてあることなのに直される意味が分からない

「本に書いてあることを写しても直される」という場合も2パターンあります。1つは、あなたの目の前にいる子どもの姿と例文に書いてある姿が合っていないときです。もう1つは、本に書いてある言葉が適切ではないときです。もちろん本によりますが、市販の本に書いてある例文って、直したいところが相当ありますよ。

参考のために今年も要録の本を1冊買ってみたのですが、たった見開き2ページほどの中に子どもを否定的にとらえる表現を使った例文がいくつもありました。特に気になった言葉は「暴れる」「乱暴」です。さらに、保護者さんの言動を否定する表現も載せてありました。

これらの言葉をそのまま借りると、園長先生に指摘されます(園によりますが)。要録は、請求されたら開示しないといけませんからね。保護者さんに見られても大丈夫な表現で書きましょう。否定的にならないように書くことについては、第3章でお伝えしていきます。


そもそも要録って何?なんでこんなの書かないといけないの?

これは基本的なことなので、とにかく1人でも多くの人に知って頂きたいです。ということで、これだけは続けて詳しくお伝えしていきます。

要録ってどんなもの?

要録とは、「この園にいたAちゃんはこんな子どもでしたよ」という記録です。こども園でも保育所でも幼稚園でも書きます。学校でも書きます。どんなに嫌だとしても、誰かが絶対に書かなければならないものです。

横浜市様式

この画像は横浜市の要録の様式(保育所用)です。これを真似しましょうということではないですよ。あくまでも参考です。市区町村によって様式は少しずつ違います。書くスペースも、内容も、用紙のサイズすら違うことがあります。

「こんな感じで書いてくださいよ」という文書が、国からそれぞれの自治体に送られていますが、「こんな感じ」は絶対ではないんですよね。電子化をするところもありますし、それぞれの自治体の都合もありますから、統一された様式にはなりません。

横浜市様式

改めて画像を見てみましょう。左側に載せているのは「入所に関する記録」(幼稚園・こども園では「学籍に関する記録・学籍等に関する記録」)です。子どもや保護者や園の名前、住所などを書きます。ちょっと調べればすぐに書き方が分かりますし、先輩方が知っていることなので、難しくはないです。

画像の右側に載せているのが「保育に関する記録」(幼稚園・こども園では「指導に関する記録」という名前)です。こちらは、「こういうことを書きましょう」と本に書いてあっても、簡単に書けるものではないので、とことん詳しくお伝えしていきます。



保育に関する記録 色つき

先ほどの画像の右側だけを少し拡大して色も付けました。書くスペースがこんなにたくさんあります。赤い数字で「⑤」と書かれた部分を見て、幼稚園・こども園の人は、「あれ?」と思われたかもしれませんね。ここは、「最終年度に至るまでの育ちに関する事項」という部分です。

保育所では、最終年度だけ要録を書くんですよ(毎年書いているところもあります)。最終年度までのところは「最終年度に至るまでの育ちに関する事項」に書きます。ですので、5歳児担任と主任が必死で何年分もの出来事を思い出している光景がよく見られます(やり方は園によります)。「最終年度に至るまでの育ちに関する事項」を毎年少しずつ書いていけば、年長担任の負担は減るし、各担任の力となるんですけどね。

幼稚園・こども園では、毎年要録を書くんですよ。新卒だろうが非正規だろうが担任をすることが多い幼稚園では、わけが分からず記録も無いまま必死で記憶を絞り出している光景がよく見られます(もちろん園や人によります)。

幼稚園様式

こども園、幼稚園の要録は、この画像のような様式です。4年分の欄がありますね。


要録に書くことをもう少し詳しくお伝えすると

保育の過程と~拡大

赤い字で「➀」「②」と書いてあるところに「最終年度の重点」「個人の重点」と書いてあります。これがくせ者なんですよね。(※「最終年度の重点」は、幼稚園・こども園では「学年の重点」と書いてあります。)

「最終年度の重点(学年の重点)」は年度始めに書きます。
「学年の目標」
だと思って書きましょう。

「個人の重点」は年度終わりに書きます。
「大事にしてきた姿」
だと思って書きましょう。

年度始めに書くものと、年度終わりに書くものを、似たような言葉で表さないでほしいですよね。



さて、「こういうことを書きましょう」で終わらないのが保育塾です。「こうやって書けば書きやすいよ」を提案し続け、何人もの園長先生や養成校の先生から絶賛されてきた方法がコチラ。
 ↓
「個人の重点」は、「③」の「保育の展開と子どもの育ち」(幼稚園では「指導上参考となる事項」)を書いた後で書くと楽です。

紙面の上の方に書いてあるからといって、「個人の重点」を先に書く必要はありません。「個人の重点」は、目標ではありませんから。「保育の展開と子どもの育ち」でも、何を大事にして保育をしてきたかを書きます。それをまとめて一言にしたのが「個人の重点」だと思って書きましょう。



…そんなことしていいの?

と、思った方のために、ちょっと質問をしますね。


「あなたは今年1年、自分が成長する上でどんなことを大切にして過ごしてきましたか?20~30字で答えてください。」
なお、お答え頂いたことは他の個人情報と共に保管された上、新しい職場にも情報提供されます。

と言われてすぐに答えることができますか?


おそらく、「え…ちょっと待って…」と、今年の生活を振り返って整理するところから始めないと答えることができないのではないでしょうか。

「個人の重点」も同じことです。最初に今年度の生活を振り返って整理するところから始めないと、簡単には書けません。「保育の展開と子どもの育ち」(幼稚園では「指導上参考となる事項」)を書くことで、子どもにどんな育ちがあって、自分がどんなことを大切にして保育してきたかが整理されます。

「個人の重点」は、後から書きましょう。



市販の本に書いてあることは、主に「どんなことを書くか」と例文です。保育塾では「どうやって書くか」もお伝えしています。今回はさらに、知るだけではなくて身に付けて頂こうと思っています。

読んで頂いた方々にツイッターで反応を頂いたので、1部を紹介しますね。​


では、ここから、この記事を最後まで読むと何が分かるかということと研修内でお伝えすることの中身をまとめて紹介しますね。


たった1語だけの記憶から文章にする方法が分かります

第1章では、基本の書き方をお伝えしていきます。特に、よく思い出せずペンが進まない場合にもなんとかなる書き方です。

要録の文章は、基本は3文で書きます。

国から各自治体に「要録にはこういうことを書きましょう」という文書が送られているんですよ。その中に書いてある言葉は難しいので、メチャクチャ要約してみると

✔この1年ですごく育ったことと、指導したことを書きましょう
✔来年度の先生に、配慮してほしいことを書きましょう
✔小学校以降につながる、育ちつつある姿と、どう指導してきたか(これを書くのは5歳児のみ)を書きましょう

というようになります。


✔この1年ですごく育ったことと、指導したこと
 ↑
これを分かりやすく伝えるためには

・最初はこんな姿だった
・こんな援助をした
・今はこんな姿になっている
という3文で書きます。

配慮してもらいたいことや10の姿は、この「3文で書く」を基本として、そこに付け加えていきます。


具体的な例を挙げると次のようになります。

よくある例文はこんな感じ
〇1学期には関心が無く、鉄棒の近くにも行かなかった。しかし、クラスの雰囲気に慣れるにつれ、次第に鉄棒でも遊ぶようになった。3学期には、できなくても頑張る姿が見られるようになった。

援助を書くと…
〇始めは関心が無く、鉄棒の近くにも行かなかった。しかし、他の遊具でたくさん遊んだり担任や仲の良い友達に誘われたりするうちに、鉄棒でも遊ぶようになった。3学期には、できなくても頑張る姿が見られるようになった。

配慮してもらいたいことを書くと…
〇始めは関心が無く、鉄棒の近くにも行かなかった。しかし、他の遊具でたくさん遊んだり担任や仲の良い友達に誘われたりするうちに、鉄棒でも遊ぶようになった。3学期には、できなくても頑張る姿が見られるようになった。体の動かし方には、ぎこちなさが残っている。鉄棒をしっかりと握っていないこともあるため、安全に注意するよう、配慮をお願いしたい。

10の姿を意識して書くと…
〇他の遊具でたくさん遊んだり担任や仲の良い友達に誘われたりするなどの経験を重ねるうちに、苦手な鉄棒にも挑戦するようになった。3学期には、できなくても頑張る姿や、「次はこうするよ。」などと、自分で目標をもって、繰り返し頑張る姿が見られるようになった。

ということを、「鉄棒頑張ってた」の一言から膨らまして書けるようにしていきます。それから、配慮や10の姿をどう付け加えていくかも詳しくお伝えします。この書き方が身に付くと、普段の記録や連絡帳が書けない問題も無くなっていくでしょう。


テンプレートに例文や言葉を当てはめて文章が作れます

先ほど紹介した鉄棒についての例文を見て、「そんなに簡単に書けるわけない」と思った方も当然いらっしゃることでしょう。そこで登場するのが文を作るためのテンプレートです。

・「最初はこんな姿だった」を書くためのテンプレート
・「こんな援助をした」を書くためのテンプレート
・「今はこんな姿になっている」を書くためのテンプレート
・「こんな配慮をしてほしい」を書くためのテンプレート
・10の姿を書くためのテンプレート

この5つを用意しています。


それぞれのテンプレートに、例文や単語を当てはめていくと書けるようにできています。もちろん、テンプレートは「型」ですので、全てのことが書けるようになるわけではありません。文章の基本を身に付けるまでの時間を短縮するツールだと思ってください。本当に大事なのは書き方ではなく「子どもをどう見取るか」です。


オンライン研修では、この書き方で実際に下書きをしてみて、質問する時間も設けられています。2つの研修は同じ日に続けて行います。

たった一言分だけの記憶から文章にする研修
テンプレートを使って書いてみる研修
2024年1月28日(日)21:30~23:00
2024年2月3日(土)21:30~23:00

記事を読み進めていくとZOOMのリンクが貼られています。
都合のよい日にご参加ください。


なるべく肯定的な言葉で要録を書く方法が分かります

◯感情のコントロールができず、暴力的な面が見られた。
 ↓
◯??????????
 ↓
◯??????????
 ↓
◯??????????
 ↓
◯1学期の間は、思いを上手く伝えられずに、手が出てしまうことがあった。担任が仲介し、思いを聞き出すことで、言葉で思いを伝えることができるようになってきた。
◯以前は、思いを伝えようとして、友達に手を出してしまう姿も見られた。担任は、まず落ち着いて、時間をおいてから言葉で伝えるように促してきた。今では、一旦その場を離れるなど、自分で気持ちを落ち着けた後、言葉で伝えるようになっている。


ある4つのことを考えると、最初の「感情のコントロールができず…」の文が最後の「1学期の間は…」や「以前は、思いを伝えようとして…」のような文になっていきます。それらの文は10の姿とも関連付いています。

後ほど、「ある4つのこと」を具体的に説明して、さらに、肯定的な言葉では書きづらい、他の場面での例文も載せています。普段の子どもの見取りにもつながります。


要録に書く文章全体の構成や文のつながりが分かります

第4章の内容は、要録に書く文章の全体をどう構成するかです。
・それぞれの段落の内容をどうするか
・各段落をどのような書き方にするか
・文章を短くしたり長くしたりするにはどうするか
を考えて、必要なことを書きつつ、全体を読みやすくします。

「下書きを提出したら、あれもこれも足りないと言われる」
「今さら言わないで途中で指摘してほしい」
「書くスペースを気にせず直されるから、すごく小さい字で清書する」

このようなことを感じたことがある方には、文章全体の構成を考えることをオススメします。


全体的な文章をどのように構成するかは、この記事の後半、または研修内で知ってください。研修内では、この書き方を知った上で実際に下書きし、質問する時間も設けられています。

「なるべく肯定的な言葉で要録を書くための研修」と「文章全体の構成や文のつながりが分かるようになる研修」は同じ日に続けて行います。

なるべく肯定的な言葉で要録を書くための研修
文章全体の構成や文のつながりが分かるようになる研修

2024年2月25日(日)21:30~23:00
2024年3月2日(土)21:30~23:00

記事を読み進めていくとZOOMのリンクが貼られています。
どこか都合のよい日にご参加ください。


ここまでに書いたことをまとめますね。

この記事は
市販の本にはハッキリ書いてない「要録の書き方」と「モヤモヤの答え」の全てを教えます

という名前で、保育塾がnoteに書いているものです。

保育塾では、2021年までオンライン研修についてだけnoteの記事を書いていましたが、この記事は書籍のようなものだと思ってください。研修に参加できなくても、読むだけで要録の書き方が分かります。オンライン研修はおまけです。

改めて、この記事の後半部分に書いてある内容をまとめて書くと、次のようになります。

まずはオマケ「オンライン研修のリンク」

第1章 たった1語だけの記憶から文章にする方法
・たった一言から要録の文章を書く手順
・配慮してほしいことを書く方法
・10の姿を書く方法

第2章 例文や言葉を当てはめて文が作れるテンプレートの使い方
・「最初はこんな姿だった」を書くためのテンプレート
・「こんな援助をした」を書くためのテンプレート
・「今はこんな姿になっている」を書くためのテンプレート
・「配慮をしてほしい」を書くためのテンプレート
・10の姿を書くためのテンプレート

第3章 なるべく肯定的な言葉で要録を書く方法
・肯定的な言葉で要録を書くための4つの手順
・攻撃的な行動の書き方
・「できない」「やらない」「聞いてない」姿の書き方
・「いじめ」につながるのではという姿の書き方
・肯定的な書き方のテンプレートは?

◯第4章 文章全体の構成や文のつながりが分かるようになる方法
・それぞれの段落の内容をどうするか
・各段落をどのような書き方にするか
・2つの段落を1つにまとめるにはどうするか

◯ご要望に応えて追加した例文

このようになります。



さて、もう少し先が有料部分となります。

気合い入れて続きも書きますので、「要録をどうやって書くか」をぜひ読んでみてくださいね。

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